ものづくり補助金平成28年度製造業岡山県

IoTを活用した大型プラスチック塗装品の生産性革新

株式会社すえ木工

成果塗装ガンの変更で塗着効率は25%高まった

この事例のポイント

  • 農機の樹脂製外装パネルの増産要求を受けていたが、塗装工程の社内不良率が高く増産に対応できなかった。
  • 塗装工程を抜本的に見直し、6点の刷新を行った。
  • 塗装ガンの変更で塗着効率は25%高まった。塗料変更とロボット導入で塗装作業の効率が上がり、塗着効率も向上した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社すえ木工
所在地岡山県 津山市
業種家具・装備品製造業
技術分野表面処理
従業員数98人
資本金1,000万円
設立1952年

事業の背景

すえ木工は家具事業と大型プラスチック成形(RIM成形)事業の2事業を展開している。祖業は1945年創業の家具事業で、美作地域の木材を使った収納家具をオーダーメイドで短納期に納めている。大型プラスチック成形事業は1992年に参入し、反応射出成形(RIM)で国内に10社程度ある中で生産量はトップクラスである。主力は農機の外装パネルで、自社提案塗料の高い耐候性が取引先から評価され増産要請が来ていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力農機の樹脂製外装パネルの増産要求を受けていたが、塗装工程の社内不良率が高く増産に対応できなかった。
  • 品質・精度2016年当時、塗装工程の社内不良率は18.9%もあった。
  • 人手・技能付着した塵を取り除くバフ研磨作業に10人がかりで対応しており、手直しに余分な人手を要していた。
  • 品質・精度鹿の付着や塗装プログラムの入力ミスが不良の原因になっていた。

やったこと

塗装工程を抜本的に見直し、6点の刷新を行った。①塗料を2回塗装から1回塗装に変更した。②エアスプレー方式から非静電ベル方式に変更し、塗装ガンを変更した。③新しい塗装ブースと乾燥炉を導入して塵を削減した。④塗装ロボットを導入した。⑤各塗装部品に二次元バーコードを貼り、バーコードから塗装プログラムを呼び出すIoTシステムを導入した。⑥検査工程でタブレット上端末を1人1台支給し、50項目にのぼる塗装条件を個々の製品と紐付けてデータを蓄積し品質管理に使えるようにした。

  • ロボット塗装ロボット
  • その他新塗装ブース・乾燥炉
  • 加工機非静電ベル方式の塗装機塗装ガン
  • ソフトIoTシステムバーコードによる塗装プログラム呼び出し
  • その他タブレット上端末
  • ソフト品質管理データ蓄積システム

事業の効果

  • 塗装ガンの変更で塗着効率は25%高まった
  • 塗装ブースと乾燥炉の刷新で塵の付着は3分の1に減少
  • バフ研磨作業の人数 10人→7人
  • 塗装プログラム入力ミス 5回/月→0回/月

塗料変更とロボット導入で塗装作業の効率が上がり、塗着効率も向上した。塗装ブースと乾燥炉の刷新で塵の付着が減り、バフ研磨作業も削減できた。バーコードによる塗装プログラム呼び出しで入力ミスがなくなり、品質管理データの蓄積で不良の原因が瞬時にわかるようになった。PDCAサイクルを回す速度も数倍早くなった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 5
    課題の認識と解決不良率189%、バフ研磨10人を課題として特定し、塗装工程を6点で抜本刷新。研磨は7人に削減されデータ管理で原因特定が迅速化した。
  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性国内10社程度のうちトップクラスの生産量で、自社提案塗料の高い耐候性が取引先に評価され増産要請を受けている。
  • 4
    付加価値・賃上げの目標塗着効率25%向上、塵付着3分の1減、研磨10人から7人へ削減など、改善効果の数値目標と実績が示されている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    成長分野への進出大型樹脂成形の高付加価値化は触れられているが、日本経済の構造転換への言及は薄い。
経営戦略との整合性4.0
  • これまでの取組との一貫性3

    RIM成形は1992年参入以来の主力事業で、塗装工程の刷新が過去の事業活動の延長として位置付けられている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    国内10社程度のうちトップクラスの生産量で、自社提案塗料の高い耐候性が取引先に評価され増産要請を受けている。

  • 課題の認識と解決5

    不良率189%、バフ研磨10人を課題として特定し、塗装工程を6点で抜本刷新。研磨は7人に削減されデータ管理で原因特定が迅速化した。

事業の実現可能性3.2
  • 付加価値・賃上げの目標4

    塗着効率25%向上、塵付着3分の1減、研磨10人から7人へ削減など、改善効果の数値目標と実績が示されている。

  • 事業を進める体制3

    2018年に塗装システム刷新を実施し、その後も成形・加工へ改善を広げた実績があり、遂行能力は一定程度読み取れる。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    農機外装パネルの取引先からの増産要請と自社塗料の耐候性評価が示され、ニーズと選ばれる理由が読み取れる。

  • 事業化までの道筋3

    塗装工程の6点の改善内容と導入後の成果が時系列で示され、課題解決の方法は妥当に読み取れる。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    RIM成形は国内10社程度の特殊な方式で、大型・耐熱・高強度の高付加価値成形を手がけ、小型から大型まで対応できる点が特徴。

公的補助の必要性3.3
  • 波及効果・雇用3

    大型樹脂成形の技術と地域の木工事業を結集した製品開発などが示され、地域産業への波及が読み取れる。

  • 費用対効果3

    改善投資に対し不良低減、人員削減、PDCA高速化など効果が示され、費用対効果は一定程度読み取れる。

  • イノベーションへの貢献4

    ロボット塗装、IoTによるバーコード連携、データ蓄積による品質管理を導入し、デジタル技術で業界の品質管理に貢献し得る。

政策面2.5
  • 成長分野への進出2

    大型樹脂成形の高付加価値化は触れられているが、日本経済の構造転換への言及は薄い。

  • 地域経済への波及3

    美作地域の木材を使う家具事業と大型成形を組み合わせ、地域資源を活かした事業として雇用を担う点が読み取れる。

今後の展望

今後は在庫管理と受注のシステムを連携させ、誤出荷を防ぐ取り組みを進める。成形や加工でもシステムによる改善を進めている。

  • 目標:2016年当時18.9%あった社内不良率

事業者の声

不良の原因がすぐわかるので手を打てる。PDCAサイクルを回すのが数倍早くなった。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。