ものづくり補助金平成28年度製造業山口県

IoTで結合した世界で勝てる鉄道車両用部品の新生産システム構築

弘木工業株式会社

成果IoT化により加工データを各設備に送信して製作準備時間が短縮された。

この事例のポイント

  • 鉄道車両メーカーからの海外向け需要急増により、電線ダクト等の部品生産能力を2倍にすることを求められていた。
  • 3D-CAD/CAMシステムを導入し、顧客の部品3D-CADデータをIoTで受信できるようにした。
  • IoT化により加工データを各設備に送信して製作準備時間が短縮された。3D-CAD/CAMシステムにより顧客の部品データの作図が容易になり、部品間の干渉を事前にチェックできるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名弘木工業株式会社
所在地山口県 下松市
業種金属製品製造業
技術分野精密加工
従業員数59人
資本金5,750万円
設立1950年

事業の背景

当社は昭和25年に和洋家具及び鉄道車両の部品加工メーカーとして創業し、昭和36年に株式会社となった。以後一貫して鉄道車両の構体部品、空調装置筐体、空調ダクト、電線ダクト等のアルミ製部品を加工生産し、断熱材を張り付けたモジュール部品を鉄道車両メーカーに納入してきた。大口顧客である鉄道車両メーカーでは海外鉄道車両の生産量が急増して2倍になっている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力鉄道車両メーカーからの海外向け需要急増により、電線ダクト等の部品生産能力を2倍にすることを求められていた。
  • 生産能力個々の設備更新による生産性向上は限定的で、一日の取扱い部品数が30,000点を超える生産現場には不十分だった。
  • 人手・技能電線ダクトの1セット製作時間が約100分、生産能力が約200セット/月にとどまっていた。

やったこと

3D-CAD/CAMシステムを導入し、顧客の部品3D-CADデータをIoTで受信できるようにした。ファイバーレーザ複合加工機を導入し、金型タップの自動交換やプレートの自動清掃を取り入れて連続無人運転を可能にし、レーザ加工エリアはシャッターで囲んで安全性を高めた。インバータ溶接機を導入し、1台で鉄、ステンレス、アルミに対応できるようにした。これらをIoTで結び、加工データを各設備に送信して複数加工設備の操作制御を可能にする新生産システムを構築した。

ソフト3D-CAD/CAMシステム
加工機ファイバーレーザ複合加工機
加工機インバータ溶接機

事業の効果

  • IoT化により加工データを各設備に送信して製作準備時間が短縮された。

3D-CAD/CAMシステムにより顧客の部品データの作図が容易になり、部品間の干渉を事前にチェックできるようになった。IoT化により製作準備時間が短縮された。ファイバーレーザ複合加工機で連続無人運転が可能になり、作業者の安全も向上した。インバータ溶接機は1台で複数材料に対応でき、防塵性が高くメンテナンス費用も低減できる。今後は品質管理や検査体制の構築も容易になり、他の部品や製品にも効果が及んで売上増加に寄与すると見込まれる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    鉄道車両部品の加工・モジュール納入を昭和25年から継続してきたと書かれ、過去の取組との一貫性はうかがえる。経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    大口顧客の海外鉄道車両生産量が2倍になったことが書かれ外部環境は読めるが、競争優位性を裏付ける自社の強み分析は具体的に書かれていない。

  • 課題の認識と解決4

    電線ダクトの生産能力が約200セット/月で2倍化が必要と課題を数字で示し、IoT化による複数設備制御で解決する方針が具体的に書かれている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    1セット製作時間約100分、生産能力約200セット/月を2倍化する目標が数字で示されている。賃上げや付加価値額の目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員数59人と記載はあるが、補助事業を遂行する人材や事務処理体制について具体的な記述は見当たらない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    顧客は鉄道車両メーカーで、海外受注増への対応と書かれているが、選ばれる理由や製品の差別化点は具体的に整理されていない。

  • 事業化までの道筋3

    3D-CAD/CAM導入、設備導入、IoT連携という段階的な手段は示されているが、スケジュールや課題解決の詳細は書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性40%
  • 新しさ・高付加価値2

    鉄道車両部品の加工という分野で、同分野の中での高付加価値化・高価格化を示す記述は読み取れない。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用3

    海外鉄道車両の増産に対応する部品供給の役割が書かれ、地域の雇用や波及効果への言及は薄いが、供給網への寄与はうかがえる。

  • 費用対効果3

    設備導入で生産性向上が見込まれると記載されているが、補助金投入額に対する付加価値増加の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献4

    3D-CAD/CAMとIoTによる複数設備の操作制御を導入し、鉄道車両の部品サプライチェーンの生産方式を変える取組として具体的に書かれている。

政策面30%
  • 成長分野への進出2

    海外鉄道車両需要の増加への対応は読めるが、成長分野への進出や日本経済の構造転換への言及は見当たらない。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

鉄道車両メーカーは海外から大量の鉄道車両を受注しており、今回の補助事業の成果は受注増加への対応に十分活かされている。今後も売上増加に貢献するとともに、販路拡大も期待できる。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。