ものづくり補助金平成28年度製造業山口県

ブラストチラー冷却技術を活用した「じねんじょう蒲焼」商品化ならび量産化

やまいもまつり有限会社

成果冷却・冷凍時間 8時間→1時間

この事例のポイント

  • 冷凍加工では解凍後のドリップや食味・風味の低下が起きやすく、想定した味や品質を保つことが難しかった。
  • 7社の機器を比較テストし、最も適したブラストチラー冷却機とプレハブ冷凍庫を導入した。
  • 冷却・冷凍時間 8時間→1時間。ブラストチラー冷却機の導入により、冷却・冷凍時間が約8時間から約1時間に短縮され、作業性と生産性が大きく向上した。

事業者のプロフィール

事業者名やまいもまつり有限会社
所在地山口県 周南市
業種食料品製造業
技術分野製造環境
資本金300万円

事業の背景

やまいもまつりは日本原産の自然薯を安定栽培し、年間約60トンを生産して専門料理店や居酒屋などの外食産業に卸している。早くから6次産業化に取り組み、炊き込みご飯の素や乾麺、漬物、焼酎、菓子などの加工品を展開してきた。2023年4月に加工場を併設した自然薯専門店「はなたかめん」をオープンした。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度冷凍加工では解凍後のドリップや食味・風味の低下が起きやすく、想定した味や品質を保つことが難しかった。
  • 生産能力じねんじょう蒲焼の冷凍は時間がかかり、量産化の体制が整っていなかった。
  • 新製品・新技術冷凍加工技術に課題があり、じねんじょう蒲焼の商品化・販路拡大に進めなかった。

やったこと

7社の機器を比較テストし、最も適したブラストチラー冷却機とプレハブ冷凍庫を導入した。ブラストチラー冷却機は一度に50個の「じねんじょう蒲焼」を冷凍できる。加熱調理後に急速冷却し、雑菌繁殖リスクの高い温度帯を約30分で通過させた後に冷凍化した。プレハブ冷凍庫は2.4万個の保管が可能で、在庫管理も容易になった。

  • 加工機ブラストチラー冷却機プレハブ冷凍庫

新しい製品・サービス:じねんじょう蒲焼(自然薯のとろろを使った冷凍加工品)

事業の効果

  • 冷却・冷凍時間 8時間→1時間
  • 最大氷結晶生成温度帯の通過時間 240分→20分
  • 加熱調理後に急速冷却し、雑菌繁殖リスクの高い温度帯を約30分で通過させた。
  • 冷凍庫で2.4万個の保管が可能になった。

ブラストチラー冷却機の導入により、冷却・冷凍時間が約8時間から約1時間に短縮され、作業性と生産性が大きく向上した。急速冷却で解凍後のドリップを抑え、食味や風味、ふくよかさを保てるようになった。冷凍庫の大容量化で在庫管理も容易になり、これまで廃棄していた自然薯を一次加工に使ってロスを減らし、コスト削減にもつながった。衛生環境も改善された。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.3 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 5
    地域経済への波及山口県周南市の日本原産種自然薯を40年の育種で安定供給し、年間約60トン生産と6次産業化で地域の特産品を高付加価値化している。
  • 4
    これまでの取組との一貫性40年の選抜育種や6次産業化への早期着手、自然薯の加工品展開など過去の取組の延長線上に冷凍加工品を位置付けており、一貫性が読み取れる。
  • 4
    課題の認識と解決冷凍時間が約8時間かかる課題を、ブラストチラーで約1時間に短縮し、最大氷結晶生成帯の通過を約4時間から約20分にする実効的な解決策が示されている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    イノベーションへの貢献急速冷凍技術の導入は示されるが、デジタル技術やサプライチェーン全体のイノベーションへの言及は薄い。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性4

    40年の選抜育種や6次産業化への早期着手、自然薯の加工品展開など過去の取組の延長線上に冷凍加工品を位置付けており、一貫性が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    日本原産種の安定供給体制と直営食事処での定着実績を強みとし、外食卸や土産品販路へ広げる方針が書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    冷凍時間が約8時間かかる課題を、ブラストチラーで約1時間に短縮し、最大氷結晶生成帯の通過を約4時間から約20分にする実効的な解決策が示されている。

事業の実現可能性3.2
  • 付加価値・賃上げの目標3

    冷却時間が約1/8に短縮され、2.4万個の保管が可能になったと示されるが、付加価値額や賃上げの目標値は記載がない。

  • 事業を進める体制3

    専門家のサポートを受けて申請しており、従業員を含めた課題把握や新商品開発の取組が書かれている。人員体制の具体は乏しい。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    飲食店・業務用をターゲットとし、直営食事処での人気や取引先ルートの活用で顧客ニーズを裏付けている。

  • 事業化までの道筋3

    今後の展望として業務用冷凍商品の開発や専門店を中心とした販路確立を挙げ、方向性は示されている。スケジュールは乏しい。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    自然薯の蒲焼は冷凍加工が難しいとされてきた分野で、年間約60トンの生産と高付加価値の専門店展開により差別化されている。

公的補助の必要性2.7
  • 波及効果・雇用3

    業務用の販路拡大やとろろロス削減によるコストダウンを通じ、地域の一次産品の活用と雇用・販路への波及が読み取れる。

  • 費用対効果3

    冷却時間の短縮や廃棄していた自然薯の有効活用によるコスト削減が示されるが、投入額に対する費用対効果の数値は記載がない。

  • イノベーションへの貢献2

    急速冷凍技術の導入は示されるが、デジタル技術やサプライチェーン全体のイノベーションへの言及は薄い。

政策面3.5
  • 成長分野への進出2

    冷凍加工品という成長分野への進出は読み取れるが、日本経済の構造転換への寄与を示す記述は弱い。

  • 地域経済への波及5

    山口県周南市の日本原産種自然薯を40年の育種で安定供給し、年間約60トン生産と6次産業化で地域の特産品を高付加価値化している。

今後の展望

今回開発したじねんじょう蒲焼を足がかりに、常温商品だけでなく冷凍商品の開発にも力を入れる。業務用は販売ロットが大きくパッケージを簡素化できるためコスト削減も期待できる。個人向けに加え、これまで培った取引先ルートを活用して専門店を中心に販路を確立する。自然薯は日本人が親しんできた滋養強壮食であり、「自然薯を食べると元気になる」というイメージ戦略で普及を進める。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。