ものづくり補助金平成28年度製造業佐賀県

レーザーマーカー導入で付加価値の高い包丁のデザイン力を向上させ販売量UP

吉田刃物株式会社

この事例のポイント

  • ダマスカス包丁の刻印濃度が均一でなく、約3%が不良品となっていた。
  • 課題を解決するため、包丁への打刻に使う最新式のレーザーマーカーを導入した。
  • レーザーマーカーの導入により、ブランド名やロゴマークに加えて細かい文字も鮮明にマーキングできるようになり、デザイン性が向上した。

事業者のプロフィール

事業者名吉田刃物株式会社
所在地佐賀県 多久市
業種金属製品製造業
技術分野デザイン
従業員数41人
資本金3,200万円
設立1980年

事業の背景

近年、高品質でデザイン性の高い日本製の包丁が海外で人気を集め、高価でも需要がある。品不足のため海外のバイヤーが地方の製造者を回る例も珍しくない。当社は戦後の農業用刃物を起点に刃物を量産してきた会社で、日本で最高硬度のステンレス刃物鋼ZDP189を使い、柔らかいステンレス材と合わせたクラッド材によるダマスカス包丁を開発した。海外富裕層をターゲットに販売を開始したところ、機能面で高い評価を得た。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度ダマスカス包丁の刻印濃度が均一でなく、約3%が不良品となっていた。
  • 品質・精度不良を避けるために打刻を強くすると、約10%に歪み等が発生していた。
  • コスト・採算不良品1丁につき約300円の修正費がかかり、修正には多くの時間と不要な傷が増えていた。
  • その他小さい文字の打刻が難しく、文字の配置に自由度がないため、ブランド名の追加など顧客要望や試作依頼に応えにくかった。

やったこと

課題を解決するため、包丁への打刻に使う最新式のレーザーマーカーを導入した。併せて、散乱光が外部へ出るのを防ぎ人体を保護するためのレーザーマーカー専用安全ボックスを導入した。印字物を固定する治具の製作、治具用の材料準備、印字するロゴデザインの準備を行った。見積書を2社から取り、納入業者を決めて発注した。機械納入後、ブランド名やロゴマークを鮮明に表記できること、ロット番号やサイズ・形状、ZDP189の文字などの細かい文字をマーキングできることを確認した。

  • 加工機レーザーマーカー
  • その他レーザーマーカー専用安全ボックス

新しい製品・サービス:最高硬度のステンレス刃物鋼ZDP189を使用したダマスカス包丁(当社オリジナル)

事業の効果

レーザーマーカーの導入により、ブランド名やロゴマークに加えて細かい文字も鮮明にマーキングできるようになり、デザイン性が向上した。デザイン構成や配列の変更も容易になり、顧客の要望に応じやすくなった。マーキングが均一になったことで不良発生のリスクが大幅に低下し、新製品の刻印製造作業も不要になった。さらに刻印ごとのプレス打刻の段取替が不要になり、作業が標準化されて誰もが作業できるようになったため、業務の効率化が実現した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.2 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性海外富裕層向けの需要や欧州販売の広がり、ZDP189と柔らかいステンレス材のクラッド材という自社技術の強みが具体的に書かれている。
  • 4
    課題の認識と解決刻印濃度の不均一で約3%が不良、打刻強化で約10%に歪み、1丁約300円の修正費という課題が数字で示され、レーザーマーカー導入で解決を図っている。
  • 4
    顧客とニーズの裏付けブランド名やロゴ、細かい文字の刻印で顧客要望に応えられる点や、海外富裕層向けの機能と美観という顧客ターゲットが明確に書かれている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標付加価値額や賃上げの目標値は示されておらず、不良率低下の効果のみ書かれている。目標値の実現可能性は読み取れない。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    初代からの刃物製造の歴史と、ダマスカス包丁の開発・海外販売拡大という一貫した流れが読み取れる。経営戦略上の位置付けは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    海外富裕層向けの需要や欧州販売の広がり、ZDP189と柔らかいステンレス材のクラッド材という自社技術の強みが具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    刻印濃度の不均一で約3%が不良、打刻強化で約10%に歪み、1丁約300円の修正費という課題が数字で示され、レーザーマーカー導入で解決を図っている。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの目標値は示されておらず、不良率低下の効果のみ書かれている。目標値の実現可能性は読み取れない。

  • 事業を進める体制3

    見積書を2社から取り、納入業者を決定して発注した手順や、治具・ロゴ準備の流れが書かれている。人材や事務処理体制の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    ブランド名やロゴ、細かい文字の刻印で顧客要望に応えられる点や、海外富裕層向けの機能と美観という顧客ターゲットが明確に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    治具製作や機械納入後の確認など導入の段取りは書かれているが、中長期の課題検証や今後のスケジュールは限定的である。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    ダマスカス包丁は10層以上の重ね合わせ技法を用い、最高硬度のステンレス刃物鋼を使うなど高付加価値品で、欧州で知名度が上がっていると書かれている。

公的補助の必要性2.7
  • 波及効果・雇用2

    日本の包丁産業が輸出の大半を占めるという言及はあるが、雇用創出や波及効果など国が補助する積極的理由は書かれていない。

  • 費用対効果4

    不良率約3%、修正費1丁約300円といった数字を示し、マーキング均一化で不良リスクが大幅に低下したと効果を述べている。投入額との比較は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    レーザーマーカーという新技術の導入は書かれているが、デジタル技術の活用による地域やサプライチェーンへの貢献までは書かれていない。

政策面3.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及3

    佐賀県多久市の製造業であることと、岐阜県関市や新潟県燕市・三条市との産地の比較が書かれているが、地域の経済成長への寄与は具体的でない。

今後の展望

需要の高い包丁には切れ味の良さとデザイン性が求められる。当社は海外富裕層をターゲットに、機能と美観を備えた特徴ある包丁を製造・販売し、存在感を高めていく考えである。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。