ものづくり補助金平成29年度学術研究、専門・技術サービス業群馬県

アミノ酸分析による熟成肉のうま味の評価法、及び機能性総合評価検査の革新的評価法の開発

株式会社食環境衛生研究所

この事例のポイント

  • 和食の特徴であるうま味は評価が難しく、味の差別化を図る国内生産者の取り組みが進んでいない。
  • 全自動アミノ酸分析機を導入し、A-5ランクの牛肉、B-5ランクの牛肉、輸入牛肉2種類の合計4種類の食肉を検査した。
  • アミノ酸と脂肪酸の成分量をベースにしたうま味の評価方法と機能性総合評価検査の革新的評価法を確立し、客観的な数値による差別化の体制を構築した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社食環境衛生研究所
所在地群馬県 前橋市
業種技術サービス業
従業員数85人
資本金1,000万円
設立1998年

事業の背景

当社は食の生産から流通加工、消費まで総合的に検査し、コンサルティングまで行う国内でも類を見ない事業範囲の企業である。TPPなどによる関税引き下げで安価な輸入食品が増え、食料自給率低下の危機が迫る中、国内生産者は独自の品質向上を求められている。和食は海外で評価が高く欧米で日本食ブームが続いている一方、熟成肉ブームが勃興し、食の安全性・信頼性確保が問われる中で食品関係の検査事業は今後も増加する見込みである。当社へのアミノ酸分析の依頼は年間50検体程度である。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • その他和食の特徴であるうま味は評価が難しく、味の差別化を図る国内生産者の取り組みが進んでいない。
  • その他自社食肉製品のブランド力向上に際し、うま味の客観的な数値による差別化が弊害になりがちである。

やったこと

全自動アミノ酸分析機を導入し、A-5ランクの牛肉、B-5ランクの牛肉、輸入牛肉2種類の合計4種類の食肉を検査した。脂肪酸組成分析では油脂分の脂肪酸を分離して含有量を測定し、イノシン酸分析は外部研究機関に委託した。これらの結果と日本食品標準成分表、自社で行った官能試験の結果をもとに、食肉中のアミノ酸及び脂肪酸の成分を定量化して基準値を確立した。基準値は、うま味、甘味、苦味、香気、口溶け、うま味の後味の6項目で、官能試験の結果と分析値を比較して分析値の換算方法を定めた。さらにγ-アミノ酪酸の分析を行い、健康面にも評価できる手法を確立した。γ-アミノ酪酸の分析時間短縮と試料の前処理工程の改良により、低価格でのサービスを実現した。

検査測定全自動アミノ酸分析機

新しい製品・サービス:熟成肉のうま味や機能性を数値で総合評価する検査サービス(アミノ酸・脂肪酸分析によるうま味評価法と、γ-アミノ酪酸分析を含む機能性総合評価検査)

事業の効果

アミノ酸と脂肪酸の成分量をベースにしたうま味の評価方法と機能性総合評価検査の革新的評価法を確立し、客観的な数値による差別化の体制を構築した。γ-アミノ酪酸の分析で健康面の評価も出せるようにし、熟成肉ブームや機能性表示食品市場の拡大に貢献できると確信している。分析時間短縮と前処理改良により低価格のサービスを実現した。事業化初年度の検査売上を400万円と予測し、5年間で約5,000万円の売上を目指す。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性2

    1998年設立の検査会社が食肉検査を事業化し、今回のアミノ酸分析の革新的評価法に取り組んだ点がうかがえるが、経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    国内では類を見ない事業範囲を持つと述べ、アミノ酸分析の依頼が年間50検体程度ある点から、自社の強みと市場の差別化ニーズを結びつけて読み取れる。

  • 課題の認識と解決3

    輸入増による自給率低下や国内生産者の品質向上要請という課題認識はあるが、高付加価値化に向けた計画の詳細は薄い。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    事業化初年度の検査売上400万円、毎年1.5倍増、5年間の総売上目標約5,000万円と数値で示されている。

  • 事業を進める体制3

    ISO17025やGLPなどの基準に言及し、アミノ酸自動分析システムを導入した体制はうかがえるが、人材や事務体制の記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    うま味を客観的数値で示す差別化をブランド力向上に結びつけ、熟成肉ブームや機能性表示食品市場を顧客ターゲットとして挙げている。

  • 事業化までの道筋3

    基準値の確立、分析時間短縮や前処理改良など遂行方法は示されるが、スケジュールの詳細は読み取れない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    和食のうま味は評価が難しく実際には進んでいないと指摘し、数値化による高水準の差別化を図る点が具体的に読み取れる。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用3

    和食の海外評価や食料自給率低下への危機感は述べられるが、雇用や波及効果の数字は示されていない。

  • 費用対効果3

    分析時間短縮や前処理改良で低価格サービスを実現したとあるが、補助金額に対する付加価値増加の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献4

    γ-アミノ酪酸による健康面の評価手法や、アミノ酸と脂肪酸を組み合わせた新しい評価サービスの確立が具体的に書かれている。

政策面50%
  • 成長分野への進出3

    食料自給率低下の危機や和食の海外評価に触れ、食品検査分野の成長見込みを述べているが、構造転換との関係は薄い。

  • 地域経済への波及2

    前橋市所在の企業とあるが、地域の特性を活かした付加価値や雇用創出についての記述はわずかにうかがえる程度。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

熟成肉ブームや機能性表示食品市場の拡大に貢献でき、5年間で総売上約5,000万円を目指す。

  • 目標:事業化初年度の検査売上を400万円と予測
  • 目標:毎年1.5倍ずつ増加し、5年間の総売上目標を約5,000万円とする

業種と困りごとが近い成果事例

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出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。