ものづくり補助金平成24年度奈良県

建設機械の燃料送給回路へ取付け可能な不正燃料判別器の試作開発

三晃精機株式会社

成果判別精度80%を達成

この事例のポイント

  • 色相値だけの判別には限界があり、軽油に灯油もしくはA重油を混合した不正燃料の判別精度に問題があったため、判別精度の向上が望まれた。
  • 燃料に近紫外線領域の光線を照射して吸光強度を測定する判別方法を開発した。
  • 判別精度80%を達成。紫外線照射による吸光強度測定を加えたことで、従来の屈折率計では困難だった不正軽油の判別が可能になった。

事業者のプロフィール

事業者名三晃精機株式会社
所在地奈良県 大和高田市
業種一般機械器具製造業
技術分野組込みソフトウェア
従業員数12人
資本金4,000万円
設立1970年

事業の背景

当社は建設機械・農業機械業界向けに自社開発商品を自社ブランドで販売し、各メーカーにOEM供給している。不正燃料は軽油に軽油より税が低いA重油や灯油を混ぜて販売・利用される問題が後を絶たず、ディーゼルエンジンの破損や住民の健康・環境への悪影響も指摘されている。当社は安価で温度補正の不要な色相値判別を実用化しており、その高精度化による市場開拓と社会的貢献を目指した。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力色相値だけの判別には限界があり、軽油に灯油もしくはA重油を混合した不正燃料の判別精度に問題があったため、判別精度の向上が望まれた。
  • 品質・精度従来の比重計・屈折率計による判別は高価で、機器の耐久性が低く建設機械の運転時に測定できず、温度補正とその解除(イニシャライズ)が手間であった。

やったこと

燃料に近紫外線領域の光線を照射して吸光強度を測定する判別方法を開発した。燃料種別に対する軽油設定範囲を作成し、従来の色相値の軽油設定範囲と整合させた。色相値だけの判別より高精度な不正燃料の判別を実現し、判別精度80%を達成した。従来2ピースだった判別機を、色相値と吸光強度の2種類の測定が可能な1ピースの筐体にサイズダウンし、145mm×75mm×55mm、0.4kgとした。製品価格は30万円から8万円へ低減する取り組みを行った。取扱いはパソコンで誰でもできるよう操作を簡略化した。

検査測定建設機械装着型不正燃料判別機

新しい製品・サービス:紫外線照射による吸光強度測定機能を備えた、建設機械装着型の不正燃料判別機(1ピース筐体)

事業の効果

  • 判別精度80%を達成
  • 製品価格 30万円→8万円
  • 2ピースから1ピースへ、145mm×75mm×55mm、0.4kg

紫外線照射による吸光強度測定を加えたことで、従来の屈折率計では困難だった不正軽油の判別が可能になった。判別機は2ピースから1ピースへコンパクト化され、機械への搭載が容易になった。製品価格も30万円から8万円へ下がり、環境保護、脱税防止、破損防止への貢献が期待される。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    既存の色相値判別と「当社独自のデータベース」を活かし判別機を開発する流れが読み取れるが、経営戦略上の位置付けの明記は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    不正燃料問題の現状と、比重計・屈折率計より安価で温度補正不要な色相値判別への着目、独自データベース構築が具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決3

    課題として色相値判別の精度限界を挙げ、近紫外線照射で解決する方針は読み取れるが、事業計画としての売上や成長の見込みは薄い。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    判別精度80%達成や製品価格30万円から8万円への低減が示されるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員12名、取締役社長の記載はあるが、補助事業を遂行する担当体制や事務処理能力の具体的記述はない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    建設機械・農業機械への装着、不正燃料の脱税防止や環境・破損防止というニーズ、8万円への価格低減など、選ばれる理由が具体的。

  • 事業化までの道筋2

    今後の事業スケジュールとして海外展開の方針はあるが、遂行方法や期間、課題解決の進め方の具体的記述は乏しい。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    軽油と類似燃料の不正判別は一般的でなく、紫外線吸光による判別で従来の屈折率計では困難な不正軽油を判別可能にした点が特徴。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用4

    不正軽油による大気汚染・人体影響・脱税という社会課題の解決に寄与する点が書かれ、国が補助する理由が読み取れる。

  • 費用対効果2

    価格低減やエンジン破損・修理コスト減が挙げられるが、補助金投入額に対する費用対効果を示す数値はない。

  • イノベーションへの貢献2

    紫外線照射判別や1ピース化などの技術改良はあるが、サプライチェーン全体のイノベーションへの貢献までは書かれていない。

政策面30%
  • 成長分野への進出2

    海外の粗悪燃料対策としての需要とBAUMA CHINA出展がうかがえるが、日本経済の構造転換への言及はない。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

国内では脱税になる不正燃料だが、海外では粗悪燃料対策として本器の需要があるため、国内はもとより海外に軸足を置いて展開したいと考えている。BAUMA CHINA 2014に出展した。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。