ものづくり補助金平成29年度製造業京都府

京黒紋付染の技術を活用し衣類を黒く染め直して価値を上げる「KURO FINE」プロジェクト

株式会社京都紋付

成果歩留率 92%→100%

この事例のポイント

  • 衣類の染め替えの大量受注に対応するには製造キャパシティが不足しており、ボトルネック工程の解消が必要だった。
  • インターネットシステムと脱水機を導入した。
  • 歩留率 92%→100%。受注システム導入により製品情報を事前に入手でき適切な仕分けが可能になり、脱水工程の品質管理が向上した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社京都紋付
所在地京都府 京都市
業種繊維工業
従業員数4人
資本金2.25億円
設立1915年

事業の背景

1915年創業の京黒紋付染の老舗で、黒紋付の染色を中心に事業を続けてきた。着物市場は大幅に縮小しており、紋付の染めだけでは事業維持が難しい状況だった。同業他社が廃業する中、深黒加工技術を活かして有名アパレルメーカーのOEM黒染加工や、一般消費者向けの衣類の黒染め替え事業を展開していた。染め替え事業は高校の教科書や環境庁のサイトにも紹介されるなど反響が大きかった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力衣類の染め替えの大量受注に対応するには製造キャパシティが不足しており、ボトルネック工程の解消が必要だった。
  • 品質・精度深黒加工後の脱水工程は職人の経験と勘に任せていたため生産性が悪く品質も安定せず、一定の不良率が出ていた。
  • 人手・技能脱水時に異なる素材が必要以上に擦れて破損などの事故が起こることがあり、人任せの仕分けが原因の一つだった。
  • 人手・技能高温多湿の工場内での脱水作業は職人の身体的負荷が大きかった。
  • その他染め替え依頼の受注方法が手入力中心で、衣類の量が事前にわからず生産計画が立てにくかった。

やったこと

インターネットシステムと脱水機を導入した。消費者にインターネット上で発注情報や製品情報(素材、重量、アイテム名)を入力してもらう受注方式に変更した。過去の事故や人任せの仕分けを分析して素材・アイテムごとの仕分けルールを作成した。脱水時間、重量、素材ごとの仕上がり評価を行い、職人の経験と勘を形式知化して商品ごとに最適な脱水プログラムを作成した。最新式の脱水機(懸垂型脱水機)を導入し、脱水能力を高めた。

加工機懸垂型脱水機
ソフトインターネットシステム(受注システム)

事業の効果

  • 歩留率 92%→100%

受注システム導入により製品情報を事前に入手でき適切な仕分けが可能になり、脱水工程の品質管理が向上した。深黒加工の発色ムラもなくなり、職人が絞る際の衣類への負担も大幅に軽減された。顧客情報と製品情報を消費者が直接入力する仕組みで情報精度が上がり生産計画の精度も向上した。最新式脱水機により脱水能力が向上し、染色工程と脱水工程の作業時間が大幅に削減されてコスト削減と収益力向上につながった。また職人の肉体負荷が軽減された。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.2 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    創業1915年以来の黒紋付染一筋という経緯と、深黒加工を核にした染め替え事業への展開が明記されており、一貫性が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    着物市場の縮小と同業他社の廃業を背景に、独自の深黒加工技術と大手アパレル協業を強みとして事業転換する構図が書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    受注の不安定さや脱水工程の課題を分析し、仕分けルール化と脱水機導入で大量受注に対応する具体策が示されている。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    歩留率92%からほぼ100%への向上など改善の方向は示されるが、付加価値額や賃上げの目標値は記載がなく、わずかにうかがえる程度。

  • 事業を進める体制2

    従業員4人の小規模体制と職人の作業に触れるのみで、補助事業を遂行する人材や事務処理体制の具体的記述は乏しい。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    深黒加工の色明度0に近い技術価値や、染め替えを求める消費者・アパレル企業というターゲットが具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋3

    REWEARプロジェクトの今後のBtoBシステム化や専用プリペイドカード計画は示されるが、スケジュールや課題解決の方法は詳細がない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性100%
  • 新しさ・高付加価値5

    色明度0に限りなく近い世界最高レベルの深黒加工技術で、同分野で高水準の高付加価値化を図ることが数値とともに示されている。

公的補助の必要性73%
  • 波及効果・雇用4

    伝統芸能の黒紋付を守ることや、衣類廃棄削減とSDGs貢献、教科書や全国紙での紹介など社会的意義が具体的に書かれている。

  • 費用対効果3

    歩留率の向上や作業時間の大幅削減などの効果は書かれるが、補助金額に対する費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献4

    受注システム導入と脱水機の組み合わせで、アパレル・リサイクル店との連携を進めるサプライチェーン上の取組が書かれている。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    衣類の染め替えによるサーキュラーな取組は記載があるが、日本経済の構造転換への言及は明確ではなくわずかにうかがえる程度。

  • 地域経済への波及3

    京都の伝統産業である黒紋付染の地域性は読み取れるが、地域雇用や地域経済成長への波及は具体的に書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

REWEARプロジェクト「K」として、BtoBに特化したシステムの開発や、染め替えサービス専用プリペイドカードの発行を計画している。アパレルメーカーが販売時点から将来の染め替えを想定したデザインの洋服を販売する取り組みも行っている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。