ものづくり補助金平成29年度製造業京都府

ICT技術活用による生産プロセスの革新

HILLTOP株式会社

成果現状の作成時間の50%改善を目標とし、平均で55.4%改善を達成

この事例のポイント

  • 毎年の設備投資と人件費の増大により労働生産性が低下している。
  • 現在使用しているプログラム作成システムCOMを分析し、まだ自動化されていない穴加工プロセスに着目した。
  • 現状の作成時間の50%改善を目標とし、平均で55.4%改善を達成。プログラム作成時間は平均で約55%短縮し、作成コストも約55%改善して目標を達成した。

事業者のプロフィール

事業者名HILLTOP株式会社
所在地京都府 宇治市
業種生産用機械器具製造業
技術分野精密加工
従業員数123人
資本金3.6億円
設立1961年

事業の背景

1961年創業の会社で、自動車・医療機器・ロボット等の分野の大手製造メーカーへ試作品を納入している。アルミニウム合金の試作開発市場は年々拡大しており、小ロットのアルミニウム合金切削加工で事業を拡大してきた。受注率は現在の水準からあり、プログラム作成時間を短縮できれば5年後の受注率を約2倍に改善できる見込みである。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力毎年の設備投資と人件費の増大により労働生産性が低下している。
  • コスト・採算3軸および5軸の単純形状のワークではプログラム作成コスト比率が高く利益率が低い。
  • 人手・技能プログラム作成時間の短縮が必要だが、現在のプログラム作成は手作業が主体である。
  • 新製品・新技術テレワークができる環境を整えるためVDI(仮想デスクトップ基盤)を開発する必要がある。

やったこと

現在使用しているプログラム作成システムCOMを分析し、まだ自動化されていない穴加工プロセスに着目した。穴加工形態の認識と穴加工条件の最適化を技術課題とし、穴径・穴深さ/穴径・主軸回転数・送り速度の4項目について条件を変えたテストカットサンプルを作製し、穴径精度・加工時の音と振動・表面粗さの3項目で良好と不良の2レベルで評価した。VDI上でCOMを社外のPCから実際に運用し、3軸および5軸の単純形状ワークでプログラム作成を行い、作成時間を大幅に短縮した。社外PCではデータを保存できず、処理はサーバ上で行う仕組みを構築した。

その他高機能サーバ(COM及びVDIを具現化するためのもの)
その他CPU演算用サーバシステム(30台構成)

新しい製品・サービス:COMlogiQ(コムロジック):部品加工工程の自動プログラミングサービス。2022年に販売予定。

事業の効果

  • 現状の作成時間の50%改善を目標とし、平均で55.4%改善を達成
  • 現状のコストの50%改善を目標とし、55.4%改善を達成
  • 精度穴の目標±0.005mmに対し、達成値±0.005mm

プログラム作成時間は平均で約55%短縮し、作成コストも約55%改善して目標を達成した。穴加工の自動加工プログラムの作成に成功し、精度穴の加工精度も目標値を達成した。ワーク毎の利益率も社内目標値以上を達成し、ユーザへの試作品提示で事業化に問題ないことを確認した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.3 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    1983年からICTに取り組み、既存の加工プログラム自動作成システムCOMを発展させる流れが一貫して読み取れます。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    アルミ試作市場は年々拡大と記載され、5年後の受注率を約2倍に改善する数値目標があり、強みを活かす方向性が明確です。

  • 課題の認識と解決4

    利益率の低さとプログラム作成コスト比率の高さを課題と特定し、作成時間短縮と受注件数約2倍の目標を示しています。

事業の実現可能性68%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    プログラム作成時間を現状の50%改善する目標に対し55.4%改善を達成したと記載され、数値の裏付けがあります。賃上げ目標は記載がありません。

  • 事業を進める体制4

    従業員123人、プログラマーの約2倍増員と半数の在宅テレワーク計画、群馬県産業技術センターの専門家指導が記載されています。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    試作品をユーザに提示して評価を受け事業化に問題ないと確認したとありますが、顧客ターゲットや選ばれる理由の詳細は薄いです。

  • 事業化までの道筋4

    テストカットの条件選定、評価3項目の判定、専門家コメント、2022年販売予定など、段階的な遂行方法と時期が記載されています。

  • 財務と資金の調達2

    資本金36,000千円の記載はありますが、財務状況や金融機関からの資金調達の見込みは記載がありません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    5軸複雑形状は受注割合が高く受注単価と利益率も高いと記載され、同分野で高付加価値化を図る方向がうかがえます。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用2

    国が補助する理由として挙げられる波及効果や雇用創出の記載は見当たらず、取引先の実績紹介にとどまります。

  • 費用対効果2

    受注件数が約2倍に増加すると記載がありますが、補助金額に対する付加価値増加などの費用対効果は示されていません。

  • イノベーションへの貢献5

    COMとVDIの開発、AIを用いた自動加工プログラム作成、クラウド処理、30台のCPUサーバ構成など、デジタル技術の活用が具体的に記載されています。

政策面50%
  • 成長分野への進出3

    ICTによる24時間生産システムとAI連携のソフトウエア販売への事業範囲拡大が記載され、製造の構造転換の方向がうかがえます。

  • 地域経済への波及2

    京都府宇治市に所在することは分かりますが、地域特性を活かして雇用や地域経済を牽引する記載は見当たりません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

2022年にCOMlogiQを販売予定。部品加工からソフトウエア販売まで事業範囲が大きく広がり、HILLTOP SystemとAIを用いた自動加工プログラム作成システムを連動させ、NCデータと加工手順書をクラウド上で自動作成して誰でも簡単にものづくりできるようにする。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。