ものづくり補助金平成29年度製造業奈良県

製麹工程の刷新による高品質うすくち醤油の試作製造事業

この事例のポイント

  • 淡口醤油の麹作りでは温度管理が安定せず、完成品の品質が創業当時からの麹室の設備的な限界による妥協点になっていた。
  • 淡口醤油の品質向上には、麹菌の発酵ムラをなくすため徹底した温度管理が最も重要である。
  • スペースが狭くなったことで温度ムラと発酵ムラが解消された。

事業者のプロフィール

所在地奈良県 御所市
業種食料品製造業
技術分野バイオ

事業の背景

関西では淡口(うすくち)醤油がよく使われるが、一般に濃口醤油に比べて旨味が少なく塩分が強いと言われている。当蔵は競合が少ない淡口醤油に着目し、塩分が抑えられ旨味が強く色は薄いままの家庭で使いやすい淡口醤油の開発に数年前から取り組んできた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度淡口醤油の麹作りでは温度管理が安定せず、完成品の品質が創業当時からの麹室の設備的な限界による妥協点になっていた。

やったこと

淡口醤油の品質向上には、麹菌の発酵ムラをなくすため徹底した温度管理が最も重要である。そこで補助事業では、温度制御システム付きのコンパクトな製麹設備(麴室)を導入した。従来の広い麹棚では場所によって温度ムラが発生していたが、コンパクトな室に小分けすることで発酵塊の拡散がスムーズに行えるようになった。

加工機温度制御システム付きコンパクト製麹設備(麴室)

新しい製品・サービス:高品質なうすくち(淡口)醤油

事業の効果

スペースが狭くなったことで温度ムラと発酵ムラが解消された。製麹工程における作業効率も格段に向上した。理想的な麹作りの環境が整い、醸造後の醤油品質の向上も実現できた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    大正時代の木桶と「うすくち」重視の構成が示され、淡口醤油の開発に数年取り組んだ経緯から一貫性はうかがえるが、経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    淡口醤油は競合が少なく関西以外でも受け入れられる可能性があると述べられ、奈良県産大豆や大鉄砲大豆の希少性も強みとして読み取れるが、市場データは示されていない。

  • 課題の認識と解決4

    麹室の温度ムラ・発酵ムラという課題が具体的に示され、温度制御付き麹室を1基導入して解決する計画が書かれている。

事業の実現可能性44%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    麹作りの改善や作業効率の向上は書かれているが、付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制2

    木桶職人や醸造に関わる体制の記述はあるが、補助事業を遂行する人材や事務体制の具体的な記載は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    塩分が抑えられ旨味が強く色は薄いという製品価値と、家庭で使いやすい淡口醤油を狙うターゲットが明確に書かれている。

  • 事業化までの道筋2

    数年がかりで試行錯誤したことや設備刷新の方向性はあるが、スケジュールや課題解決の具体的な方法は示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    淡口醤油は競合が少なく、旨味が強く色が薄いという高付加価値の差別化が、関西で一般的な淡口の常識を覆す形で示されている。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用4

    奈良県産大豆と希少な大鉄砲大豆の保全、耕作放棄地での栽培推奨など地域還元と地域経済への波及が具体的に書かれている。

  • 費用対効果2

    作業効率の向上や品質向上は書かれているが、補助金額に対する付加価値増加や生産性の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献1

    公開されている事例からは読み取れません。

政策面70%
  • 成長分野への進出2

    木桶仕込み醤油の海外輸出促進やFOODEX出展が書かれ、市場開拓の方向性はうかがえるが、日本経済の構造転換への言及はない。

  • 地域経済への波及5

    奈良県産大豆と大鉄砲大豆を用い、県内唯一の醤油蔵として地域の原料保全と耕作放棄地活用に取り組むと具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。