ものづくり補助金平成29年度製造業高知県

自動抄造工程による手漉き和紙に限りなく近い和紙の製造

ひだか和紙有限会社

成果1日あたりの生産枚数 250枚→6,500枚

この事例のポイント

  • 手漉き和紙の供給が追いつかず、受注後半年から1年待ちの状態になっている。
  • 輸入楮100%と当社独自の塩素未使用漂白処理を行った原料を用い、既存の抄造ラインに原料配合装置と原料供給システムを新たに追加した。
  • 1日あたりの生産枚数 250枚→6,500枚。1日あたりの生産量は手漉きの約250枚から6,500~7,000枚程度へ大幅に向上した。

事業者のプロフィール

事業者名ひだか和紙有限会社
所在地高知県 日高村
業種パルプ・紙・紙加工品製造業
技術分野製造環境,製造環境
従業員数9人
資本金500万円
設立1987年

事業の背景

当社は世界一薄い典具帖紙などの和紙を製造している。手漉き和紙は版画用紙や書道紙などの画材として大きな市場があるが、国内の生産者は高齢化と後継者不足で減少し、供給が追いつかない状態である。中国、台湾、韓国などでは楮を用いた紙が安価に製造され、買い手が納期や価格を理由に他国の紙へ切り替えると受注を取り戻すのは困難である。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力手漉き和紙の供給が追いつかず、受注後半年から1年待ちの状態になっている。
  • 新製品・新技術手漉き和紙と同等の和紙を機械で大量に作る技術が必要だった。
  • 品質・精度機械漉きでは四方耳付きの手漉き風合いを再現するため、繊維の状態を安定させる原料の配合と供給が必要だった。

やったこと

輸入楮100%と当社独自の塩素未使用漂白処理を行った原料を用い、既存の抄造ラインに原料配合装置と原料供給システムを新たに追加した。原料配合装置で手漉きの風合いを出すための最適な配合を行い、原料供給装置で厚手の和紙を隙間を空けながら1枚ずつ抄造できるようにした。配合濃度調整設備と抄紙スピード調整装置も導入している。これにより薄手の和紙と厚手の和紙を同時に抄紙して貼り合わせることが可能となり、四方耳付きの手漉き風和紙を機械で製造できるようになった。

加工機原料配合装置
加工機原料供給システム
加工機配合濃度調整設備
加工機抄紙スピード調整装置

新しい製品・サービス:手漉き和紙に限りなく近い和紙(独自製法による手漉き風和紙)

事業の効果

  • 1日あたりの生産枚数 250枚→6,500枚
  • 機械漉きでは1枚あたり300~500円となり、原料コストと人件費を抑えて買い求めやすい価格で大量に供給できる体制が整った。

1日あたりの生産量は手漉きの約250枚から6,500~7,000枚程度へ大幅に向上した。機械漉きにより1枚あたりの単価は300~500円となり、手漉きの500~1,000円より抑えられた。原料コストと人件費も抑えられ、買い求めやすい価格で大量に供給できる体制が整った。手漉き風の四方耳付き和紙を機械で製造できるようになり、受注回復と新たな分野への販路拡大が期待される。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    昭和44年の懸垂式短網抄紙機導入以来、機械漉きを研究してきた経緯が書かれ、過去の取組との一貫性がうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    手漉き和紙の供給不足と受注後半年から1年待ちの状況、塩素未使用漂白技術を強みとして挙げ、市場と自社資源の関係が示されている。

  • 課題の認識と解決4

    手漉き和紙の供給量不足という課題に対し、1日250枚から6,500〜7,000枚への増産で応える計画が示されている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    1日250枚程度から6,500〜7,000枚へと生産量の目標数値が示され、単価も手漉き500〜1,000円から機械漉き300〜500円と具体的である。

  • 事業を進める体制2

    従業員9名という記載はあるが、補助事業を遂行する体制や人材の配置についての記述は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    手漉き風の四方耳付き和紙を版画用紙や書道紙の用途で売り込むと明記され、ターゲットと選ばれる理由が示されている。

  • 事業化までの道筋3

    今後の販売計画として海外PRやサイズ対応の技術ブラッシュアップが挙げられているが、スケジュールや課題解決方法は具体性が薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性100%
  • 新しさ・高付加価値5

    手漉き風の機械漉き和紙は、手漉き和紙と同等の風合いを大量に安価で作る高付加価値の新商品として位置づけられている。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    文化財修復に使われる和紙の国内供給を守る意義が書かれているが、雇用や波及効果の数値は示されていない。

  • 費用対効果4

    設備導入による生産量の大幅向上と単価低下が数値で示され、費用対効果を読み取れる内容になっている。

  • イノベーションへの貢献2

    原料配合と供給の自動化は示されるが、先端的なデジタル技術やサプライチェーンへの貢献は明確ではない。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    手漉き和紙産業の担い手不足への対応としてうかがえるが、日本経済の構造転換に資するとは明示されていない。

  • 地域経済への波及4

    高知県の紙漉き文化と典具帖紙の伝統を活かし、地域の産業を守る事業であることが具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

楮100%の手漉き風和紙は版画用紙や書道紙の用途で大きな需要が見込まれ、海外アーティストにも人気があるため海外向けのPRにも力を入れる。お札や掛け軸などを扱う神社仏閣の売上や文化財修復部門での売上も期待でき、サイズ対応の技術もブラッシュアップして新たな分野への販売を拡大する。

  • 目標:手漉き和紙の1枚あたりの単価は500~1,000円であった。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。