ものづくり補助金平成30年度製造業北海道

業界初!1億万画素の褪色復元機で新市場を開拓し雇用を拡大する事業

株式会社アイワード

この事例のポイント

  • カラー写真の色素が経年で変色し元の色が失われるため、その色を科学的に復元する技術が必要だった。
  • 道総研との共同研究で、経年変化で褐色したカラー写真の色を科学的に復元する「アイワード・デジタイズ・システム」を開発した。
  • 小型のポジフィルムやプリントに加え、大型のポジ・ネガ、絵画や書、古地図などの専門書写真にも対応できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社アイワード
所在地北海道 札幌市
業種印刷・同関連業
従業員数240人
資本金6.719億円
設立1965年

事業の背景

札幌市に本社を構える道内印刷大手で、本の印刷・製本などブック印刷が主力であり、美術書や写真集、医学書などの高級カラー印刷にも強みがある。印刷業界では21世紀に入りフィルムからデジタルへの転換で専用カラースキャナの供給が止まり、アナログ原稿を高精細にデジタル化できる会社が少なくなっていた。カラーフィルム約80年の歴史で記録された写真は色あせの危機にあり、2010年前後から復元技術の研究を進めてきた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術カラー写真の色素が経年で変色し元の色が失われるため、その色を科学的に復元する技術が必要だった。
  • 生産能力印刷専用カラースキャナの販売とサポートが世界的に中止され、アナログ原稿から高精細データを作成できる印刷会社はほぼ皆無になっていた。
  • 新製品・新技術褐色写真の復元は2015年の時点で開発したデジタイズ・ワークフローを改良する必要があり、より高画質な復元機の開発が求められていた。

やったこと

道総研との共同研究で、経年変化で褐色したカラー写真の色を科学的に復元する「アイワード・デジタイズ・システム」を開発した。1億4680万画素の復元機で、複数のレンズを同時に使うマルチカメラを採用し、最大A0サイズの撮影ができる原稿ユニットと、各種サイズのフィルムに対応するカートリッジを備えている。写真原稿に均一な照明をあてるシミュレーションソフトを実装し、コントロールパネルで照明位置を確認できる。手書き原稿や画板のイラストなどアナログ原稿のデジタル化も可能にした。

  • その他アイワード・デジタイズ・システム褐色写真復元機
  • 検査測定マルチカメラ・マクロレンズ
  • その他原稿ユニット最大A0サイズ対応

新しい製品・サービス:褐色写真を科学的に復元する「アイワード・デジタイズ・システム」(1億4680万画素)

事業の効果

小型のポジフィルムやプリントに加え、大型のポジ・ネガ、絵画や書、古地図などの専門書写真にも対応できるようになった。美術館・博物館向けの4K、8K動画データも作成可能となり、医学、芸術、考古、歴史、地理、建築などの分野から全国の引き合いを得て受注が増加している。今後はPR活動を強化し、海外からの受注拡大を目指している。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    これまでの取組との一貫性2015年の復元技術開発から2019年の1億4680万画素機へと段階的に発展させ、ブック印刷の既存事業と連続した取組として位置づけられている。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け美術館・博物館の4K、8K動画作成や医学・考古・歴史など分野別の全国からの引き合いが具体的に挙げられ、顧客ターゲットが明確である。
  • 4
    新しさ・高付加価値褐色写真の復元は一般的な普及度が低く、業界初の1億4680万画素の復元機で新市場を開拓していると書かれている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標2022年3月期に約6億円の売上高を達成したとあるが、今回の事業計画における付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性4

    2015年の復元技術開発から2019年の1億4680万画素機へと段階的に発展させ、ブック印刷の既存事業と連続した取組として位置づけられている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    業界初の復元機である点や、美術書・写真集での高い技術力は読み取れるが、市場規模や競合との比較データは示されていない。

  • 課題の認識と解決3

    印刷業界でアナログ原稿を高精細化できる会社が少ない状況が課題として示されるが、事業計画上の高付加価値化の数値目標は書かれていない。

事業の実現可能性2.8
  • 付加価値・賃上げの目標2

    2022年3月期に約6億円の売上高を達成したとあるが、今回の事業計画における付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制3

    道総研との共同研究体制や社員240名、開発に取り組んできた部署の存在はうかがえるが、補助事業を遂行する人員配置や事務体制の具体的記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    美術館・博物館の4K、8K動画作成や医学・考古・歴史など分野別の全国からの引き合いが具体的に挙げられ、顧客ターゲットが明確である。

  • 事業化までの道筋2

    海外受注やPR活動に力を入れたいという方向性はあるが、遂行スケジュールや課題の解決方法の具体的な記述は見当たらない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    褐色写真の復元は一般的な普及度が低く、業界初の1億4680万画素の復元機で新市場を開拓していると書かれている。

公的補助の必要性3.3
  • 波及効果・雇用4

    約80年分のカラー写真という社会資産の散逸を防ぐ公共性が示され、美術館・博物館の動画データ作成などの波及も書かれている。

  • 費用対効果2

    受注増加と売上6億円の達成は示されるが、補助金投入額に対する付加価値増加や費用対効果の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献4

    マルチカメラや照明シミュレーションソフトなど先端的なデジタル技術を活用し、アナログ原稿のデジタル化に貢献する点が具体的に書かれている。

政策面2.5
  • 成長分野への進出2

    アナログ写真の復元という新市場への進出はうかがえるが、日本経済の構造転換に資するという観点の記述は限定的である。

  • 地域経済への波及3

    北海道の地方の印刷会社であることや道総研との連携は書かれるが、地域の雇用創出や経済成長への具体的な効果の記述は薄い。

今後の展望

今後はPR活動に力を入れ、海外からの受注も伸ばしたい考えである。

  • 目標:2022年3月期に約6億円の売上高を達成

事業者の声

カラーのアナログ写真の時代は約80年間ありました。その間に撮られたカラー写真はどんどん褐色しています。あと50年、100年もしたら、色も形も完全に消滅してしまうでしょう。時間の猶予はもうありません。約80年のカラー写真の歴史をゼロにしていいのか、この時代のカラー写真という社会資産をきちんと残さなくていいのか、という焦りが私たちにはありました。どうしたら褐色したカラー写真を元通りの色に復元できるのか。最初は理科室の実験レベルの試みでした。それでも辛抱強く試行錯誤を繰り返すうちに、写真に残された色素の信号を読み取る方法にたどり着きました。そして、その方法をベースに北大、道総研と共同研究していく中で科学的な裏付けがなされ、現在、当社独自のカラー写真復元技術を確立することができました。歴史に残るような技術を開発できたと自負しています。印刷業界は、技術面で取り残されると、あっという間に消滅してしまう状況にあります。常に危機感をもって、時代の流れを読み、顧客のニーズに合った高い技術力を磨き続けなければなりません。どこにも負けない技術力と品質の高さを、道内・国内はもとより、海外でも認知してもらい、「写真集や美術書を作るなら、北海道のアイワードで印刷したい」というブランドイメージを浸透させたい。それが私たちの夢です。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成30年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。