ものづくり補助金平成24年度和歌山県

過熱水蒸気を用いる新規梅加工設備の導入と新しい梅素材の開発

株式会社VSフィット

成果糖度 7.7%→8.6%

この事例のポイント

  • 梅の漬物としての需要が年々減り続け、梅農家の事業運営が苦しくなっていた。
  • 過熱水蒸気を利用した梅加工設備一式を購入し、製品の試作開発と成分分析を行った。
  • 糖度 7.7%→8.6%。過熱水蒸気処理により梅の糖度が上がり甘みが増し、水可溶性ペクチンも大幅に増加するなど、良好な成分値が得られた。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社VSフィット
所在地和歌山県 田辺市
業種食料品製造業
技術分野切削加工
従業員数8人
資本金100万円
設立2013年

事業の背景

2013年5月に和歌山県田辺市で設立された果実原料製造・販売のベンチャー企業である。梅の漬物の需要減少と若年層の喫食の少なさから、梅農家の経営が厳しくなっていた。同社は最終製品ではなく、過熱水蒸気処理を施した梅ペーストや梅エキスなどの果実原料を、冷凍にして全国の食品工場向けに出荷している。二次製品の利用・販売促進のため、梅アイスなどの三次製品の開発にも力を入れている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 販路・情報発信梅の漬物としての需要が年々減り続け、梅農家の事業運営が苦しくなっていた。
  • 販路・情報発信梅の漬物を食べるのは高齢者が多く、若年層が進んで手をつけない。
  • 生産能力小型機での開発だったため、加工できる梅の容量に限界があった。
  • 品質・精度時間・温度・蒸気量などの各種条件の最適化には至っていなかった。
  • 品質・精度過熱水蒸気処理による甘みの増加を、販売先に糖度などの具体的な数値で示す必要があった。
  • 品質・精度安定した完成品を提供し続けるために、温度や蒸気量などの条件を一定にすることが求められていた。

やったこと

過熱水蒸気を利用した梅加工設備一式を購入し、製品の試作開発と成分分析を行った。設備導入後、温度・蒸気量・時間を微調整しながら試行錯誤を重ね、最適な加工条件を見つけ出した。これにより、これまでの塩漬けやアルコール漬けに限られていた梅の加工方法を広げ、新たな加工方法の確立を目指した。加工後の梅について糖度や水可溶性ペクチンなどの成分分析を行い、数値で効果を確認した。

  • 加工機過熱水蒸気を利用した梅加工設備一式

新しい製品・サービス:同社の果実原料を使用した介護食品(販売を進める意向)

事業の効果

  • 糖度 7.7%→8.6%
  • 水可溶性ペクチン 108→353

過熱水蒸気処理により梅の糖度が上がり甘みが増し、水可溶性ペクチンも大幅に増加するなど、良好な成分値が得られた。梅表面に付着している菌の死滅も確認された。果実原料の納入先からは、再加熱ができて冷凍保管もできるため廃棄ロスが出ない点や、菌汚染がなく安心して使える点が評価されている。設備導入により生産力と販売力が向上した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.2 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性処理梅の糖度は7.7%から8.6%に、水溶性ペクチンは108から353に増加し、世界的に稀な加工方法として他社にない強みを示している。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け納入先から再加熱での使い勝手、冷凍保管による廃棄ロス防止、菌汚染がない点が評価されており、選ばれる理由が整理されている。
  • 4
    新しさ・高付加価値過熱水蒸気による梅加工は世界的にも稀な方法とされ、梅の一般的な用途を超えた高付加価値な原料を開発している。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標梅以外の果実の原料供給体制は未構築で準備段階とされ、付加価値や賃上げの具体的な目標値は示されていない。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性3

    梅の用途拡大を狙った商品づくりを続け、過熱水蒸気の加工を4~5年試みてきた経緯があり、今回の設備導入はその延長として位置付けられている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    処理梅の糖度は7.7%から8.6%に、水溶性ペクチンは108から353に増加し、世界的に稀な加工方法として他社にない強みを示している。

  • 課題の認識と解決3

    梅の需要減少と農家の苦境という課題を明確にし、過熱水蒸気処理で新たな果実原料を供給する計画として解決策を示している。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標2

    梅以外の果実の原料供給体制は未構築で準備段階とされ、付加価値や賃上げの具体的な目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制3

    代表と取締役が参画し、従業員8人で設備導入後に試行錯誤を重ねて最適条件を見出しており、遂行体制は一定程度確認できる。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    納入先から再加熱での使い勝手、冷凍保管による廃棄ロス防止、菌汚染がない点が評価されており、選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    製造ラインの自動化による生産効率向上や、果実原料供給の拡充、新商品づくりの順序など、今後の課題と進め方が示されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    過熱水蒸気による梅加工は世界的にも稀な方法とされ、梅の一般的な用途を超えた高付加価値な原料を開発している。

公的補助の必要性3.5
  • 波及効果・雇用4

    梅農家の事業運営の苦境を解決し、食品工場や多様な食品分野への参入を通じて需要創出につながる波及効果が見込まれる。

  • 費用対効果ー

    公開情報では判断できません。

  • イノベーションへの貢献3

    過熱水蒸気処理という独自の加工技術を開発し、梅農家や食品工場と連携するサプライチェーンの中で新しい原料供給モデルを構築している。

政策面3.0
  • 成長分野への進出2

    果実の過熱水蒸気加工の拡大や海外展開に触れているが、日本経済の構造転換に資する成長分野としての記述は薄い。

  • 地域経済への波及4

    和歌山県田辺市の梅産業という地域資源を活かし、梅農家の役に立つ事業として地域の果実産業の発展を牽引している。

今後の展望

今後は梅以外の果実(桃、柿、いちじく、いちごなど)の過熱水蒸気加工にも力を入れ、製造ラインの拡充と一部手動工程の自動化を進める。三次製品の開発よりも果実原料の供給に注力し、梅以外の果実の原料供給体制を構築する。介護食品の販売も進め、長期的には過熱水蒸気処理製品の海外展開を目指す。

事業者の声

今までの“梅

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。