ものづくり補助金平成24年度和歌山県

天然素材製品の樹脂量産化に伴う金型製造プロセス改善による生産力強化

扶桑精機株式会社

この事例のポイント

  • 得意先から求められる品質レベルが年々上がっており、国内外の競争に打ち勝つために品質レベルの向上が不可欠であった。
  • 高精度カメラ式3次元測定機(独Steinbichler社製「COMET L3D」)を導入し、測定後にGeomagic Studioでポリゴンデータ編集とCADデータ化を行い、デジ…
  • 複雑な形状の金型製作に対応できるようになり、受注案件の幅が広がった。

事業者のプロフィール

事業者名扶桑精機株式会社
所在地和歌山県 和歌山市
業種はん用・生産用・業務用機械器具製造業
技術分野塗装
従業員数21人
資本金1億円
設立1981年

事業の背景

1981年7月の設立以来、金型製作の専門業者として実績を積み重ねてきた。主力は100円ショップ向けの雑貨や家庭用品雑貨の金型で、一部配管材向けや産業機械メーカーからの受注もみられる。量産品向けのプラスチック成型用インジェクション金型が中心で、少量多品種の製作も行っている。他社が敬遠するスポットでの特注金型や、他社が手掛けた金型の修正にも対応できることが強みである。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度得意先から求められる品質レベルが年々上がっており、国内外の競争に打ち勝つために品質レベルの向上が不可欠であった。
  • 人手・技能業界内では実モデルから金型を製作する際にデジタルモデルが主流となりつつあり、同業他社との受注競争で有利に立つには高精度の3次元測定機が必要であった。
  • 新製品・新技術顧客のプラスチック食器メーカーから陶器のような製品を作れないかと相談を受け、複雑な要望に応えられる体制を整える必要があった。

やったこと

高精度カメラ式3次元測定機(独Steinbichler社製「COMET L3D」)を導入し、測定後にGeomagic Studioでポリゴンデータ編集とCADデータ化を行い、デジタルモデル主導の金型製作に切り替えた。実モデル表面の座標情報を収集して3次元の加工データを作成する工程を取り入れた。導入により工程が短くなり、納期の短縮も期待できた。複雑な曲面の計測を重ねたことで、複雑な形状の金型製作にも対応できるようになった。

新しい製品・サービス:天然素材の質感を忠実に再現した製品の量産を計画しており、ガーデニング用品や家庭用品分野への展開を狙っている。

事業の効果

複雑な形状の金型製作に対応できるようになり、受注案件の幅が広がった。プラスチック食器メーカーから受注を得られたほか、複雑な曲面の計測により他製品の製作精度も向上した。デジタルモデル主導により工数が削減され、コストの低減にもつながったことから、導入前より価格競争力が増した。一方で操作習得に時間がかかっており、使いこなすにはなお時間を要する見込みである。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    これまでの取組との一貫性1981年設立以来の金型製作実績と、100円ショップ向け雑貨の金型をメインとする事業の一貫性が具体的に書かれている。
  • 4
    課題の認識と解決品質要求の高まりや即納要求を課題として認識し、3次元測定機導入で工程短縮と品質向上を図る計画が示されている。
  • 4
    顧客とニーズの裏付けプラスチック食器メーカーからの受注獲得や、ガーデニング用品・家庭用品分野のシェア獲得という顧客ターゲットが書かれている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標工数削減やコスト低減に寄与したとあるが、付加価値額や賃上げの具体的な目標値や数字は書かれていない。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性4

    1981年設立以来の金型製作実績と、100円ショップ向け雑貨の金型をメインとする事業の一貫性が具体的に書かれている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    設備面の充実や熟練職人の存在が強みとして挙げられ、他社が敬遠する特注金型も得意とあるが、市場動向の分析は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    品質要求の高まりや即納要求を課題として認識し、3次元測定機導入で工程短縮と品質向上を図る計画が示されている。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標2

    工数削減やコスト低減に寄与したとあるが、付加価値額や賃上げの具体的な目標値や数字は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    熟練職人と設備の体制はうかがえるが、操作習得に時間がかかっており、体制の充実度は具体的に書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    プラスチック食器メーカーからの受注獲得や、ガーデニング用品・家庭用品分野のシェア獲得という顧客ターゲットが書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    既存得意先優先、若手育成、天然素材製品の量産計画が示されるが、スケジュールや課題解決方法は具体性が薄い。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性2.0
  • 新しさ・高付加価値2

    金型製作は一般的な分野であり、高付加価値化・高価格化を図る記述はわずかにうかがえる程度にとどまる。

公的補助の必要性2.3
  • 波及効果・雇用3

    国内生産の維持や既存得意先の国内金型生産への寄与が挙げられ、雇用や国内ものづくりへの意義が読み取れる。

  • 費用対効果2

    工数削減とコスト低減、価格競争力の向上は書かれているが、補助金額に対する効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    3次元測定機やデジタルモデル主導への移行は記述されるが、サプライチェーン全体への貢献は書かれていない。

政策面2.5
  • 成長分野への進出2

    デジタルモデル主導への転換は業界の流れに沿うが、日本経済の構造転換への言及はわずかにうかがえる程度。

  • 地域経済への波及3

    海南市の地域メーカーとの取引や国内生産維持の意向があり、地域産業への関わりは読み取れるが、具体的な地域効果は薄い。

今後の展望

既存得意先を最優先に、試作・量産金型における国内生産の維持に寄与していく意向である。計画段階の天然素材再現製品でガーデニング用品や家庭用品分野のシェア獲得を狙う。若手従業員の育成にも注力し、社内の活性化を図る。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。