ものづくり補助金平成30年度製造業静岡県

ダイヤモンド砥石の加工、計測、顧客確認をIOTで同時進行するスマートシェイピングの確立

株式会社東海サイエンス

この事例のポイント

  • 複雑かつ精密な形状を求める近年の顧客ニーズに対応しきれず、受注を断る案件も生じていた。
  • IoT技術を活用したダイヤモンド砥石自動成形盤を導入した。
  • 導入した自動成形盤により、これまで受注し得なかった製品への対応と非効率な生産工程の改善が実現した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社東海サイエンス
所在地静岡県 菊川市
業種生産用機械器具製造業
技術分野情報処理,精密加工,測定計測
資本金1億円
設立1948年

事業の背景

株式会社東海サイエンスは、全国の工業用刃物メーカーを顧客に、工業用刃物の加工に使うダイヤモンド砥石の製造・販売を行っている。48年間の実績で培った技術力を強みとし、加工に最適な製品群を多数揃えている。近年、工業用刃物は顧客ニーズに合わせて形状が複雑かつ精密になり、砥石にも同様の加工が求められるようになってきた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 集客・繁閑複雑かつ精密な形状を求める近年の顧客ニーズに対応しきれず、受注を断る案件も生じていた。
  • 品質・精度加工後の砥石の計測は光学式投影検査機で目視により行うため、複雑かつ精密な形状の計測確認ができなかった。
  • 人手・技能加工中に砥石の寸法を計測できず、精度確認のため完成までに何度も加工機から取り外して投影機で計測する必要があった。
  • コスト・採算砥石加工時と出荷検査時に別の担当者が投影機で計測するため、投影機の稼働が2度必要になるなど効率面の問題を抱えていた。

やったこと

IoT技術を活用したダイヤモンド砥石自動成形盤を導入した。機械には機上投影装置が付いており、砥石を取り外すことなく直接測定できる。従来の固定倍率の簡易CCDカメラに代え、倍率を変えられるデジタルズームCCDカメラとソフトウェアを組み合わせ、コンピュータ上で可視範囲を自由に設定し、CAD図面をカメラ動作に重ね合わせて表示できる加工物撮影装置を搭載した。機械メーカーに依頼して開発を行った。導入後、過去に引き合いのあった製品の試作を行い、モニターに表示した砥石とCAD図面を重ねて高精度の計測・検査を行えるようにした。

加工機ダイヤモンド砥石自動成形盤
検査測定機上投影装置(デジタルズームCCDカメラ・ソフトウェア搭載加工物撮影装置)

事業の効果

導入した自動成形盤により、これまで受注し得なかった製品への対応と非効率な生産工程の改善が実現した。砥石を取り外さずに高精度の計測・検査ができ、加工・計測・顧客確認をIoTで同時に進められる生産体制が確立した。自動運転加工により作業者は機械の多台持ちが可能となり、生産性が向上した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    過去に引き合いのあった製品の試作や48年の技術実績に触れるが、経営戦略上の位置付けは書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    工業用刃物の加工に最適な製品群や技術力を強みとし、顧客ニーズの変化にも触れるが、市場分析の具体性は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    受注を断る案件が生じていた課題を挙げ、同時進行型の生産体制で複雑形状への対応と非効率工程の改善を図ったと書かれている。

事業の実現可能性44%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    生産性向上は述べられるが、付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制2

    作業者が機械を多台持ちできるようになったとあるが、人材や事務体制についての記述は少ない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    複雑・精密形状を求める顧客ニーズへの対応が価値として示されるが、ターゲットや選ばれる理由は具体的でない。

  • 事業化までの道筋3

    導入後の試作や自動運転加工、QRコード生産管理への展開が書かれるが、スケジュールや課題解決方法は詳しくない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性40%
  • 新しさ・高付加価値2

    超硬合金向けの高硬度ダイヤモンド砥石を扱うが、一般的な普及度や高価格化の水準は示されていない。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    受注できなかった製品への対応という効果は書かれるが、地域波及や雇用創出の記述は見当たらない。

  • 費用対効果2

    投影機の稼働が2度必要だった問題の解消は書かれるが、補助金額に対する付加価値増加の数値はない。

  • イノベーションへの貢献4

    IoTで加工・計測・顧客確認を同時進行させ、インターネット接続で即時確認できる仕組みを導入したと具体的に書かれている。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    菊川市の本社立地は示されるが、地域の特性を活かした雇用や成長への言及はうかがえる程度である。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

事業終了後もQRコードを活用した生産管理システムの確立や他の生産工程の自動化に取り組んでおり、今後の取り組みに注目していきたい。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成30年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。