ものづくり補助金平成30年度卸売業、小売業京都府

ファブレスからSPAへ!変革を進めるための設備投資と体制構築

株式会社アート・ラボ

この事例のポイント

  • 利益率の低い製造卸売業態から脱却し、SPAへ業態を変革する必要があった。
  • 香りを樹脂に閉じ込めて固形化する香料樹脂製作装置を導入し、製造工程を内製化した。
  • 固形香料の実現により香りを形状自由にデザインできるようになり、模倣品の防止・抑制につながった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社アート・ラボ
所在地京都府 京都市
業種その他の卸売業
技術分野デザイン,複合・新機能材料
従業員数21人
資本金1億円
設立1991年

事業の背景

1987年(登記は平成3年)創業の香り雑貨企画・製造・販売会社で、ルームフレグランスを中心に調香から容器・パッケージまで一貫して手がける。商品企画に強みがあり、国内外で3000社以上と取引している。生産設備を持たないため外部委託に頼っている状況だった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術利益率の低い製造卸売業態から脱却し、SPAへ業態を変革する必要があった。
  • コスト・採算生産を外部事業者へ委託しており、外注先の稼働状況に左右され、需要の増減に柔軟に対応できなかった。
  • 品質・精度香りは液体で模倣されやすいが容器やパッケージで模倣品が出回り、ヒット商品が短期間で模倣されていた。

やったこと

香りを樹脂に閉じ込めて固形化する香料樹脂製作装置を導入し、製造工程を内製化した。熱可塑性樹脂では熱に弱い天然香料が消えてしまうため、シリコン状の型枠に香料入りの樹脂を充填し紫外線を照射して固形化する技術を独自に開発した。固形化には約8年を要し、「固まらない」「白濁する」「樹脂のにおいが混ざる」といった問題を一つずつ解決した。香りごとに固形化時間が3分から5分などと異なるため、紫外線照射時間の設定に試行錯誤を重ね、様々な香りを固形化できるようにした。個体香料は形状を自由にデザインでき、模倣を防止・抑制できる。

加工機香料樹脂製作装置

新しい製品・サービス:香りを樹脂に閉じ込めた固形香料(個体香料)

事業の効果

固形香料の実現により香りを形状自由にデザインできるようになり、模倣品の防止・抑制につながった。内製化の体制も整い、企画・開発力を生かした模倣されにくい商品を作れるようになった。固形化により輸出の申告書類などの負担が大幅に減り、海外との取引手順が簡便になる。今後は固形香料の市場開拓やオンラインセミナーを通じてブランディングを図る。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    1987年創業の香り専門メーカーで、2016年以降の小売展開や製造卸からの脱却を掲げている。経営戦略上の位置付けは読み取れるが、過去の取組との具体的な連続性は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    調香を中心とした商品企画に強みがあり、国内外3000社以上と取引していると具体的に書かれている。外部環境との関係は一部読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    外注依存による供給の不安定さと模倣品被害という課題を明示し、固形香料の開発と内製化で解決を図る計画が書かれている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの数値目標は記載がなく、わずかに生産性向上を図るとの記述がある程度。

  • 事業を進める体制3

    従業員21人で、固形化技術の開発に約8年を費やしたと書かれ、開発を進めた体制はうかがえるが、人材や事務体制の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    香りを樹脂に閉じ込めた個体香料で形状を自由にデザインでき、模倣されにくい点が具体的に説明されている。

  • 事業化までの道筋4

    固形化の時間が香りごとに異なる課題を試行錯誤で解決したと述べ、今後の市場開拓やオンラインセミナーの予定も書かれている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    香りを屋外でも楽しむ固形香料は新しい需要の開拓とされ、これまでにない形状の商品化が書かれている。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    海外取引の手続き簡便化に触れているが、地域経済や雇用創出への波及効果は具体的に書かれていない。

  • 費用対効果2

    付加価値額や費用対効果の数値は記載されず、生産性向上を図るとの記述にとどまる。

  • イノベーションへの貢献2

    香りを樹脂に閉じ込める独自の固形化技術やオンラインセミナーは書かれているが、サプライチェーン全体への貢献は薄い。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    京都の店舗展開や京都の製造拠点が書かれ地域との関わりはあるが、地域特性を活かした経済成長への言及は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

アクセサリーやキーホルダーなど屋外でも香りを楽しめる商品の市場を開拓し、展示商談会への参加や海外取引の拡大を進める。コロナ禍でも受講できるオンラインセミナーを開催し、調香師資格取得までのノウハウを提供する計画である。

  • 目標:固形化時間 3分→5分
  • 目標:国内外で3000社以上と取引

業種と困りごとが近い成果事例

東京都卸売業、小売業平成25年度

スライド式ホルダーを採用した床排水トラップの開発

製品形状を円形から正方形に変更し、一軸方向へのスライドで着脱できるスライド構造の床排水トラップ「スライドロック」を開発した。

効果:洗濯機の排水ホース内に残ってしまう排水量を大幅に少なくすることができた。

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成30年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。