ものづくり補助金平成31年度建設業愛知県

ICT砂防プロジェクトの推進及び活用範囲の拡大

竹腰永井建設株式会社

この事例のポイント

  • 山間地の砂防工事は雪解けの5月から12月上旬頃までしか実施できず、冬場は工事ができない。
  • 平成31年度ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金を利用し、高度なUAV測量技術を持つアイエイチプランニングと連携した。
  • ICT施工の全工程を自社で対応できる体制が整い、外注に頼っていた工程を内製化できた。

事業者のプロフィール

事業者名竹腰永井建設株式会社
所在地愛知県 白山市
業種総合工事業
技術分野情報処理,測定計測
従業員数27人
資本金4,000万円
設立1978年

事業の背景

竹腰永井建設は白山の砂防工事と登山道整備を主に手がける。創業は白山登山口近くの永井旅館にさかのぼり、山間工事や白山国立公園の登山道開拓への関わりから土木・建設事業へ広がった。山間地の砂防工事は雪解けの5月から12月上旬頃までしかできず、冬場は工事ができない上、工期が1カ月と短いこともあって利益を十分得にくい。さらに労働力不足という深刻な問題も抱えていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 納期・工程山間地の砂防工事は雪解けの5月から12月上旬頃までしか実施できず、冬場は工事ができない。
  • コスト・採算工期が1カ月と短い場合があり、利益を十分得られない。
  • その他工事の内容によっては安全性の確保が困難なケースがある。
  • 人手・技能労働力不足が深刻な問題となっていた。
  • 新製品・新技術ICT施工の経験がほとんどなく、かつて実施した際も外注に頼るしかなかったため、ICT施工に踏み出せずにいた。
  • 生産能力山間地では機材調達が困難で、電波状況が悪く位置情報の精度が低下し、転石などで施工地の形状が変わるためデータ修正を繰り返し、工期に余裕がなくなる。
  • 生産能力各工程に専門事業者がいて情報共有も難しく、全工程を一括して自社で手がける必要があった。

やったこと

平成31年度ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金を利用し、高度なUAV測量技術を持つアイエイチプランニングと連携した。測量用UAV、UAV用カメラ・レーザースキャナー、3次元データ作成・処理ソフト、点群処理ソフト、処理用PCを一式導入し、現場の構造体情報を共有するために3Dプリンターも設置した。これにより、UAVによる写真測量から3次元測量データ作成、設計・施工計画、ICT建設機械による施工まで、ICT施工に必要な全工程を自社で対応できる体制を整えた。前年から一部工程で機材を導入して準備を進めており、その施工事例の経験を生かしてICT施工の完全内製化に取り組んだ。導入当初はノウハウ不足な場面もあったが、堰堤の掘削工事では狙い通りの生産性・安全性向上の効果が得られた。

その他測量用UAV
検査測定UAV用カメラ・レーザースキャナー
ソフト3次元データ作成・処理ソフト
ソフト点群処理ソフト
その他処理用PC
加工機3Dプリンター

事業の効果

ICT施工の全工程を自社で対応できる体制が整い、外注に頼っていた工程を内製化できた。堰堤の掘削工事では狙い通りの生産性・安全性向上の効果が得られ、国や県からの期待も高まっている。機械・設備の導入で省人化を実現し、入札での表彰による加点評価が受注獲得につながったものもある。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    砂防工事や登山道整備を主業とし、創業の経緯から山間工事に関わってきたことは読み取れるが、経営戦略上の位置づけは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    山間地工事は冬場に施工できず利益が出にくいという市場環境と、ICT施工の経験値が少ない弱みが書かれているが、競争優位の説明は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    労働力不足や安全性確保の課題を認識し、全工程を自社で手がける内製化を決めたと具体的に書かれており、課題と解決策の対応が読み取れる。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    堰堤掘削で生産性・安全性向上の効果が得られたとあるが、付加価値額や賃上げの目標値や数値は示されていない。

  • 事業を進める体制4

    若手10人ほどを選抜し、UAV操縦の資格取得準備を進めると書かれており、体制づくりの具体策が読み取れる。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    山林の地境把握や安全調査の必要性が地元で期待されていると書かれ、ニーズの裏付けはあるが、顧客ターゲットの整理は薄い。

  • 事業化までの道筋3

    既に一部工程を導入し準備を進めたという段階的な経緯は読み取れるが、今後のスケジュールや課題解決の方法は詳しく書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    UAV測量とICT施工の内製化は、実例が少ない中での成果として国や県から期待されていると書かれており、新規性はうかがえる。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    山林の安全確保や地境把握、国や県からの期待など公共性は書かれているが、経済波及や雇用創出の数値は示されていない。

  • 費用対効果2

    補助金で内製化を前進させたとあるが、投入額に対する付加価値増加や費用対効果の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献4

    UAV、3Dプリンター、点群処理などの先端技術を組み合わせ、山間地の砂防ICT施工の全工程内製化を実現したと具体的に書かれている。

政策面50%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及4

    白山の山間地域の砂防工事と安全確保という地域特性を活かし、地元の山林安全に貢献する事業であることが具体的に読み取れる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

地元では将来、山林の地境線を把握することが難しくなることが危惧されており、安全に調査できるようUAVや3Dプリンターの活用に期待が寄せられている。令和4年にはUAV操縦の免許取得義務化の動きがあるため、若手を中心に10人ほどを選抜して資格取得の準備を進めている。今後も山林地域の安全を守っていく方針である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成31年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。