ものづくり補助金平成24年度愛媛県

難削材(高付加価値素材)を使用した高精度金網製造加工技術の試作開発

竹中金網株式会社

この事例のポイント

  • 難削材(チタン・ハステロイ・インコネルなど)の加工方法は手探りの状況だった。
  • チタン、ハステロイ、インコネルなどの難削材について、引張強度と伸びの機械的特性を調査し、材質に応じて金網の加工条件(織り方)を変える必要があることを確認した。
  • NC装置の設定データを蓄積したことで、難削材ごとの機械セット時間が大幅に改善し、作業工数が低減した。

事業者のプロフィール

事業者名竹中金網株式会社
所在地愛媛県 今治市
業種金属製品製造業
技術分野金型
従業員数26人
資本金1,200万円
設立1973年

事業の背景

同社は創業以来の金網専門メーカーで、建造物や工業用、プラント機械保護用、食品製造向けなどの金網を製造・販売している。取引先の少量・多品種・短納期の要望に応え続けてきた。国内では航空宇宙や原子力、燃料電池などで軽量・高強度・耐熱性の素材需要が高まり、その大半が難削材である。同社の金網でも難削材を使ったニーズが増えていたが、加工設備への負担が大きいため、製造できる競合企業は非常に少なかった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能難削材(チタン・ハステロイ・インコネルなど)の加工方法は手探りの状況だった。
  • 品質・精度金型の摩耗やピッチ精度不良により製品品質が低下し、不良品率が増加していた。
  • コスト・採算高価な難削材を使うと材料ロスが増え、コスト負担が大きかった。
  • 人手・技能クリンプ加工機の調整が作業員の経験と勘によるマニュアル操作に頼っており、段取りに時間がかかっていた。

やったこと

チタン、ハステロイ、インコネルなどの難削材について、引張強度と伸びの機械的特性を調査し、材質に応じて金網の加工条件(織り方)を変える必要があることを確認した。クリンプ式平織金網、ロッククリンプ織金網、フラットトップ織金網など複数の織り方で試験加工を行い、難削材での金網製作が可能であることを確認した。実証試験の結果をもとにCAD・CAMで金網形状やピッチ寸法を設計し、高精度な形状を加工できる加工機を使って金型を自社製作した。NC位置決め装置付きクリンプ加工機で各難削材の試作加工を繰り返し、難削材ごとの最適な設定データを蓄積した。新たに製作した金型では、旧来金型で激しかった先端部の摩耗が大きく見られず、突出し寸法や全長寸法を細かく調整する機能も併せて評価した。

  • 加工機NC位置決め装置付きクリンプ加工機

新しい製品・サービス:難削材を使用した高精度金網

事業の効果

NC装置の設定データを蓄積したことで、難削材ごとの機械セット時間が大幅に改善し、作業工数が低減した。熟練者が段取りを行わなくても、数値データに基づき加工機の操作スキルがあれば誰でも加工できるようになった。突出し寸法と全長寸法の調整機能により仕上げ切断工程を無くすことができ、材料費と加工費を大幅に削減した。従来金型と比べ全ての難削材と織り方で目開き精度が改善し、高精度製品を安定して製造できるようになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.2 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性難削材を扱える競合は非常に少ないと記載があり、社内製作の金型設備とノウハウを国内で唯一保持している点が強みとして読み取れる。
  • 4
    課題の認識と解決段取り工数の改善率平均2609%や材料ロス改善率53.1%など数値で課題と効果が示され、高付加価値化につなげる構成が読み取れる。
  • 4
    付加価値・賃上げの目標目開き精度が539%から93%の改善率、材料ロス53.1%減など数値目標と実績が示され、実現性は具体的に読み取れる。

伸びしろがあった観点

  • 2
    イノベーションへの貢献NC位置決め装置による数値管理化は書かれるが、サプライチェーン全体のイノベーションへの貢献は明確に述べられていない。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    事例は金網の専門メーカーとして難削材対応の高精度化に取り組むと述べるが、経営戦略上の位置付けや過去の取組との一貫性は明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    難削材を扱える競合は非常に少ないと記載があり、社内製作の金型設備とノウハウを国内で唯一保持している点が強みとして読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    段取り工数の改善率平均2609%や材料ロス改善率53.1%など数値で課題と効果が示され、高付加価値化につなげる構成が読み取れる。

事業の実現可能性3.2
  • 付加価値・賃上げの目標4

    目開き精度が539%から93%の改善率、材料ロス53.1%減など数値目標と実績が示され、実現性は具体的に読み取れる。

  • 事業を進める体制3

    従業員26名の会社で、社内で金型を製作し試作を繰り返した体制は読み取れるが、事務処理能力などの体制記載は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    難削材金網の少量・多品種・短納期対応や展示会での顧客ニーズ収集は書かれるが、ターゲットや選ばれる理由の整理は具体性が薄い。

  • 事業化までの道筋3

    今後の顧客ニーズ収集や高付加価値製品の研究開発計画は示されるが、スケジュールや課題解決方法の具体性は薄い。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    チタン・ハステロイ・インコネルなど難削材の金網に対応し、競合が少ない高水準の高付加価値化を図る点が読み取れる。

公的補助の必要性3.0
  • 波及効果・雇用3

    航空宇宙や原子力などへの難削材ニーズの高まりは述べられるが、波及効果や雇用創出の記載は薄い。

  • 費用対効果4

    段取り工数の改善率平均2609%、材料ロス改善率53.1%など数値で効果が示され、費用対効果はある程度読み取れる。

  • イノベーションへの貢献2

    NC位置決め装置による数値管理化は書かれるが、サプライチェーン全体のイノベーションへの貢献は明確に述べられていない。

政策面2.5
  • 成長分野への進出3

    航空宇宙、燃料電池、ハイブリッド自動車など成長分野への素材ニーズは触れられるが、構造転換への言及は薄い。

  • 地域経済への波及2

    今治市の企業であることは読み取れるが、地域の特性を活かした雇用や経済成長への記載はほとんどない。

今後の展望

展示会などを通じて顧客ニーズを収集し、分析した結果を製品改良や修正に反映していく計画である。また、新素材を使った環境負荷の少ない高性能金網や、特殊形状の金網など高付加価値製品の共同研究と商品化を進める計画である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。