ものづくり補助金平成24年度愛媛県

複合、短納期での精密加工製品に適用する為の、新規切削加工技術の開発

株式会社髙橋精工

成果試作品の製作所要時間 100%→33%

この事例のポイント

  • 短納期・高精度が求められる複雑形状の治工具製作に対応するための新規切削加工技術が必要だった。
  • 複合加工装置を導入し、NC旋盤やマシニングセンター等の複数工程を同一工程で一度に加工できるようにした。
  • 試作品の製作所要時間 100%→33%。複合加工装置の導入により、工程間移動と段取り時間、純製作時間が大幅に減り、試作品の製作所要時間は約1/3に軽減された。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社髙橋精工
所在地愛媛県 西条市
業種金属製品製造業
技術分野切削加工
従業員数17人
資本金1,000万円
設立2000年

事業の背景

同社は1988年創業で、医療・産業ガス業界をはじめ多様な業界向けに試作品や量産加工品を製作してきた。温室効果ガスを使う消火設備は1994年から製造と大気放出が禁止されており、今後は不活性ガスへの置換えやガス回収・リサイクル充填などの需要が増えると予想されている。取引先からは多種多様な複雑形状の量産部材や容器弁の試作品を短納期で求められていたが、既存設備だけでは対応が難しい状況だった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術短納期・高精度が求められる複雑形状の治工具製作に対応するための新規切削加工技術が必要だった。
  • 納期・工程複雑形状の試作品製作では、NC旋盤・マシニングセンター・汎用加工機を使い分け、加工ごとに専用の試作用治工具を製作していたため、治工具製作コストと段取り替えによる加工時間が長くなっていた。
  • 納期・工程特急製作などへの対応ができず、製品加工における競争力が低下していた。
  • 品質・精度加工工程ごとに装置間を頻繁に移動するため、加工精度の低下がみられていた。
  • コスト・採算小ロット・高精度・低コストの要望に対し、既存設備での作業手順変更や生産性向上の取り組みだけでは品質・コストの改善に限界があった。

やったこと

複合加工装置を導入し、NC旋盤やマシニングセンター等の複数工程を同一工程で一度に加工できるようにした。オーバースペックを避けるため、既存取引先のニーズに対応できる必要最小限の機能を持つ機種を選定した。導入した装置の製造元で研修を受け、基本的な操作技術とプログラミング技術を習得し、社内の他の担当者へ技術情報を展開した。加工手順・工具・切削油などの複合加工時の最適条件を検証してデータ化し、運用方法の適正化を進めた。受注中の試作品同等品を製作し、3次元測定機やゲージで精度・面粗さを評価して条件へフィードバックした。導入装置の加工範囲外となる長い棒材の先端加工に対応するため、装置の独自改造も行った。

新しい製品・サービス:複合加工装置を用いた、複雑形状の治工具・試作品の一工程加工技術

事業の効果

  • 試作品の製作所要時間 100%→33%
  • 商用生産の製造コスト 100%→70%

複合加工装置の導入により、工程間移動と段取り時間、純製作時間が大幅に減り、試作品の製作所要時間は約1/3に軽減された。各種専用治具・工具の検討と製作が不要になり、商用生産での製造コストは従来比30%程度の削減が見込まれている。加工精度も向上し、評価の結果、加工精度の高い製品を製作できることが実証された。短納期・低コストで複雑な加工品に対応できるようになり、競争力が高まった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.2 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    課題の認識と解決試作品の治工具製作コストと段取り替えによる加工時間の長さが課題と具体的に整理され、複合加工装置導入で解決を図る流れが示されている。
  • 4
    付加価値・賃上げの目標試作品の製作所要時間が約1/3に軽減、商用生産の製造コストは従来比30%程度削減の見込みと数値目標があり、検証結果も示されている。
  • 4
    事業化までの道筋既存取引先の深耕、技術者の技術向上、マニュアル作成、量産化での利用条件検証など、今後の段階的な計画とスケジュールの方向性が書かれている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    イノベーションへの貢献複合加工装置やCAM活用が述べられているが、地域やサプライチェーン全体のイノベーションへの貢献は明示されていない。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性3

    1988年創業の一貫製作体制や複雑形状の治工具への対応が書かれ、事業の延長線上にあることはうかがえるが、経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    取引先から短納期・小ロット・高精度・低コストを求められていると書かれ、社内一貫製作が強みとされているが、市場や競合との比較データは示されていない。

  • 課題の認識と解決4

    試作品の治工具製作コストと段取り替えによる加工時間の長さが課題と具体的に整理され、複合加工装置導入で解決を図る流れが示されている。

事業の実現可能性3.4
  • 付加価値・賃上げの目標4

    試作品の製作所要時間が約1/3に軽減、商用生産の製造コストは従来比30%程度削減の見込みと数値目標があり、検証結果も示されている。

  • 事業を進める体制3

    メーカーへの研修派遣、技術の他担当者への展開、従業員17名の体制などが書かれているが、人材配置や事務処理体制の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    取引先からの多様な製品ニーズや短納期・高精度への要望は書かれているが、顧客ターゲットや選ばれる理由の整理は示されていない。

  • 事業化までの道筋4

    既存取引先の深耕、技術者の技術向上、マニュアル作成、量産化での利用条件検証など、今後の段階的な計画とスケジュールの方向性が書かれている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性3.0
  • 新しさ・高付加価値3

    複雑形状の治工具を短納期で製作する点は高付加価値化につながるが、分野の普及度や高価格化の数値は示されていない。

公的補助の必要性3.0
  • 波及効果・雇用3

    温室効果ガス消火設備の回収・充填や不活性ガスへの置換え需要の増加が述べられ、防災設備分野への貢献がうかがえる。

  • 費用対効果4

    補助事業で複合加工装置を導入し、所要時間約1/3、製造コスト30%程度削減と費用対効果を示す数値が書かれている。

  • イノベーションへの貢献2

    複合加工装置やCAM活用が述べられているが、地域やサプライチェーン全体のイノベーションへの貢献は明示されていない。

政策面3.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及3

    愛媛県西条市の企業として取引先と地域の製造業を支える事業とみられるが、地域経済や雇用への波及効果の具体的記述は少ない。

今後の展望

既存取引先に製作事例を情報提供して取引を深耕し、部品設計者にも加工ノウハウを提供する計画である。技術者の技術向上と勉強会・マニュアル作成で他担当者への展開を進め、量産加工での装置利用に向けた検証も進める予定である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。