ものづくり補助金平成24年度高知県

大地震により想定される二次災害に対応した非常用持ち出しウエアーの企画開発

株式会社マシュール

成果初期浮力 : 11.0kg(大人用)

この事例のポイント

  • 地震による二次災害に対応する防炎性能・浮力性能を備えた商品が求められていたが、既存の設備では中厚・極厚で生地が固い特殊素材の加工が難しかった。
  • 防炎性能や浮力性能を持つ機能性素材の編製加工に必要な設備を導入した。
  • 初期浮力 : 11.0kg(大人用)。津波や洪水に対応するフローティングタイプについて、強度・浮力性能ともに要求を満たす試作品を開発できた。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社マシュール
所在地高知県 宿毛市
業種繊維工業
技術分野繊維加工
従業員数30人
資本金2,000万円
設立1984年

事業の背景

当社の既存商品である非常用持ち出しベスト「ハコベスト」は、他社製品と比べ収納力・機能性・デザイン性で優位性があり、2012年にはグッドデザイン賞を受賞した。展示会への出展の度に、防炎性能や浮力性能を加えてほしいという要望を多く受けるようになった。非常用持ち出しウエアー市場はニッチ分野で認知度は低いが、市場規模も広がりつつある。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術地震による二次災害に対応する防炎性能・浮力性能を備えた商品が求められていたが、既存の設備では中厚・極厚で生地が固い特殊素材の加工が難しかった。
  • 生産能力既存のミシン・機械設備では原材料や副資材の特性から、生産性の面でも強度の面でも容易に生産できる環境になかった。
  • コスト・採算特殊素材の原材料は高額であり、消費者が購入可能な商品価格を実現するには加工経費を抑える必要があった。

やったこと

防炎性能や浮力性能を持つ機能性素材の編製加工に必要な設備を導入した。導入したのは、自動断裁機のヘッド改造、検針機、アイロン(平台・馬複合タイプ)、厚地用大釜ミシン、中厚物ミシン、カン止めミシン、電子サイクルミシン、アタッチメントである。素材探しから始まり、材料、ポケットの形や位置、縫製方法、浮力素材の取り付け位置などを検証した。商品デザイン・パターン作製・裁断・縫製を自社工場内で行う企画製販一貫体制により、スピード重視の開発を行った。高知工業高等専門学校の山崎利文教授の協力を得て、試作・性能検査・ヒアリングを繰り返した。

  • 加工機自動断裁機のヘッド改造
  • 検査測定検針機
  • その他アイロン平台・馬複合タイプ
  • 加工機厚地用大釜ミシン本縫い一本針総合送り、筒型一本針総合送り・ポストヘッド総合送り中厚物ミシン本縫い・インターロックカン止めミシン電子サイクルミシン
  • その他アタッチメント

新しい製品・サービス:「ハコベスト フローティングジャケット」(浮力入りフードと浮力材の取り外しが可能)

事業の効果

  • 初期浮力 : 11.0kg(大人用)
  • 7.4kg(子ども用)
  • 24時間後の浮力 : 10.9kg(大人用)
  • 7.3kg(子ども用)

津波や洪水に対応するフローティングタイプについて、強度・浮力性能ともに要求を満たす試作品を開発できた。実証実験でも性能を確認し、顧客ニーズや専門機関の意見を製品に反映させた。防炎性能には課題が残り、防炎と浮力を備えた製品化は素材・機能・コスト面で折り合わず実現していない。製品化した新製品は既存製品より数千円以上高額で、現時点で既存製品ほどの売上はないが、ラインナップ充実や中厚物の技術習得の点で意義は大きいと考えている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.0 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    これまでの取組との一貫性既存の防災ベスト「ハコベスト」を基盤に、展示会での要望を受けて機能性素材の設備導入と試作を行う流れが具体的に書かれている。
  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性2012年グッドデザイン賞受賞や収納力・機能性での他社製品との優位性、ニッチ市場で認知度が低い点など、市場と自社強みの関係が読み取れる。
  • 4
    事業を進める体制企画・デザイン・パターン・裁断・縫製を自社工場内で一貫して行う体制や、高知高専の教授の協力が具体的に書かれている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標浮力性能の数値(大人用11.0kgなど)は示されるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれておらず、実現可能性の判断材料が少ない。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性4

    既存の防災ベスト「ハコベスト」を基盤に、展示会での要望を受けて機能性素材の設備導入と試作を行う流れが具体的に書かれている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    2012年グッドデザイン賞受賞や収納力・機能性での他社製品との優位性、ニッチ市場で認知度が低い点など、市場と自社強みの関係が読み取れる。

  • 課題の認識と解決3

    二次災害対応の商品ラインナップ化が課題解決として示されるが、防炎機能の課題残りや売上が既存品ほどない点など、高付加価値化の実効性の具体性は薄い。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標2

    浮力性能の数値(大人用11.0kgなど)は示されるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれておらず、実現可能性の判断材料が少ない。

  • 事業を進める体制4

    企画・デザイン・パターン・裁断・縫製を自社工場内で一貫して行う体制や、高知高専の教授の協力が具体的に書かれている。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    ターゲットは首都直下型・南海トラフ地震への備えとして示されるが、ニーズの裏付けは市場調査の言及にとどまり数値は薄い。

  • 事業化までの道筋3

    試作・性能検査・再試作を繰り返し、展示会で意見を集めて改良する今後の予定は示されるが、スケジュールの明示は乏しい。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    防炎・浮力を備えた非常用持ち出しウエアーはニッチ分野で認知度が低いと明記され、既存品より数千円以上高い高付加価値品と書かれている。

公的補助の必要性2.5
  • 波及効果・雇用3

    首都直下型地震や南海トラフ地震への防災・減災対策として安心を与える意義が述べられ、公共性はうかがえるが経済波及の記述は薄い。

  • 費用対効果2

    補助金額や費用対効果の数値は示されておらず、既存製品ほどの売上がないとの記述から費用対効果はわずかにうかがえる程度。

  • イノベーションへの貢献ー

    公開情報では判断できません。

政策面2.0
  • 成長分野への進出2

    防災・減災という社会的ニーズへの対応はうかがえるが、日本経済の構造転換に資するという記述は見当たらない。

  • 地域経済への波及2

    高知県宿毛市の企業で県内の防災展示会への出展が書かれるが、地域の雇用や経済成長への言及はわずかである。

今後の展望

県内外の防災関連展示会へ出展し、評価・意見を集めて再試作に反映させ、品質向上を図る。現時点では大口取引がないため受注生産だが、市場の反応を見ながら生産体制を強化したい。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。