ものづくり補助金平成24年度福岡県

動物実験代替のための超小型循環三次元培養装置の開発

株式会社日本生物製剤

この事例のポイント

  • 新薬開発時の動物実験は、動物の権利擁護からの廃止を求める動きがあり、それに代わる評価手段が求められている。
  • 3Dプリンターで極小培養チップのプロトタイプを製作し、細胞培養液が内部を均一に流れる微細流路と、一つの極小培養チップで同時に4検体を測定できる構造を目指した。
  • 極小培養チップの体積を3cm³以内とする目標を達成した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社日本生物製剤
所在地福岡県 東京都渋谷区
業種化学工業、石油製品・石炭製品製造業
技術分野繊維加工
従業員数122人
資本金5,500万円

事業の背景

新薬開発時の薬効や安全性の確認には動物実験が広く行われてきたが、動物の権利擁護の立場から廃止を求める活動があり、また高コストであることから代替手段が求められている。こうした背景の中で、動物実験の代わりに使える評価手段の市場が見込まれている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術新薬開発時の動物実験は、動物の権利擁護からの廃止を求める動きがあり、それに代わる評価手段が求められている。
  • コスト・採算動物実験は高コストを要するため、廉価な薬効・安全性評価手段が必要とされている。

やったこと

3Dプリンターで極小培養チップのプロトタイプを製作し、細胞培養液が内部を均一に流れる微細流路と、一つの極小培養チップで同時に4検体を測定できる構造を目指した。長時間連続して環流培養できる小型循環培養装置の試作と改良を繰り返し、耐久性を向上させた。薬物評価用の細胞シートには長期の細胞生存、21日以上の薬剤暴露耐性、安定性及び再現性が必要であるため、ラット初代肝細胞を小型化して細胞シートの均一化と規格化を達成した。長期培養評価では目標の3か月間以上に対して1.5か月間の機能維持にとどまった。

新しい製品・サービス:三次元循環培養装置(小型循環培養装置)

事業の効果

極小培養チップの体積を3cm³以内とする目標を達成した。小型循環培養装置では1か月間以上の連続した環流培養が可能となり、極小培養チップに導入する細胞シートの均一化と規格化も実現した。一方、長期培養評価の3か月間以上という目標は事業期間内には達成できなかったが、今後達成可能と予測している。また小型肝細胞を用いた9次元環流培養系の構築は世界初の技術とされ、初代肝細胞の2週間を超える体外での機能維持を打開する例として注目が見込まれる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.2 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 5
    新しさ・高付加価値動物実験の世界市場が10円超規模とされ、2週間超の生体外培養は困難とされた初代肝細胞の機能維持を打開した世界初の技術である。
  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性動物実験市場の代替手段となる点や、世界初の9次元環流培養系の構築など、競争優位となる独自技術が具体的に示されている。
  • 4
    波及効果・雇用動物実験の廃止要求や高コストへの対応という社会的課題の解決で、評価手段の市場形成と研究開発の波及が見込まれる。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標販売目標は初年度50台と毎年50台増の数字があるが、付加価値額や賃上げの目標は示されず、長期培養目標も未達のままである。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性3

    新薬開発の動物実験代替という事業の目的と、肝細胞チップ・循環培養装置の開発経緯が一貫して述べられており、位置付けは読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    動物実験市場の代替手段となる点や、世界初の9次元環流培養系の構築など、競争優位となる独自技術が具体的に示されている。

  • 課題の認識と解決3

    動物実験の高コストと権利擁護による廃止要求という課題を認識し、廉価な評価手段の提供で解決する計画になっている。

事業の実現可能性2.8
  • 付加価値・賃上げの目標2

    販売目標は初年度50台と毎年50台増の数字があるが、付加価値額や賃上げの目標は示されず、長期培養目標も未達のままである。

  • 事業を進める体制3

    企業の従業員122人や福岡バイオファクトリーでの実施体制が示され、装置試作や細胞シート開発を進めた実績がある。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    ユーザーは創薬研究機関や企業で動物実験代替を望んでおり、廉価で評価できる点が選ばれる理由として整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    製品化を2年以内、限定ユーザーでのテスト販売後に1年後の一般販売というスケジュールと段階的な進め方が示されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性5.0
  • 新しさ・高付加価値5

    動物実験の世界市場が10円超規模とされ、2週間超の生体外培養は困難とされた初代肝細胞の機能維持を打開した世界初の技術である。

公的補助の必要性3.3
  • 波及効果・雇用4

    動物実験の廃止要求や高コストへの対応という社会的課題の解決で、評価手段の市場形成と研究開発の波及が見込まれる。

  • 費用対効果2

    廉価な評価手段の提供は述べられているが、補助金投入額に対する付加価値額や生産性の数値的な費用対効果は示されていない。

  • イノベーションへの貢献4

    3Dプリンターによる極小培養チップや循環培養装置など先端技術を用い、動物実験代替というイノベーションに貢献し得る。

政策面3.0
  • 成長分野への進出3

    新薬開発における動物実験の代替という成長分野への進出であり、創薬分野の構造転換に資する方向性が読み取れる。

  • 地域経済への波及ー

    公開情報では判断できません。

今後の展望

製品化を2年以内に完了し、限定ユーザーへのテスト販売とヒアリングを行い、その結果を反映して1年後に一般ユーザーへの販売を開始する計画である。販売目標は初年度50台で、次年度以降は毎年50台ずつ増やす計画である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。