ものづくり補助金平成24年度熊本県

土壌中汚染物質を簡易に検出するための検知剤の研究開発

有限会社坂本石灰工業所

この事例のポイント

  • 土壌中の環境汚染物質の分析は、環境省告示の公定法に則ると検液の調整から結果がわかるまで数日かかる。
  • ガスクロマトグラフィ分析装置と吸光光度計を導入し、検知剤の調製条件として材料の組み合わせや、公定法と開発品との相関性について試作を重ねた。
  • 公定法のように検液の調整や分析機器を使わず、検知剤を測定ポイントに所定量設置するだけで汚染物質の有無と濃度を判定できるため、従来より短時間で簡単に重金属の汚染範囲を特定できるよう…

事業者のプロフィール

事業者名有限会社坂本石灰工業所
所在地熊本県 玉名市
業種窯業・土石製品製造業
技術分野高機能化学合成
従業員数78人
資本金500万円
設立1952年

事業の背景

当社は主に石灰製品を取り扱い、その一つとして土壌改良剤に使われる石灰も販売・製造している。法律上、土壌の汚染状態を調べる必要があり、その際に汚染物質である6価クロム等が検出されることがある。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • その他土壌中の環境汚染物質の分析は、環境省告示の公定法に則ると検液の調整から結果がわかるまで数日かかる。
  • コスト・採算公定法による分析は費用面の負担が大きく、無駄も多い。
  • 新製品・新技術新たな分野であったため、現場で分析機器を使わずに簡易かつ短時間で安価に汚染物質を検知する手段がなかった。

やったこと

ガスクロマトグラフィ分析装置と吸光光度計を導入し、検知剤の調製条件として材料の組み合わせや、公定法と開発品との相関性について試作を重ねた。6価クロムについては、土壌汚染対策法で定められた溶出量基準の2倍量の濃度で呈色する検知剤を調製することができた。その効果は水溶液だけでなく、6価クロムを含有した土壌でも得られた。6価クロム以外に、ふっ素、鉛、ホウ素の検知剤の開発にも取り組み、基準値に対しては高濃度ではあったが固体粒表面を呈色させることができた。検知剤の調製方法について特許を2件出願し、その弁理士費用にも補助金を活用した。

  • 検査測定ガスクロマトグラフィ分析装置吸光光度計

新しい製品・サービス:土壌中の重金属等の汚染物質を、接触すると発色する固体粒の検知剤で目視により簡易に判定する汚染物質有無判定用の検知剤。

事業の効果

公定法のように検液の調整や分析機器を使わず、検知剤を測定ポイントに所定量設置するだけで汚染物質の有無と濃度を判定できるため、従来より短時間で簡単に重金属の汚染範囲を特定できるようになる見込みである。6価クロムでは溶出量基準の2倍量の濃度で呈色し、汚染土壌でも効果が得られた。汚染土壌の浄化への迅速な対応が期待できる。事業を通じて検知剤には土木関係以外にも新たな需要があることが確認できた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.1 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性公定法で数日かかる分析を現場で短時間・安価に行える点を強みとし、6価クロムで溶出量基準の2倍濃度で呈色する成果も示されている。
  • 4
    課題の認識と解決公定法は検液調整から結果まで数日を要し費用負担が大きいという課題を明示し、現場で目視判定できる検知剤で解決を図っている。
  • 4
    事業を進める体制熊本高専に加え東京高専との共同研究を進めており、外部連携による研究体制が確保されている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標来年度中の発売を目指すとあるが、付加価値額や賃上げの目標値は示されておらず、実現可能性の根拠が薄い。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    石灰製品の土壌改良剤販売で土壌汚染調査の必要性に接点があり、その業務課題から検知剤開発に取り組んだ経緯が書かれている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    公定法で数日かかる分析を現場で短時間・安価に行える点を強みとし、6価クロムで溶出量基準の2倍濃度で呈色する成果も示されている。

  • 課題の認識と解決4

    公定法は検液調整から結果まで数日を要し費用負担が大きいという課題を明示し、現場で目視判定できる検知剤で解決を図っている。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標2

    来年度中の発売を目指すとあるが、付加価値額や賃上げの目標値は示されておらず、実現可能性の根拠が薄い。

  • 事業を進める体制4

    熊本高専に加え東京高専との共同研究を進めており、外部連携による研究体制が確保されている。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    従来法より短時間で簡単に汚染範囲を特定できる点が使い道として整理され、新たな需要や土木以外への販売も視野にある。

  • 事業化までの道筋3

    商品化に向けた使い勝手の改善や保存期間延長を課題として挙げ、試作継続と来年度中の発売目標を示している。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    現場で機器を使わず目視で汚染物質を検知する検知剤は既存の一般的手法と異なり、特許を2件出願している点で新規性が示されている。

公的補助の必要性2.7
  • 波及効果・雇用3

    汚染土壌の迅速な浄化対応につながり、土木関係以外への需要も見込めるとして、社会的な必要性が示されている。

  • 費用対効果2

    公定法より費用・時間を削減できるとされるが、補助金投入額に対する付加価値増加や生産性の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    先端的な分析機器を使わず、現場で簡易に汚染を検知する新たな方法を開発しており、土壌汚染対策の現場に貢献し得る。

政策面2.0
  • 成長分野への進出2

    土壌汚染対策という分野への進出は読み取れるが、日本経済の構造転換への言及はなく、政策面の寄与は弱い。

  • 地域経済への波及ー

    公開情報では判断できません。

今後の展望

検知できる濃度の精度を高め、他の物質への対応も進めている。商品化に向けて使い勝手の良い外観・形状や保存期間の延長が課題となっており、熊本高専に加えて東京高専との共同研究も進めている。試作を続け、来年度中の発売を目指している。展示会へも積極的に出展し、販路拡大につなげたいと考えている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。