石川県内企業初、起重機船施工管理システム導入に伴う次世代型就業環境の構築

石川県の建設業の会社が、ものづくり補助金で起重機船の施工管理システムを導入し、作業の見える化と安全な就労環境づくりを目指した事例です。

加賀建設株式会社

この事例のポイント

  • 海洋土木は操船やクレーン操作の難易度が高く、熟練技能者の経験や感覚に頼ってきたため、世代交代が進まず人材不足が課題となっていました。
  • 起重機船のリプレースを機に、石川県内企業で初めてとなる起重機船施工管理システムを導入しました。
  • 若手技能者と熟練技能者の双方で日当たりの浚渫土量が3割向上しました。

事業者のプロフィール

事業者名加賀建設株式会社
所在地石川県 金沢市
業種総合工事業
技術分野情報処理,機械制御,測定計測
従業員数129人
資本金5,400万円
設立1943年

事業の背景

当社は金沢港を拠点に、自社所有の起重機船2船団を使って浚渫工事などに従事し、地域の港湾インフラ整備に年間を通して携わってきました。海洋土木は作業足場が不安定で水中作業を伴うため、陸上工事に比べて操船やクレーン操作の難易度が非常に高い分野です。

国は i-Construction を推進していますが、ICT施工は陸上工事が先行し、海洋土木や中小企業分野では遅れていました。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能海洋土木は操船やクレーン操作の難易度が高く、熟練技能者の経験や感覚に頼ってきたため、世代交代が進まず人材不足が課題となっていました。
  • 品質・精度水中部分は目視できず目標物も少ない海上で作業するため、施工状況を把握しにくい状況でした。
  • 生産能力施工位置や船体位置を確認する測量には管理監督職員が常時乗船する必要があり、作業の効率が上がりにくい状況でした。

やったこと

起重機船のリプレースを機に、石川県内企業で初めてとなる起重機船施工管理システムを導入しました。GPS測位に加えて船体位置、クレーン吊荷の位置と状態、グラブバケットの開閉状態をモニターで見える化するSV-Naviを導入しました。

作業船の機器の状態や情報をリアルタイムにグラフィカルに表示するVirtualBridgeMonitorを導入し、タブレットPCに搭載して現場で確認できるようにしました。対象範囲8m×3mの測深を5秒で完了し、SV-Naviと連動して現況地盤を視覚的に確認できる高性能測深管理ソナー SV-Sonar(SV-1000)も導入しました。

補助金で入れた設備

経費の区分は「機械装置・システム構築費」です。

事業の効果

若手技能者と熟練技能者の双方で日当たりの浚渫土量が3割向上しました。目標位置と現在の船体位置をリアルタイムに確認しながら操船・転船できるようになり、管理監督者の乗船率を8割削減できました。

若手技能者の育成や安全で安心な就労環境の整備にもつながりました。

出た効果の種類(押すと同じ効果の事例へ)

審査の観点ごとの評価

新事業進出・ものづくり補助金

観点の平均3.6 / 514観点のうち13観点で評価

この事例が強かった観点

  • 5
    波及効果・雇用港湾・海岸・漁港の老朽化対策が県内で展開され、大手が参入しにくい工事を地元企業が担うことでインフラ維持と地域産業を支える点が明確。
  • 5
    イノベーションへの貢献海洋土木分野でのICT施工を進め、国のi-Construction推進の課題解決に寄与するとしており、先端技術による業界イノベーションに当たる。
  • 4
    これまでの取組との一貫性起重機船のリプレースを機に、過去の施工管理の課題(熟練者依存・人材不足)を踏まえてICT導入へ発展させており、事業の一貫性が読み取れる。

もう一歩だった観点

  • 2
    事業化までの道筋導入後の施工・活用範囲の拡大は書かれているが、中長期の課題検証や導入スケジュール、解決方法の記述は薄い。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性4

    起重機船のリプレースを機に、過去の施工管理の課題(熟練者依存・人材不足)を踏まえてICT導入へ発展させており、事業の一貫性が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    海洋土木で熟練者に頼る作業が限界という自社の弱みと、金沢港での唯一の通年在港という強みに触れ、競争優位に関係づけている。

  • 課題の認識と解決4

    熟練者依存と人材不足という課題を認識し、SV-Naviで日当たり浚渫土量3割向上、管理者乗船率8割削減という効果を示している。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標4

    浚渫土量が若手・熟練者ともに日当たり3割向上した実績と、乗船率8割削減の数字が示され、目標の裏付けがある。

  • 事業を進める体制3

    重機オペレーターや若手技能者の育成を社内で進め、技能者自身が施工管理システムを操作できる体制になっている点が書かれている。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    地元中小企業が担う長寿命化対策の需要と、ICT施工が遅れる海洋土木分野という課題に対応する点が書かれている。

  • 事業化までの道筋2

    導入後の施工・活用範囲の拡大は書かれているが、中長期の課題検証や導入スケジュール、解決方法の記述は薄い。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    海洋土木の起重機船施工へのICT導入は石川県内企業初であり、国内でも陸上に比べ遅れた分野への適用として新しさが読み取れる。

公的補助の必要性5.0
  • 波及効果・雇用5

    港湾・海岸・漁港の老朽化対策が県内で展開され、大手が参入しにくい工事を地元企業が担うことでインフラ維持と地域産業を支える点が明確。

  • 費用対効果ー

    公開情報では判断できません。

  • イノベーションへの貢献5

    海洋土木分野でのICT施工を進め、国のi-Construction推進の課題解決に寄与するとしており、先端技術による業界イノベーションに当たる。

政策面3.5
  • 成長分野への進出3

    国のi-Construction推進と海洋土木のICT施工の遅れ解消に寄与するとの記述があり、建設分野の構造転換に触れている。

  • 地域経済への波及4

    金沢港の拠点性と地域港湾インフラの維持を担い、地元中小企業が経営を持続して地域産業を支える役割が具体的に書かれている。

今後の展望

港湾施設や海岸施設の老朽化が進むなか、長寿命化対策工事は県内各地で展開される見込みです。大手が参入しにくい分野で、地元中小企業が経営を持続できる体力と能力を持つことは、インフラの維持と地域産業の支えにつながると考えています。

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出典・注記
  • 出典:公式の事例集(令和元年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 審査の観点:公募要領 p.44(審査項目)
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。