新型ドローンと電子標定点を用いた非対面型「革新的測量法」の導入

三重県の測量を手がける1人の事業者が、ものづくり補助金でドローンと電子標定点を導入し、工数を削減した事例です。

成果測量作業時間(1㎡あたり換算) 1時間→0.02時間

この事例のポイント

  • 測量で求められる精度は誤差±5㎝〜±10㎝のため、精度を高めるための基準となる標定点を多量に使う必要があった。
  • 高性能ドローン「Matrice300RTK」と電子標定点「AeroPoint」を導入し、四日市市及び鈴鹿市の現場でドローンにより上空から現場写真を撮影した。
  • 測量作業時間(1㎡あたり換算) 1時間→0.02時間。電子標定点の導入により、標定点の設置や位置測量、回収の工数が大幅に削減され、標定点の数も2分の1で済むようになった。

事業者のプロフィール

所在地三重県 鈴鹿市
業種技術サービス業(他に分類されないもの)
従業員数1人
設立2017年

事業の背景

代表は電気設備会社や建設業界で長年勤務し、その後ドローンを使った空撮事業会社に勤めて県内トップクラスの操縦技術を身につけた。2017年3月に独立開業し、関西圏のドローン関係企業と広いネットワークを築きながら、ビル・マンションの経年劣化点検や太陽光パネルの点検など幅広い産業分野でドローン活用を行っている。

建設業では国土交通省のi-Constructionの推進によりドローン活用の需要が高まっており、コロナ禍で非対面化を可能にする新型ドローンと電子標定点を用いた測量作業の必要性も感じていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度測量で求められる精度は誤差±5㎝〜±10㎝のため、精度を高めるための基準となる標定点を多量に使う必要があった。
  • 生産能力土地が広いほど標定点の設置と位置測量に何日も時間がかかり、バッテリーの稼働時間が短いためバッテリー交換や充電完了までの待ち時間などの工数がかさんでいた。
  • 人手・技能標定点の位置測量で複数名が近距離で作業する必要があり、データ解析でも複数名が密な空間で作業することになり、ソーシャルディスタンスが確保できなかった。

やったこと

高性能ドローン「Matrice300RTK」と電子標定点「AeroPoint」を導入し、四日市市及び鈴鹿市の現場でドローンにより上空から現場写真を撮影した。電子標定点を使って標定点の位置を効率的に測定し、その後データ解析を行った。

新型ドローンはGPHより高精度なネットワークRTKの測量法により、固定局と移動局の2つの受信機で4つ以上の衛星から信号を受信し、正確な位置情報を取得できる。電子標定点は従来のプラスチック等の標定点の代わりに使うことで、位置データがボタン一つで得られる。

25000㎡の広さの測量を行い、電子標定点を使わない場合は1時間を要していたところ、1㎡あたりに換算すると0.02時間で完了した。

新しい製品・サービス:新型ドローンと電子標定点を用いた非対面型の「革新的測量法」

補助金で入れた設備

経費の区分は「機械装置・システム構築費」です。

事業の効果

  • 測量作業時間(1㎡あたり換算) 1時間→0.02時間

電子標定点の導入により、標定点の設置や位置測量、回収の工数が大幅に削減され、標定点の数も2分の1で済むようになった。バッテリー稼働時間は55分と長く、電源ONのままバッテリー交換ができたため工数が大幅に減った。

データ解析では電子標定点のデータが自動的にパソコンへ取り込まれるため解析工数も削減された。公共測量で求められる±5cm未満の精度も達成した。

出た効果の種類(押すと同じ効果の事例へ)

審査の観点ごとの評価

新事業進出・ものづくり補助金

観点の平均3.4 / 5

この事例が強かった観点

  • 5
    イノベーションへの貢献RTKと電子標定点によるデータ自動取込など先端デジタル技術を活用し、非対面で測量する新しい手法を建設業界に提示している。
  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性県内トップクラスの操縦技術と関西圏の企業ネットワークを強みに、1000時間超のフライト実績を基盤とした優位性が示されている。
  • 4
    課題の認識と解決測量工数90時間超を20時間未満、精度±5cm未満を目標に設定し、1㎡あたり0.98時間削減など課題解決の効果を数値で示している。

もう一歩だった観点

  • 2
    事業を進める体制代表者1人の従業員体制であり、組織・体制は今後整える必要があると自ら記載しており、体制面の確保は弱い。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    電気設備・建設業での勤務、ドローン空撮会社での経験から独立し、空撮から測量・教育へ展開する一貫した流れが読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    県内トップクラスの操縦技術と関西圏の企業ネットワークを強みに、1000時間超のフライト実績を基盤とした優位性が示されている。

  • 課題の認識と解決4

    測量工数90時間超を20時間未満、精度±5cm未満を目標に設定し、1㎡あたり0.98時間削減など課題解決の効果を数値で示している。

事業の実現可能性3.2
  • 付加価値・賃上げの目標4

    25000㎡の測量を1㎡あたり0.02時間で完了し、従来1時間からの削減と公共測量基準の精度達成を実績で示している。

  • 事業を進める体制2

    代表者1人の従業員体制であり、組織・体制は今後整える必要があると自ら記載しており、体制面の確保は弱い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    ビル・マンションの点検や測量会社・建築土木会社への大規模三次元測量の提供など、顧客と選ばれる理由が具体的に整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    中国製ドローンの使用不可を受け、当面は日本製で展開し、水中・床下ドローンへの展開も視野に入れるなど対応方針が示されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    ドローン測量は一般に普及途上で、電子標定点と高精度RTKを組み合わせた非対面型の測量法として高付加価値化を図っている。

公的補助の必要性4.0
  • 波及効果・雇用3

    i-Constructionの推進を背景に建設現場の働き方改革と非対面化に資する点が示され、社会的な意義が読み取れる。

  • 費用対効果4

    測量工数の大幅削減と標定点の数が2分の1になる効果など、投入に対する生産性向上が数値で示されている。

  • イノベーションへの貢献5

    RTKと電子標定点によるデータ自動取込など先端デジタル技術を活用し、非対面で測量する新しい手法を建設業界に提示している。

政策面2.5
  • 成長分野への進出3

    建設業のi-Construction推進を背景に、ドローン活用による測量の効率化という分野への進出が示されている。

  • 地域経済への波及2

    地域の建設業者の業務効率化に触れるが、地域の雇用創出や経済成長への牽引という記述は薄い。

今後の展望

中国製ドローンは性能が優れているものの使用許可が下りなくなったため、行政の許可が下りるまで当面は日本製ドローンで事業を展開する。今後は空だけでなく水中ドローンや床下ドローンを使った事業も視野に入れている。

測量におけるドローン需要は今後増大すると見込まれ、大きなシェアを獲得するためには組織・体制を整えていく必要がある。

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出典・注記
  • 出典:公式の事例集(令和元年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 審査の観点:公募要領 p.44(審査項目)
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。