オンライン療育とリモート会議で、コロナ禍の利用控えを乗り切る
東北福祉ビジネス株式会社
宮城県の放課後等デイサービス・通所介護事業者(従業員57名)国が公開している採択事例です
この事例のポイント
- 感染を恐れた利用控えで、事業所が閉鎖するかもしれないという危機感があった。
- 知人の経営者にオンライン会議を体験させてもらったことが、IT導入のきっかけになった。
- 導入後の半年ほどは操作に戸惑ったが、手引を作って保護者を支え、オンライン療育を定着させた。
- 事業所どうしをオンラインでつなぎ、職員の交流と業務の効率化を同時に進めた。
事業の経緯
2012年に創業し、高齢者向けのデイサービスから事業を始めた。その後、障がいのある子ども向けの放課後等デイサービスや、老人ホームの紹介、就労支援にも広げた。放課後等デイサービスは365日営業し、共働きやひとり親の家庭を支えている。
コロナ禍で外出が控えられると施設の利用控えが増え、事業所の閉鎖も頭をよぎるほどの危機感を持った。知人の経営者にオンライン会議を体験させてもらったことをきっかけに、IT導入補助金で各事業所に端末とオンライン会議システムを整えた。導入当初は操作に戸惑ったが、手引を作って保護者を支え、オンライン療育とリモート会議を定着させた。
事業の内容
- 課題:コロナ禍の利用控え高齢者向けの通所介護と、小学1年生から高校3年生までの障がいのある子ども向けの放課後等デイサービスを運営している。共働きやひとり親の家庭を支えるため365日営業し、外食や公共交通機関の利用など、社会生活に近づく体験プログラムを毎日用意してきた。コロナ禍で外出が控えられるようになると施設の利用控えが増え、運営の先行きに強い危機感を持った。
- 取り組み:オンライン療育知人の経営者にオンライン会議を体験させてもらい、子どもたちとのやりとりだけでなく仕事もしやすくなると考えた。IT導入補助金を使い、各事業所にパソコン(計6台)とタブレット端末(計10台)を置き、オンライン会議システムで療育をオンラインでも行えるようにした。通信を安定させるためにVPN接続機器も入れた。
- 取り組み:保護者と職員の操作支援導入当初は画面共有やミュート解除の操作に慣れず、保護者の多くがスマートフォンに会議アプリを入れていないため参加できないこともあった。機種ごとに操作が違うため、職員がインストールの手引を作り、操作を説明した。
- 取り組み:事業所をつないだ朝礼・会議事業所どうしをオンライン会議でつなぎ、リモートで朝礼や会議を行うようにした。資料はクラウドで共有し、全員が同じ画面を見ながら話せるようにした。採用面接もオンラインで行うようにした。
補助金を使った経費
記事の内容から、デジタル化・AI導入補助金の経費区分にあてはめた区分です。
| ハードウェア購入費 | パソコン |
|---|---|
| ハードウェア購入費 | タブレット端末 |
| クラウド利用料 | オンライン会議システム |
| ハードウェア購入費 | VPN接続機器 |
事業の効果
- オンライン療育の利用者は当初1〜2名だったが、半年から1年ほどで増えた。
- 子どもたちがオンラインに慣れ、楽しんで参加するようになった。
- 資料をクラウドで共有するようになり、情報が一か所にまとまった。
- 会議資料の印刷が減ってペーパーレス化が進み、車での行き来が減って駐車場代も下がった。
- オンライン面接で、県内だけでなく関東やハワイからも応募が来るようになった。
事業者の声
今は働き方が変わってきて、共働き家庭も多いですし、シングルで育てていらっしゃる方も少なくありません。学校が休みの日に子どもを一人で家に置いておけないから仕事を休んで面倒を見なければいけない、というご家庭もあります。そんな親御さんたちの負担を減らし、事業所としてもサポートしていけたらと考え、365日営業や早朝から放課後でも長時間ご利用いただけるサービスをご提供しています。
バスや地下鉄に乗って外食に行ったり、公園に行ったりするプログラムもあります。実際に自分たちで切符を買うことや公共交通機関に乗るということをみんなで体験し、ルールやマナーも学び、少しでも社会生活に近づけるように工夫しています。
外出することが社会的にタブーになった頃、施設の利用控えが増え、事業所の運営面で危機感が高まっていきました。もしかしたらこのまま何もしなければ最悪、事業所が閉鎖、倒産するのではないか、と不安も頭をよぎりました。
知人の社長に体験させてもらったのが、導入のきっかけです。子どもたちとのコミュニケーションだけでなく、仕事もしやすくなると感じました。
最初の頃は画面の共有やミュート解除の方法が分からず操作に不慣れでした。また、こちらがZoomの環境を整備しても、保護者の多くがスマートフォンにZoomのアプリをインストールしておらず入れないといったハプニングもありました。AndroidやiPhoneの端末ごとに操作も違うため職員も戸惑いながら、インストール方法の手引を作成したり、操作説明を行いました。今では笑い話ですが、導入から半年ぐらいはいろんな失敗をしたりして試行錯誤の連続でした。
子どもたちも、オンラインに慣れてくると楽しんでくれるようになりました。この経験は、子どもたちの社会生活を送る上でも有意義なものになるだろうと思い、導入して本当に良かったと思いますね。
コロナ前の会議では、各人がバラバラに資料を印刷して持ってきていました。それがリモート会議ではGoogle Driveで資料を共有するようになり、情報の一元化ができました。また、印刷せずに全員が同じ画面の資料を見ますのでペーパーレス化にも役立ったり、車での往来が少なくなったので駐車場代が減ったりなど、業務改善や経費節減に繋がったことは意外な効果でしたね。
新型コロナウイルス感染症によってコミュニケーション方法ががらりと変わってきています。ITを利用することで社内業務が改善できたり、時間の削減に繋がったりして、今までとは違う方法で業務効率化を進められます。IT導入を検討されている経営者の皆さんには、補助金なども積極的に利用してIT化を進めてもらいたいですね。
福祉はチームプレイ。職員間の関係作りが大切です。ヘルプが必要なときや別の事業所に異動したときに、職員みんな仲が良いと仕事もスムーズに進むと思います。
宮城県の放課後等デイサービス・通所介護事業者(従業員57名)
出典
- 中小機構「補助金活用ナビ」の事例記事(当社が書き直し・要約。事業者の声は記事中の発言の引用です)
- 経費区分は、デジタル化・AI導入補助金の公募要領の区分に当社があてはめたものです
- 採択率:中小企業庁「採択結果」(26年4次)
今後の展望
ITを使って職員どうしの関係づくりを進め、チームで支える福祉をめざす。事業所間の異動や応援のときにも、仕事がスムーズに進む職場にしたい。
この事例の取り組み
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