ものづくり補助金平成24年度宮城県

曲面・鏡面用外観検査ロボットの標準化組み込みソフトの開発

引地精工株式会社

この事例のポイント

  • ロボット1台1台をユーザー仕様で製造していたため納品までに時間がかかっていた。
  • 多関節ロボットの先端に特殊光学ヘッドを搭載した外観検査ロボット「HS-IR100」を開発し、フィールドテストを経て製品化した。
  • 目視検査の時間と負担が大幅に削減された。

事業者のプロフィール

事業者名引地精工株式会社
所在地宮城県 岩沼市
業種一般機械器具製造業
技術分野組込みソフトウェア
従業員数70人
資本金3,000万円
設立1979年

事業の背景

昭和54年にプレス2次加工を主業務として創業し、その後、産業用省力化設備や治具の設計から部品製造・組立・メンテナンスまでを一貫して行う業務に転換した。大手家電メーカー1社から始まり、繊維、食品加工、医療機器関連など様々な業界へ取引先を広げてきた。平成22年に大手自動車メーカーが宮城県に進出したことを受け大和町に工場を新設し、自動車関連設備の設計・製造も手掛けている。検査用設備は使用部品を指定されることが多かったため、オリジナル製品として曲面・鏡面用外観検査ロボットの開発に着手した。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力ロボット1台1台をユーザー仕様で製造していたため納品までに時間がかかっていた。
  • 人手・技能操作上の問い合わせが多く、時間的に縛られることも多かった。
  • 新製品・新技術オリジナル製品として製品化し市場に投入するには、ロボットのデザインをスタイリッシュにし、使いやすさを高める必要があった。
  • 販路・情報発信作業者が慣れていない場合は目視検査の方が簡単と判断されがちで、販売拡大の大きな課題となっていた。
  • 品質・精度操作面が複雑で、操作性そのものを向上させる必要があった。

やったこと

多関節ロボットの先端に特殊光学ヘッドを搭載した外観検査ロボット「HS-IR100」を開発し、フィールドテストを経て製品化した。ソフト面では、ワークの3DCADデータから自動ティーチングデータを作成する自動ティーチング支援ツールソフトを開発し、作業者の技量を問わずロボットを操作できるようにした。標準化組み込みソフトとして、検査設定一括変更ツール、検査領域指定ツール、位置決め領域指定ツールを組み込み、設定ファイルを都度読み込ませる工程を省略した。さらに検査パラメータの条件出しツール、画像処理の高速化、検査結果表示ツールの組み込みを行い、操作画面はオブジェクトを減らし表示を大きくしてタッチパネル化を見据えた。ロボットのサイズは4種類用意し、携帯電話のケースから自動車のドアまで様々な形状を検査できるようにした。

ロボット外観検査ロボット HS-IR100
ソフト標準化組み込みソフト(自動ティーチング支援ツール、検査設定一括変更ツール、検査領域指定ツール、位置決め領域指定ツール、検査パラメータ条件出しツール、検査結果表示ツール)

新しい製品・サービス:曲面・鏡面用外観検査ロボット HS-IR100

事業の効果

目視検査の時間と負担が大幅に削減された。自動ティーチング支援ツールにより、作業者の労力と時間が大幅に削減された。ソフト組み込みにより作業時間と操作性が格段に向上した。メッキ仕上げ品、塗装部品、樹脂成型品、ガラスなど様々な素材の小さなキズやヘコミを検出できる製品として販路と市場の拡大が期待される。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    設計・製造から外観検査ロボットの自社製品化へ転換し、標準化組み込みソフト開発に取り組んだ流れは読み取れるが、経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    目視検査の人手不足が背景にあり、曲面・鏡面を検査できる独自ロボットでオンリーワン製品と述べている点から、競争優位性がうかがえる。

  • 課題の認識と解決3

    ロボット操作の難しさや納品までの時間という課題を認識し、自動ティーチング支援ツールで解決を図った点は読み取れるが、事業計画の具体性は薄い。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    作業時間や操作性の向上は述べられているが、付加価値額や賃上げの目標値は数字で示されておらず、実現可能性は判断しにくい。

  • 事業を進める体制2

    ものづくり補助金を活用し開発体制を整えたことはうかがえるが、補助事業を担う人材や事務処理体制の具体的記述は少ない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    小さなキズやヘコミを検出でき、ロボットは4種類で携帯電話ケースから自動車ドアまで対応すると具体的な製品価値が示されている。

  • 事業化までの道筋3

    フィールドテストを経て製品化し、ソフト組み込みで設定工程を省略したという進め方は示されているが、今後のスケジュールは明確でない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    曲面・鏡面向けの外観検査ロボットはオンリーワンの製品と位置付けられ、ものづくり現場での普及が限定的な分野への取組と読み取れる。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    人手不足を背景に目視検査の自動化が今後あらゆる業界で需要を生むと述べており、雇用や需要創出への効果がうかがえる。

  • 費用対効果2

    作業効率の大幅改善とされているが、補助金額に対する付加価値増加や生産性向上の具体的数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    多関節ロボットと特殊光学ヘッド、3DCADデータによる自動ティーチングを組み合わせ、デジタル技術を活用した検査装置となっている点が読み取れる。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    航空宇宙産業の品質認証取得や航空機産業参入を目指す記述はあるが、日本経済の構造転換への貢献として明確には示されていない。

  • 地域経済への波及4

    宮城県の大和町に工場を新設し、地元6社の共同体エアーズみやぎに参加するなど、地域の企業と連携して雇用と成長に寄与する姿が読み取れる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

ものづくり企業にとって目視検査は必須であり、人手不足を考慮するとあらゆる業界への需要が考えられ、期待は大きい。平成27年に宇都宮工場を開設して首都圏への販路拡大を図り、平成29年にはタイ工場を開設してグローバル化にも対応していく。宮城県のものづくり企業6社との共同体「エアーズみやぎ」で航空機産業への参入を目指している。

  • 目標:ロボットのサイズも4種類用意し

事業者の声

展示会等への出品では、多くの注目を集めることができました。たとえ直接ロボットの受注に繋がらなくても、当社の開発力や技術力、創造力をアピールするには十分で、実際にそこから設計や設備製作の受注にもつながっています

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。