ものづくり補助金平成24年度宮城県

未活用資源活用による新しい機能性食品づくり

株式会社ヤマウチ

この事例のポイント

  • 南三陸町で揚がる漁業資源のうち、大きさや形状の理由で市場に流通できないものや、海藻や鮭の骨などの未活用資源を、機能性食品へ転換する方法を探していた。
  • 細巻き用の海鮮巻き芯の開発では、自動真空充填機、加圧・真空攪拌機、うらごし機を導入した。
  • 海鮮巻き芯は冷凍保存が可能で、流通や在庫の面でも優位性を確保した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社ヤマウチ
所在地宮城県 宮城県本吉郡南三陸町
業種食料品製造業
技術分野金属プレス加工
従業員数45人
資本金2,000万円
設立1988年

事業の背景

株式会社ヤマウチは南三陸町で、地元南三陸産を中心とした海産物の販売と水産加工品の製造・販売を行っている。南三陸町では大きさや形状の理由で市場に流通できない漁業資源や、海藻・鮭の骨などの未活用資源が多く出ていた。同社はこれまでも魚介を利用したパイなどの開発を手掛けてきた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術南三陸町で揚がる漁業資源のうち、大きさや形状の理由で市場に流通できないものや、海藻や鮭の骨などの未活用資源を、機能性食品へ転換する方法を探していた。
  • 生産能力新商品開発に力を入れてきたが、特に震災以降は、その商品を作るための新しい機械の導入がネックになっていた。

やったこと

細巻き用の海鮮巻き芯の開発では、自動真空充填機、加圧・真空攪拌機、うらごし機を導入した。カキ・ホタテは真空式加圧釜で高温加熱後にカッティングし、ペーストにした後、煮汁を加えてうらごしを行い、製品を滑らかにした上で真空充填機で巻き芯の形に成型した。このほか、銀鮭やホタテの卵とひもを使った試作も行った。粉体化では、ミクロパウダー(製粉機)を導入し、鮭の骨や海藻について試作を重ねた。製粉機は摩擦熱を抑える水冷石臼方式で、酸化を抑えて劣化を防ぎ、品質の高い粉体を実現した。

加工機自動真空充填機
加工機加圧・真空攪拌機
加工機うらごし機
加工機真空式加圧釜
加工機ミクロパウダー(製粉機)

新しい製品・サービス:細巻き用の海鮮巻き芯と、多彩な食品との融合が可能な粉体(機能性食品)

事業の効果

海鮮巻き芯は冷凍保存が可能で、流通や在庫の面でも優位性を確保した。粉体はそば・うどん・パスタなどの試作を行い、それらとの融合性が確認されている。両者は安価に製造できるため単価面でも競合他社との差別化につながり、展示会でも好評を博した。巻き芯は取引のある業者を通じて寿司店などへの販売を始め、粉体は他社との共同でせんべいやポテトチップスとしての商品化を進めている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性53%
  • これまでの取組との一貫性2

    震災以降、新商品を作るための新しい機械導入がネックだったとあり、開発への注力は読み取れるが経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    未活用資源の活用や無添加・素材へのこだわりが書かれ強みは示唆されるが、市場動向との比較や競争優位の具体的な根拠は薄い。

  • 課題の認識と解決3

    量産化のための巻き芯のパッケージング高効率化が課題として挙げられ、今後の展開も示されているが、事業計画の数値や実効性は書かれていない。

事業の実現可能性44%
  • 付加価値・賃上げの目標1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 事業を進める体制2

    南三陸商工会の紹介で応募し、代表が取組を述べているが、補助事業を遂行する人材や事務体制の記述はわずかにうかがえる程度。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    寿司店等への販売、ネット販売、非常食や介護食・離乳食への展開など顧客ターゲットと製品の価値が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    パッケージング高効率化や生産工程改善、量産化体制構築が課題として挙げられ、遂行方法の方向性は読めるがスケジュールは薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    無添加で素材にこだわった商品づくりや、細巻き用海鮮巻き芯の冷凍保存による差別化は読めるが、市場の普及度との比較は書かれていない。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    未活用資源の機能性食品化により地元南三陸の漁業資源を活かす点はうかがえるが、経済波及や雇用創出の数字は書かれていない。

  • 費用対効果2

    単価面での競合差別化や展示会での好評はあるが、補助金額に対する付加価値増加や生産性の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    ミクロパウダーの水冷石臼方式で酸化を抑える技術は記されるが、サプライチェーンへの貢献や新しいビジネスモデルとの関係は薄い。

政策面50%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及4

    南三陸町の豊富な漁業資源や未活用のカキ、ホタテ、鮭を活かし地域に根ざした事業展開をしている点が具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後はさらに商品化できる原材料の開拓を図りながら、商品のブラッシュアップに努める。巻き芯はパッケージングのさらなる高効率化や生産工程の改善を進め、量産化できる体制を構築し、将来はネット販売の強みを活かして消費者向け製品の展開を目指す。粉体は、アルファ化した玄米とブレンドした非常食の商品化を企画中で、ゆくゆくは介護食や離乳食へ展開していく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。