ものづくり補助金平成24年度岐阜県

糖尿病患者向け(糖質制限)のパン(発酵食品)の試作開発

グルマンマルセ株式会社

成果食パンの糖質量 20g→1.7g

この事例のポイント

  • 糖尿病患者向けに糖質を制限したパンの製品化が必要になっていた。
  • 糖質の無いこんにゃくを乾燥状態に加工した素材の提供を受け、こんにゃく粉末を使ったパン生地の開発を進めた。
  • 食パンの糖質量 20g→1.7g。こんにゃく粉末を使い、糖質量と熱量を大幅に抑えたローカーボ食パンの製品化に成功した。

事業者のプロフィール

事業者名グルマンマルセ株式会社
所在地岐阜県 不破郡垂井町
業種食料品製造業
技術分野発酵
従業員数135人
資本金2,000万円
設立1968年

事業の背景

昭和43年設立の製パン会社で、高付加価値少量多品種のパン製造卸売を60年にわたり手がけてきた。垂井本店ほか5店舗を運営し、スクラッチ方式で販売している。国内の糖尿病患者数は40年で50倍、2010年に1,070万人、予備軍を含めると2,500万人とも言われ、糖質制限食のニーズが高まっている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術糖尿病患者向けに糖質を制限したパンの製品化が必要になっていた。
  • 生産能力糖質のないグルテンフリーのパン生地は手作業での分割・成型が中心で、作業の安定化と適正な生産量の確保が課題だった。

やったこと

糖質の無いこんにゃくを乾燥状態に加工した素材の提供を受け、こんにゃく粉末を使ったパン生地の開発を進めた。商品化のため製造ライン工程の設備投資を実施し、新たにツインデバイダーを導入して分割作業の安定化と合理化を図った。ツインデバイダーは日本製で最高クラスの機械とされ、粘着性のある素材に対応できる点が特徴である。こんにゃく食パンは10kgの仕込みを20回、ピザは4kgの仕込みを7回行い、生産工程テストを繰り返した。試作品は糖尿病治療で知られる高尾病院の社員に血糖値検査を協力してもらい、専門家と一般消費者・患者による味覚テストや試食で問題点を洗い出した。

加工機ツインデバイダー
その他製造ライン工程の設備

新しい製品・サービス:糖質制限パン「ローカーボ食パン」(こんにゃく粉末を使ったパン。ロールパン、クロワッサン、ピザ、発酵焼き菓子の試作も行った)

事業の効果

  • 食パンの糖質量 20g→1.7g
  • 食パンのエネルギー 119kcal→103kcal
  • ロールパンの糖質量 22g→2.9g
  • ロールパンのエネルギー 142kcal→103kcal

こんにゃく粉末を使い、糖質量と熱量を大幅に抑えたローカーボ食パンの製品化に成功した。本店や愛知県内の店舗、都内のスーパーで販売し、病院への定期的な納品や東京のナショナルマーケットでの本格的な取引も始まった。商品化につながる生産工程が整い、ニッチな商品を生産できる環境ができた。今後はクルミなどのバージョン展開やアレルギー対応の技術応用も検討している。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.5 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    60年の製パン実績と高付加価値少量多品種の蓄積が書かれ、既存事業との一貫性は読み取れるが、経営戦略上の位置付けの記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    糖尿病・健康志向などのニーズや、ニッチ市場で必要性需要が高いとの見立てはあるが、競合状況や自社の強み・弱みの分析は書かれていない。

  • 課題の認識と解決3

    課題として糖尿病患者数の増加と糖質制限ニーズが示され、製品化による対応が書かれているが、事業計画としての高付加価値化の数値や実効性の記述は少ない。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額の増加や賃上げの目標値は書かれておらず、生産量・価格の適正化を目指すとの記述にとどまる。

  • 事業を進める体制3

    5店舗運営や60年の製造実績、高尾病院や専門家との連携が書かれ、体制の一部はうかがえるが人材・事務体制の記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    糖質1.7g(通常20.0g)、エネルギー103kcal(同119kcal)など数字で価値が示され、糖尿病患者向けという顧客ターゲットも明確である。

  • 事業化までの道筋3

    ツインデバイダー導入、食パン10㎏仕込み20回などの試作工程テストは書かれ、商品化までの流れはあるが、今後の中長期スケジュールは薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    糖質制限のこんにゃく粉末パンは一般的な普及度が低いニッチ商品とされ、通常品より糖質を大幅に抑えた点が具体的に示されている。

公的補助の必要性33%
  • 波及効果・雇用2

    糖尿病患者の増加や生活習慣病の深刻化は書かれるが、経済波及や雇用創出など国が補助する積極的理由は明示されていない。

  • 費用対効果2

    補助金投入額に対する付加価値増加の数値は書かれておらず、費用対効果は読み取れない。

  • イノベーションへの貢献1

    先端的なデジタル技術やサプライチェーンへの貢献についての記述は見当たらない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    健康志向や糖質制限ニーズの拡大に触れるが、日本経済の構造転換に資する分野進出とまでは書かれていない。

  • 地域経済への波及2

    垂井本店や愛知県内の店舗など地域での展開はうかがえるが、地域経済の牽引や雇用創出の記述は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

2020年の東京オリンピックを控え、ニーズの一層の高まりが期待される。健康志向も根強く、糖質制限を考える人へのアプローチも広がっている。今後はクルミなどのバージョン展開や、小麦アレルギーの人への提供に向けた技術応用も進めていく考えである。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。