ものづくり補助金平成25年度製造業千葉県

高精度歯車の一貫生産体制を実現する為に半導体レーザを導入し焼入れ技術を確立

株式会社KHK野田

成果焼入れ工程日数 5日→2日

この事例のポイント

  • 高周波焼入れ工程を外注熱処理会社に委託しているため、製造コストが増えている。
  • 半導体レーザ焼入れ装置を導入し、3軸直交ロボットと組み合わせて半導体レーザ焼入れ装置としてセットアップし、稼働テストを行った。
  • 焼入れ工程日数 5日→2日。半導体レーザ焼入れ装置の導入により焼入れを内製化し、焼入れ工程が5日から2日に大幅短縮された。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社KHK野田
所在地千葉県 野田市
業種金属製品製造業
技術分野精密加工,表面処理
従業員数116人
資本金8,000万円
設立1993年

事業の背景

当社は歯車製造会社として多品種の歯車を製造している。ラックは工作機械の自動搬送部分に使われ、100~200m/分の高速移動や重量物の搬送にも用いられる。ラックは位置決め精度が重要で、ダウンサイジングのため高周波焼入れにより歯面強度を上げた設計としている。売上高は21億780万円(平成27年6月期)である。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算高周波焼入れ工程を外注熱処理会社に委託しているため、製造コストが増えている。
  • 納期・工程外注に依存しているため、納期が不安定になることが発生している。
  • 品質・精度高周波焼入れでは歯面形状に膨らみの変形や全長の変化(曲りや伸び)が発生しやすく、ラックの全長寸法誤差が製品精度に影響する。

やったこと

半導体レーザ焼入れ装置を導入し、3軸直交ロボットと組み合わせて半導体レーザ焼入れ装置としてセットアップし、稼働テストを行った。ラック、歯研ラック、ヘリカルラックの複数本の試作品で焼入れを行い、レーザ照射の熱で硬度が上がることを確認した。適正熱処理条件を研究し、目標仕様は現行の高周波焼入れ製品仕様とした。試作品について焼入れ性、曲り、焼入れ精度、硬度範囲、焼割れ有無を検証した結果、5種類のラックで製品化可能との結論を得た。高周波焼入れより高い硬度が得られ、焼入れ後の戻し熱処理と冷却が不要で、スケールが少なく後処理も少ない工法であることを確認した。製品の曲りも高周波焼入れに比べ約1/2に減少した。

加工機半導体レーザ焼入れ装置

新しい製品・サービス:半導体レーザ焼入れによるラック(5種類)

事業の効果

  • 焼入れ工程日数 5日→2日

半導体レーザ焼入れ装置の導入により焼入れを内製化し、焼入れ工程が5日から2日に大幅短縮された。外注工程がなくなり、運搬時間も不要になった。製品の曲りが約1/2に減り、全長の変形(伸び)も少なくなって安定した工数管理が可能になった。見込みとしてプレス工程の減少による10%のコストダウンと1日のリードタイム短縮が期待され、新工法のメリットを活かした受注拡大も期待される。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    歯車製造を主力とする事業の中で、外注していた高周波焼入れを半導体レーザ焼入れで内製化する方針が示され、過去の取組との一貫性がうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    ラックのダウンサイジング需要や受注拡大の期待は書かれているが、市場動向と自社の強みを比較した記述は具体性が薄い。

  • 課題の認識と解決5

    外注による製造コスト増と納期不安定を課題とし、焼入れ工程を5日から2日に短縮、10%のコストダウンを見込むと数字つきで示されている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    10%のコストダウンや1日のリードタイム短縮、5日から2日への工程短縮が示されるが、付加価値額や賃上げの目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    常務取締役と担当者が記載され、商社との打ち合わせや試運転を行ったと書かれているが、体制の詳細や事務処理面の記述は少ない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    ラックの製品化可能な5種類を検証し、曲りが約1/2に減少したと具体的に示され、新工法の特性を顧客にPRする方針もある。

  • 事業化までの道筋3

    今後の展望として製品開発、既存製品の置き換え、歯車への展開が段階的に示されているが、期限やスケジュールは明記されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    半導体レーザ焼入れの認知度を上げる活動に触れており、新しい分野として位置づけられているが、高付加価値化の程度は数字で示されていない。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    受注拡大や歯車以外への転用の可能性にわずかに触れているが、雇用創出や波及効果の記述はない。

  • 費用対効果4

    曲り矯正工程の減少で10%のコストダウン、曲りが約1/2に減少、焼入れ工程が5日から2日になると数字で示されている。

  • イノベーションへの貢献2

    温度監視やロボット化に触れているが、先端的なデジタル技術や新しいビジネスモデルの記述はわずかにうかがえる程度である。

政策面20%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及1

    所在地は千葉県野田市と記載されているが、地域の特性を活かした付加価値や地域経済への貢献の記述はない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

外注している高周波焼入れ工程の一部を内製化し、半導体レーザ焼入れ工程に切り替える。サイズの異なるラックの製品開発を行う。既存の高周波焼入れ製品である平歯車、かさ歯車についても半導体レーザ焼入れ技術の研究を継続し、既存ユーザーへ置き換えを図る。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。