ものづくり補助金平成25年度製造業長野県

航空宇宙部品受注拡大に向けた加工時間短縮と精度向上による競争力強化

株式会社浜島精機

この事例のポイント

  • 航空機部品に求められる精度は非常に高く、従来のやり方では対応が難しかった。
  • 旋盤、マシニングセンター、三次元測定機まで共通で使える治具と工具を開発し、ワンチャックでの着脱を可能にした。
  • 複数の機械にまたがる加工で治具を共通化したことで、取付誤差が解消され段取り時間も短縮された。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社浜島精機
所在地長野県 飯田市
業種金属製品製造業
技術分野精密加工
従業員数22人
資本金1,000万円
設立1976年

事業の背景

1976年創業の同社は、モーター巻線の製造から研磨・切削加工へと技術領域を広げ、マシニングセンターでの大型精密加工やNC複合旋盤による小径部品の試作から量産までを手がけている。2006年には航空宇宙関連の産業集積を目指す「エアロスペース飯田」に参加し、2013年にはJIS Q 9100認証を取得した。海外で部品製造していたメーカーが品質や輸送コストの面から日本での製造へ移り始めており、飯田・下伊那地域の仕組みを活かして航空機分野のコア部品に注力しようとしている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度航空機部品に求められる精度は非常に高く、従来のやり方では対応が難しかった。
  • 生産能力工程ごとにワークを別の機械へ付け替えて二次加工するため、機械間で位置ズレが生じていた。
  • 納期・工程NC加工機の段取りに時間がかかり、小ロットの航空機部品を短時間で仕上げることが難しかった。
  • 人手・技能難削材の手加工による技能を次世代へ伝承し、社内の技術蓄積につなげる必要があった。

やったこと

旋盤、マシニングセンター、三次元測定機まで共通で使える治具と工具を開発し、ワンチャックでの着脱を可能にした。この治具を旋削もできる5軸機で使用したところ、狙った通りの精度が出ている。新たに横型タッピングボール盤と小型精密旋盤を導入し、マシニングセンターやNC旋盤で行っていたリピート品や新規受注品の加工に活用した。また汎用旋盤を使った手仕事を強化し、小ロット品を短時間で加工して技能の伝承にも役立てている。

  • 加工機横型タッピングボール盤小型精密旋盤汎用旋盤
  • その他共通取付治具・工具

事業の効果

複数の機械にまたがる加工で治具を共通化したことで、取付誤差が解消され段取り時間も短縮された。新たに導入した機械により、プログラミングと段取り時間が削減され、これまで加工できなかったサイズにも短納期で対応できるようになった。これによりリピート品の受注ペースが上がった。手仕事による加工を通じて技能の伝承も進み、その効果が徐々に現れている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    1976年創業のモーター巻線から研磨・切削、NC複合旋盤・マシニングへの技術領域拡大と、2006年からの航空宇宙分野参入が時系列で書かれ、一貫性が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    中京圏に近い立地、飯田・下伊那の38社参加、JIS Q 9100認証取得(2013年)、海外から国内生産へのシフトを踏まえ、航空機分野のコア部品を手がける方針が示されている。

  • 課題の認識と解決4

    航空機部品の高精度要求に従来手法では対応が難しいという課題を挙げ、共通治工具とワンチャック着脱で取付誤差と段取り時間を解消した点が具体的に書かれている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    段取り時間の短縮や精度向上は書かれているが、付加価値額の増加率や賃上げの数値目標は記載がなく、目標値の実現可能性は読み取れない。

  • 事業を進める体制3

    中心人物は子息の浜島邦人さんと書かれ、技能伝承や教育計画に基づく人材育成への取組は読み取れるが、体制の具体的な人員配置や事務処理能力の記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    航空機部品の高精度加工という顧客領域と、海外からの国内生産シフトの流れは書かれるが、顧客ターゲットやニーズの定量的な裏付けは薄い。

  • 事業化までの道筋3

    課題解決の手段として治工具の開発と汎用機の手仕事強化が示されるが、スケジュールや中長期の検証方法は書かれていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    航空機部品の高精度加工は一般的な分野だが、難形状の複合加工を治工具で共通化する点は差別化として読み取れる。高付加価値化の数値は書かれていない。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    飯田・下伊那地域38社の新たな産業集積や地域一貫生産体制の構築が書かれ、地域波及は読み取れるが、雇用創出などの数値は示されていない。

  • 費用対効果2

    補助事業の投入額と付加価値増加の関係は書かれておらず、段取り時間短縮の効果がわずかに示される程度で費用対効果は読み取れない。

  • イノベーションへの貢献2

    複数機械にまたがる共通治工具の運用は工程改善として書かれるが、デジタル技術やサプライチェーンのイノベーションへの言及はわずかにうかがえる程度。

政策面70%
  • 成長分野への進出3

    海外製造から国内製造へのシフトを捉えて航空機分野に進出する方向が書かれ、産業構造の変化への対応は読み取れるが、構造転換への効果は具体的でない。

  • 地域経済への波及4

    飯田・下伊那地域の精密加工38社による共同受注推進と地域一貫生産体制が具体的に書かれ、地域の経済成長を牽引する方向性が読み取れる。

事業者の声

海外で部品製造をしていたメーカーが、品質や輸送コストの面から日本での製造にシフトし始めています。この流れをとらえ、飯田・下伊那地域での仕組みづくりを活かして、航空機分野で当社でなければできないコアな部品を手がけていきたいと考えています

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。