ものづくり補助金平成25年度製造業福岡県

医療機器用精密板金部品の高精度加工方法確立による競争力の強化

ナサ工業株式会社

成果曲げ加工1箇所の誤差 0.05mm→0.01mm

この事例のポイント

  • 免疫検査分析装置の板金部品には±0.1〜0.2mmの寸法精度が要求され、曲げ加工1箇所の誤差0.05mmでは部品全体の条件を満たせなかった。
  • 2014年12月にファインミクロンベンダー(曲げ加工機)を導入した。
  • 曲げ加工1箇所の誤差 0.05mm→0.01mm。生産技術の高度精度化により、曲げ加工の誤差を0.01mmまで抑え、プレス成型加工同様の高い繰り返し精度を実現した。

事業者のプロフィール

事業者名ナサ工業株式会社
所在地福岡県 須恵町
業種電気機械器具製造業
技術分野精密加工
従業員数94人
資本金1,500万円
設立1969年

事業の背景

配電盤や制御盤、電気機械器具の設計・製造を手がけ、エスカレータ外装からエレベータ乗り場周りなどの昇降機関係、システム制御関連、ボックス・カバー類、サイン、建築・土木系製作物まで事業領域は幅広い。新分野として免疫検査分析装置の板金部品製造に携わるきっかけは、関東の大手医療機器メーカーが2011年の東日本大震災を受けてBCP対策から九州に工場を建てることになり、現地での部品調達に同社が声をかけられたことだった。中国などアジアでの市場拡大により、受注台数は月間30台程度から増えはじめていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度免疫検査分析装置の板金部品には±0.1〜0.2mmの寸法精度が要求され、曲げ加工1箇所の誤差0.05mmでは部品全体の条件を満たせなかった。
  • 品質・精度部品形状が複雑で塑性変形が部品ごとに異なるため、68種類の全部品に加工条件を個別に設定する必要があり、量産時も高精度を維持する条件管理が求められた。
  • 品質・精度1回に受注する30台に対して2、3個は精度を満たせず、毎回約35個を製作していた。
  • 生産能力アジア市場の拡大で受注が増え、従来の設備と体制では対応できなくなった。

やったこと

2014年12月にファインミクロンベンダー(曲げ加工機)を導入した。免疫検査分析装置の板金部品65品目の曲げ部品を試作し、曲げ加工1箇所の誤差が0.01mm以内となる最適な加工条件を探った。1回目の試作では57品目が目標の0.01mm以内に収まり、残り8部品は一級工場板金技能士が中心となって板金加工のノウハウを駆使し、改善を繰り返して加工条件を見直した。最終的に全部品で曲げ加工1箇所の誤差を0.01mm以内にできた。得られた最適加工条件はデータサーバに格納し、構築した管理システムどおりに運用する仕組みを整えた。加工時はバーコード付きの製造指示書のバーコードを読み取って加工条件を呼び出し、条件変更時もデータサーバに保存して次回生産時に最新条件を呼び出せるようにした。

加工機ファインミクロンベンダー(曲げ加工機)
ソフト加工条件管理システム(データサーバ)
その他バーコードリーダー

事業の効果

  • 曲げ加工1箇所の誤差 0.05mm→0.01mm
  • 月間受注台数 30台→120台

生産技術の高度精度化により、曲げ加工の誤差を0.01mmまで抑え、プレス成型加工同様の高い繰り返し精度を実現した。これにより高精度で複雑な形状の板金部品を安定して供給できるようになり、他社との差別化と競争力強化につながった。加工条件を管理システムで運用できるため、量産時も高精度を維持し品質の安定化が可能になった。月間受注は約4倍に増え、新分野の医療分野への進出により新たな事業の可能性も広がった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性3

    板金・制御盤製造の実績と高精度曲げへの取組はうかがえるが、経営戦略上の位置付けは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    中国などアジア市場拡大で受注が増えた状況と、0.01mm精度で複雑部品を安定供給できる差別化が具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決5

    曲げ誤差0.05mmを0.01mmに高精度化し、月間30台が120台へ約4倍に増えたなど、課題と解決の数字が示されている。

事業の実現可能性64%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    月間受注30台から120台への増加や、0.01mm以内での全68品目達成など、目標と実績の具体的数字がある。

  • 事業を進める体制4

    一級工場板金技能士が中心となり改善を繰り返したと、技能資格保持者による体制が具体的に書かれている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    免疫検査分析装置の部品を受注し、BCP対策で九州工場の部品調達先に選ばれた経緯が書かれ、顧客と選ばれた理由が読み取れる。

  • 事業化までの道筋3

    今後の課題として自動化・ロボット化とデータ管理による量産体制構築が示されるが、スケジュールは書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    免疫検査分析装置の板金部品で0.01mm精度を実現し、従来0.05mmからの高精度化と高い繰り返し精度を達成したと書かれている。

公的補助の必要性73%
  • 波及効果・雇用3

    BCP対策で九州に工場を作る医療機器メーカーの部品供給や、地域経済への貢献・技術者雇用拡大の可能性が書かれている。

  • 費用対効果4

    試作で57品目が目標内に収まり、残り8品目も改善で全件達成、月間受注4倍と費用対効果を示す数字がある。

  • イノベーションへの貢献4

    データサーバによる加工条件の格納とバーコード読み取りによる管理システムを構築し、デジタル技術で品質の安定化を実現している。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    バイオテクノロジー研究分野への進出を挙げており、成長分野への進出はうかがえるが、日本経済の構造転換への言及はない。

  • 地域経済への波及3

    地域経済への貢献や技術スタッフ雇用拡大が述べられるが、地域の特性を活かした具体的な記述は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後も受注量の増加が見込まれるため、さらなる生産能力の強化と自動化、ロボット化による人に頼る工程の効率化を課題としている。今回の検証ノウハウを基に、複雑で高精度な板金部品の設計提案やスムーズな量産体制の構築を進め、バイオテクノロジー研究分野への進出で事業領域を広げ、技術スタッフの雇用拡大と地域経済への貢献を目指している。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。