ものづくり補助金平成26年度製造業宮城県

ITを活用した外国人宿泊客おもてなし対応策等の展開

株式会社阿部長商店

この事例のポイント

  • 外国人宿泊客への語り部バス案内では通訳を担当できる人が限られ、通訳なしで参加できる体制が必要だった。
  • 語り部バスツアーにタブレットを用いたガイドを導入し、説明と同時に震災前後の写真や映像を表示できるようにした。
  • タブレットによる多言語ガイドにより、通訳なしでも外国人が語り部バスツアーに参加できる体制が整った。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社阿部長商店
所在地宮城県 気仙沼市
業種食料品製造業
従業員数675人
資本金5,000万円
設立1968年

事業の背景

株式会社阿部長商店は昭和36年の創業以来、三陸の海の恵みを生かした水産業と観光業を軸に事業を展開している。南三陸ホテル観洋は震災後に営業を再開するまで地域の避難所や復旧工事関係者の拠点として機能した。平成26年の宿泊客数は80万人を切ったものの、平成27年度からは再び回復傾向にある。外国人宿泊客は震災以前と同程度まで回復し、その約4割を台湾が占め、近年は香港、タイ、シンガポールなど東南アジアからの来日客も増えている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能外国人宿泊客への語り部バス案内では通訳を担当できる人が限られ、通訳なしで参加できる体制が必要だった。
  • 品質・精度語り部の説明は写真を掲げた後に回覧していたため、全員が見終わるまで時間差が生じていた。
  • その他復旧・復興工事で街の様子が大きく変わり、言葉だけでは伝えきれない部分があった。

やったこと

語り部バスツアーにタブレットを用いたガイドを導入し、説明と同時に震災前後の写真や映像を表示できるようにした。親機としてコンテンツサーバーと無線LANルーターを各3台、子機としてタブレット端末50台を導入し、親機の操作で同じ内容が子機に表示される仕組みを構築した。言語は英語、中国語(簡体・繁体)、韓国語、タイ語に対応した。並行して外国人おもてなしガイドブックを作成し、語り部社員7名で接客の基本や簡単な会話の練習を行った。

その他コンテンツサーバー
その他無線LANルーター
その他タブレット端末(子機)

事業の効果

タブレットによる多言語ガイドにより、通訳なしでも外国人が語り部バスツアーに参加できる体制が整った。説明と映像が同時に表示されるようになり、語り部活動の訴求力が高まったと評価されている。外国人宿泊客への来訪訴求にもつながり、本取組はジャパン・ツーリズム・アワードで大賞を受賞した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性53%
  • これまでの取組との一貫性2

    創業以来の観光事業やホテル運営の延長で語り部バスを始めたとあるが、経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    外国人宿泊客が約4割を占め台湾など東南アジア来日客も増えたとあり、市場動向は読み取れるが、競争優位の説明は薄い。

  • 課題の認識と解決3

    通訳を担当していた課題を挙げ、通訳なしで参加できる体制を整えるとあるが、高付加価値化や成長の計画数値は書かれていない。

事業の実現可能性44%
  • 付加価値・賃上げの目標1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 事業を進める体制3

    語り部社員7名で接客の基本を研修し、英語・中国語などの簡単な会話練習を行ったとあり、体制の一端は読み取れる。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    外国人宿泊客の増加、30万人以上の利用実績、SNSでの英語・中国語発信など、ターゲットとニーズの裏付けが具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋2

    今後は英語・中国語での発信を行い獲得を目指すとあるが、遂行方法やスケジュールの詳細は書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性40%
  • 新しさ・高付加価値2

    語り部バスは震災教訓を伝える独自の取組だが、多言語対応ツアーの分野での高水準化を示す記述は限定的である。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用3

    震災教訓の継承や交流人口増による被災地復興への寄与が述べられているが、経済波及の数字は示されていない。

  • 費用対効果3

    タブレット子機50台など導入規模は書かれているが、投入額に対する付加価値増加の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献4

    多言語対応タブレットとコンテンツサーバーを導入し、英語・中国語・韓国語・タイ語に対応する点が具体的に書かれている。

政策面70%
  • 成長分野への進出2

    インバウンド需要の拡大や観光振興への言及はあるが、日本経済の構造転換に関する記述は読み取れない。

  • 地域経済への波及5

    南三陸町の被災地で語り部バスを運行し、30万人以上が利用、地域交流と復興に貢献するとの具体的な数字と事実がある。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

SNSで英語と中国語の情報発信を強化し、外国人宿泊客のさらなる獲得を目指す。

事業者の声

現在、南三陸町の定住人口は激減していますから、交流人口を増やすためにも当館が街の窓口として機能することで、被災地復興の一助になりたいと強く願っています

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。