ものづくり補助金平成26年度情報通信業愛知県

農業用ハウス環境モニタリングの市場拡大のため高機能「あぐりログ」の試作開発

株式会社IT工房Z

成果愛知県内で450台、県外に100台ほど出荷

この事例のポイント

  • 農業分野では栽培環境を数値化して管理する取り組みが希薄で、経験と勘に頼った経営では立ち行かなくなっている。
  • 温室内の日射量、土や土中水の温度、土中の水分量、肥料濃度などを測るセンサーを備えた「ログBOX」を試作した。
  • 愛知県内で450台、県外に100台ほど出荷。ログBOXとあぐりログの販売により、愛知県内外で約550台の出荷実績を得た。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社IT工房Z
所在地愛知県 名古屋市
業種情報サービス業
技術分野情報処理
資本金1,000万円
設立2011年

事業の背景

株式会社IT工房Zは平成23年に名古屋市で設立された資本金1000万円のIT企業で、農業未経験ながら農業分野に特化して事業を始めた。愛知県農業総合試験場からサーバー管理業務を受注したことをきっかけに、農業分野のIT化の遅れを痛感した。愛知県は農業産出額が全国7位(平成26年度)の農業県である。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力農業分野では栽培環境を数値化して管理する取り組みが希薄で、経験と勘に頼った経営では立ち行かなくなっている。
  • 新製品・新技術先行製品との差別化のため、生産者同士で栽培データを共有できる仕組みが必要だった。
  • コスト・採算ビジネスとして量産やメンテナンス対応の財源を確保する必要があった。

やったこと

温室内の日射量、土や土中水の温度、土中の水分量、肥料濃度などを測るセンサーを備えた「ログBOX」を試作した。ログBOXは200×200×100mmと小型で、工事不要で吊り下げるだけで設置できる。測定データは通信機器によりサーバに送られ、ユーザーはスマホでいつでもデータを確認できる。生産者同士で情報を共有しグラフで比較できる招待制の機能も開発し、「あぐりログ」として愛知県内で450台、県外で100台ほど出荷した。

検査測定ログBOX(温室環境計測器)
ソフトあぐりログ(モニタリングサービス・サーバー)

新しい製品・サービス:温室内環境をデータ化する高機能モニタリングシステム「あぐりログ」

事業の効果

  • 愛知県内で450台、県外に100台ほど出荷

ログBOXとあぐりログの販売により、愛知県内外で約550台の出荷実績を得た。生産者同士で栽培データを共有できる仕組みは、ベテランの経験と勘に頼らず品種ごとの判断基準を作り、収穫量の安定と地域作物のブランド化につながると期待される。今後は水耕栽培用の液肥管理センサーや露地栽培用ログBOXの開発にも取り組む予定である。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性53%
  • これまでの取組との一貫性2

    過去に愛知県農業総合試験場のサーバー管理業務を受注し、農業ITに特化した会社を立ち上げた経緯は書かれているが、経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    「農業IT分野は未開拓」「低価格と手軽さをコンセプトに」と市場と差別化を述べ、先行製品との違いとして生産者間情報共有を挙げている。ただし経営資源の強み・弱みの記述は薄い。

  • 課題の認識と解決3

    「環境管理の数値化が希薄」「経験と勘に頼った経営は立ちいかない」と課題認識はあるが、高付加価値化や成長につながる計画の具体は書かれていない。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。ログBOX販売台数(愛知450台、県外100台)が示されるのみ。

  • 事業を進める体制2

    外注先は愛知県農業総合試験場とJAあいち経済連のバックアップで見つかったと書かれるが、社内の人材や事務処理体制については記載がない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    ログBOXは200×200×100mmで吊り下げるだけ、7万5000円、年間管理費2万4000円と価格と手軽さが具体的で、生産者間の情報共有という選ばれる理由も示されている。

  • 事業化までの道筋2

    今後は水耕栽培用液肥センサーや露地栽培用ログBOXの開発に着手する予定と書かれるが、スケジュールや課題の解決方法は明示されていない。

  • 財務と資金の調達2

    補助金は平成26年度補正ものづくり商業・サービス革新補助金に応募したとあるが、財務状況や金融機関からの資金調達の記載はない。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    農業IT分野は未開拓と書かれ、既存の計測器は高価で大掛かりな工事が必要だったとの対比があるが、市場の普及度を数値で示す記述はない。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    愛知県農業の振興、農業技術普及員やJA指導員と農家を結ぶシステム構想が書かれ、地域農業への波及が読み取れるが、雇用や経済波及の数値は示されていない。

  • 費用対効果2

    ログBOX450台・100台の出荷実績はあるが、補助金投入額に対する付加価値増加や生産性向上の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献3

    ネットワーク経由でサーバに送られスマホでデータを見られる仕組みや生産者間の情報共有が書かれ、デジタル活用によるイノベーションがうかがえる。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    農業分野のIT化の立ち遅れを指摘しており、農業のデジタル化への寄与がわずかにうかがえるが、日本経済の構造転換への言及はない。

  • 地域経済への波及4

    愛知県の農業産出額全国7位というデータと、ハウス栽培農家が注目する地域特性を踏まえた事業であることが具体的に読み取れる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後は水耕栽培のための液肥管理用センサーや露地栽培用ログBOXの開発に着手する予定で、農業技術普及員やJA営農指導員と農家を結ぶシステムとしても構築したいと考えている。

  • 目標:1台の価格は7万5000円
  • 目標:年間のデータ管理費は2万4000円

事業者の声

「あぐりログで愛知の農業に貢献したい」

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

千葉県情報通信業平成25年度

障害者関連事業で商品と顧客サービスを革新する就労支援事業

障害者就労支援器具「ワークサンプル幕張版」で使う30段棚を、既存の台湾製木製棚から国産のプラスチック製棚に変更した。

効果:台湾産木製棚から国産プラスチック製棚にしたことで軽量化、高品質化、低コスト化が実現した。

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。