ものづくり補助金平成26年度製造業滋賀県

競漕艇における実用的な高度センシング・データ解析システムの開発

桑野造船株式会社

この事例のポイント

  • エイトなど複数の漕手による競技で、全員の漕力とオールを動かすタイミングの同期を測定・解析・評価する機器が存在しない。
  • 圧力センサを開発し、それを組み込んだインソールを各漕手のシューズの片足ごとに実装した。
  • 乗艇中の足圧データを継続的に計測・記録し、コックスやコーチが携帯端末でリアルタイムに漕手の踏み込みのタイミングや強さを把握できるシステムを完成させ、開発のめどを得た。

事業者のプロフィール

事業者名桑野造船株式会社
所在地滋賀県 大津市
業種輸送用機械器具製造業
技術分野測定計測
従業員数15人
資本金1,000万円
設立1868年

事業の背景

当社は明治元年(1868年)創業で現在150年目を迎え、競漕艇の製造・販売・修理やエルゴメーター等の測定装置販売などを行っている。当社の競漕艇はOEM製品も含め日本市場の7割以上を占める。一方、現在市販されているオール取り付け型の簡便な測定装置は、フルセット60万円程度で販売されている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術エイトなど複数の漕手による競技で、全員の漕力とオールを動かすタイミングの同期を測定・解析・評価する機器が存在しない。
  • その他定量的なデータに基づく効果的なトレーニングを行うことが困難である。

やったこと

圧力センサを開発し、それを組み込んだインソールを各漕手のシューズの片足ごとに実装した。インソールに直結するセンサ・ユニットを設計し、ケーブル(信号+電源)で直列接続する伝送方式を確立した。端末に配置するデータ収集ユニット(中央制御、電源、データロガー、データ送信機能を保有)を開発し、補助計測装置として3軸加速度センサによる3次元方向の加速度計測も開発した。圧力データ解析プログラムを作成してセンサ・ユニット、データ収集ユニット(ホストPC)、端末PCに搭載し、スマホやタブレットへ通信して表示するシステムを開発した。目標は計測時間2時間以上、サンプリングレート100msであった。

検査測定圧力センサ内蔵インソール
検査測定センサ・ユニット
検査測定データ収集ユニット
検査測定3軸加速度センサ
ソフト圧力データ解析プログラム
ソフト表示システム(スマホ・タブレット端末向け)

新しい製品・サービス:競漕艇における実用的な高度センシング・データ解析システム

事業の効果

乗艇中の足圧データを継続的に計測・記録し、コックスやコーチが携帯端末でリアルタイムに漕手の踏み込みのタイミングや強さを把握できるシステムを完成させ、開発のめどを得た。計測時間やサンプリングレート、圧力データの計測品質などの目標はほぼ満足できる成果となった。一方で、小型・軽量化、表示画面のユーザビリティ、耐久性・耐水性の改善が製品化に向けた課題として顕在化した。本システムは競合がなく独占的な優位性が見込まれる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    既存の競漕艇・測定装置の販売事業を基盤に、データ計測機器へ展開する方向性は読み取れるが、過去の取組との連続性は具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    従業員15人・日本市場の7割以上のシェアや、競合システムがないという独占的優位性が具体的に記載されている。

  • 課題の認識と解決4

    漕手の同期不足という課題を明示し、売上目標(初年度300万円から4年目800万円等)や製品価格100万円以内の目標を示している。

事業の実現可能性64%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    売上目標が年度ごとに数字で示され、製品販売を1年半後と期限を区切っているが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    代表者の日本ボート協会での経歴は書かれているが、開発体制や担当人員の具体的な記述は乏しい。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    ターゲットは大学・社会人ボート部やナショナルクルーと明確で、競合不在という選ばれる理由も示されている。

  • 事業化までの道筋4

    開発フローを8段階で示し、今後は実証試験と耐久テストを経て製品化する遂行方法が明確に書かれている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    複数漕手の漕力同期を定量測定する機器は存在しないと明記し、世界初の高度センシングとして高付加価値化を図る点が具体的。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    国が補助する積極的理由として、パラローイング支援や海外展開への言及がわずかにうかがえるが、経済波及効果の数値は示されていない。

  • 費用対効果2

    補助事業の費用に対する付加価値増加や生産性向上の数値は示されておらず、売上目標のみにとどまる。

  • イノベーションへの貢献3

    センサとデータ解析による新しいコーチング手法は示されているが、サプライチェーン全体への貢献は具体的に書かれていない。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    滋賀県大津市の企業である点は読み取れるが、地域の特性を活かした雇用創出や地域成長への言及は乏しい。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後、実際の乗艇での実証試験や耐久テストを重ねて課題を克服し、製品販売は1年半後を目標とする。量産時の価格はフルセット(エイト1艇あたり)100万円以内を目標とする。売上目標は初年度(2年目)300万円、3年目500万円、4年目800万円、5年目1,000万円とし、大学・社会人ボート部やナショナルクルーなどへの展開、パラローイングやカヌーへの応用、海外展開を進める。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。