ものづくり補助金平成27年度製造業秋田県

積層床板を内需から外需へ、欧米等への販路拡大

矢島木材乾燥株式会社

この事例のポイント

  • 製品の約90%を国内の文化・教育施設向けに販売しているが、少子化の影響で国内需要の先細りが見込まれている。
  • 合板の分割、背付け機への投入、合板への化粧単板の貼り付けの3工程を一連で行う生産かつ全自動化のラインを構築した。
  • 自動化ラインの整備により、合板の分割から含めて4人の省力化が可能になり、輸出・店舗・住宅向け製品の生産を強化できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名矢島木材乾燥株式会社
所在地秋田県 由利本荘市
業種木材・木製品製造業
技術分野精密加工,製造環境
従業員数42人
資本金1,500万円
設立1949年

事業の背景

複合フローリングの生産・販売を主力とし、製品の約90%を国内の文化・教育施設向けに販売している。少子化の影響で国内需要の先細りが見込まれる一方、店舗・住宅・海外向け製品の製造にも取り組んでいた。化粧単板の仕入の約6割を中国に依存しており、中国国内の原木伐採禁止を受けて調達先の見直しが必要になっていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 販路・情報発信製品の約90%を国内の文化・教育施設向けに販売しているが、少子化の影響で国内需要の先細りが見込まれている。
  • 生産能力店舗・住宅・海外向け製品に対応するため、文化・教育施設向け製品の生産性を上げ、付加価値の高い製品に人材を集中させる必要があった。
  • その他化粧単板の仕入の約6割を中国に依存しており、中国国内の原木伐採禁止により中国以外からの輸入を検討する必要が生じた。
  • 生産能力中国では化粧単板に仮止め用のテープを貼る仕組み作業を行っているが、中国以外では行っていないため、仕組みのないバラ単板のままで生産性を高める製造工程が必要だった。
  • 生産能力合板の分割、背付け機投入、化粧単板の貼り付けの3工程がそれぞれ別工程で作業されていた。

やったこと

合板の分割、背付け機への投入、合板への化粧単板の貼り付けの3工程を一連で行う生産かつ全自動化のラインを構築した。機械およびライン構築には庄内鉄工株式会社(秋田県能代市)の協力を得て、全自動化ラインを完成させた。さらに合板表層にバラの化粧単板を自動貼り合わせする装置も検討した。テープ仕組みのない化粧単板の接着を可能にし、通常は作業時間が長く不良の原因となる接着工程でも不良はほとんど発生していない。

  • 加工機全自動化ライン合板表層にバラの化粧単板を自動貼り合わせする装置

新しい製品・サービス:テープ仕組みが不要な化粧単板(バラ)を使った複合フローリング

事業の効果

自動化ラインの整備により、合板の分割から含めて4人の省力化が可能になり、輸出・店舗・住宅向け製品の生産を強化できるようになった。テープ仕組みのない化粧単板の接着が可能になったことで、ベトナム・ルーマニア・バルト3国等から輸入した化粧単板で製造でき、コスト優位性が向上した。ライン構築により受注生産から見込み生産へ切り替えたことで、12~2月の繁忙期の負荷が一定程度平準化された。不良はほとんど発生していない。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    国内文化・教育施設向けが約90%で、店舗・住宅・海外向けへの展開を課題として自覚し、創業70年の歩みと結びつけて位置づけている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    テープ仕組みのない単板で生産できる国内唯一の工場とされ、ベトナム等からの輸入単板でコスト優位性が向上したと具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    少子化による国内需要減と繁忙期の対応困難を課題として挙げ、全自動化ラインによる見込み生産への切替で平準化したと述べている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値や賃上げの具体的な目標値は書かれていない。4人の省力化と繁忙の平準化が示されるのみである。

  • 事業を進める体制3

    機械はメーカーの協力で導入され、無災害記録1,380日超や創業70年の経験が示されるが、事業遂行の人員体制は具体的に書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    輸出・店舗・住宅向け製品の生産強化を目的とし、韓国で高級住宅向けヒノキフローリングの需要増があると具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋2

    ライン構築と見込み生産への切替は書かれているが、中長期のスケジュールや課題解決の段取りは記載されていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    テープ仕組みのない単板接着は国内でほぼ同社のみとされ、ヒノキ化粧単板など高付加価値分野での取組がうかがえるが、数値の裏付けは乏しい。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    中国の原木伐採禁止による調達リスクや働き手確保の難しさが背景として書かれており、国が支援する理由はうかがえるが波及効果の記述は薄い。

  • 費用対効果2

    4人の省力化が示されるのみで、補助金額に対する付加価値増加や生産性向上の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献3

    全自動化ラインとテープ仕組みのない単板接着により、調達先を中国以外へ広げたサプライチェーン上の変化が示されている。

政策面60%
  • 成長分野への進出3

    国内需要の先細りを受けて海外・店舗・住宅向けへ転換する動きが書かれ、事業構造の転換は読み取れるが、成長分野としての根拠は薄い。

  • 地域経済への波及3

    秋田県由利本荘市の拠点や鳥海山のブナ材を主原料とする点が示されるが、地域の雇用や経済成長への効果は書かれていない。

今後の展望

韓国では高級住宅などでヒノキフローリング(化粧単板厚3ミリ)の需要が増加しており、販売を強化する考えである。

事業者の声

海外展開を拡大するうえでも環境問題への配慮は重要な取り組み

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。