ものづくり補助金平成27年度情報通信業静岡県

IoT技術と自動制御を組込んだ食品業界向け撹拌装置の開発

株式会社アイ・システム

この事例のポイント

  • 製造設備を人が監視しながら手で操作しており、作業効率や品質の均一化に限界があった。
  • 職人の感覚と経験をシステム化するため、自動制御装置機能と温度調整機能を組み込んだ撹拌装置「SmatMixer」の試作機をユーザーと共同開発した。
  • 職人の技術を見える化して情報を共有できるようになり、品質を均一かつ安定させることが可能になった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社アイ・システム
所在地静岡県 三島市
業種情報サービス業
技術分野機械制御,情報処理
資本金1,000万円
設立1993年

事業の背景

当社は情報サービス業として平成5年に設立され、自動車、食品、電子機器・半導体、製紙など幅広い業界向けに、オーダーメイドの自動制御システムの設計・製作・導入からメンテナンスまで一貫して手がけている。国内外のFA市場の発展により、自動制御システムへの需要が増加している。製紙業界では当社だけが持つノウハウと実績があるが、中小企業の製造現場では人に依存した製造体質が課題となっている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能製造設備を人が監視しながら手で操作しており、作業効率や品質の均一化に限界があった。
  • 人手・技能生地の捏ね上げ時の温度調整は、職人が生地温度、氷や温水の量、室内湿度から判断しており、職人の勘と経験に頼っていた。
  • 品質・精度製造プロセスにおける職人の判断が見えず定量化されていないため、情報を蓄積して活用することができなかった。

やったこと

職人の感覚と経験をシステム化するため、自動制御装置機能と温度調整機能を組み込んだ撹拌装置「SmatMixer」の試作機をユーザーと共同開発した。撹拌時間は自動制御により0.1秒単位、撹拌速度は1/4000単位で調整できるようにした。生地温度は温度センサーの検出値から投入する氷もしくは温水の量を自動で計算して調整する機能を組み込み、さらにジャケット付きステンレス容器と恒温水循環設備、その熱源となる温度調整装置により機械的に温度を安定させた。また、設備の運転状態や運転履歴、レシピデータをインターネット経由で表示するIoT技術による管理システムを導入した。撹拌中の生地の弾力を計測する方法は目途がついたが、最適な自動運転値についてはデータの蓄積を実施中である。

加工機自動制御撹拌装置「SmatMixer」
ソフトIoT技術による設備管理システム
その他ジャケット付きステンレス容器・恒温水循環設備・温度調整装置

新しい製品・サービス:IoT技術と自動制御を組み込んだ食品業界向けの撹拌装置「SmatMixer」

事業の効果

職人の技術を見える化して情報を共有できるようになり、品質を均一かつ安定させることが可能になった。運転状態や運転履歴をインターネットで確認できるため、多店舗を展開するベーカリーチェーンなどの管理者が各店舗の状況を把握できるようになる。蓄積した情報を新商品開発や商品改善に活かすことで収益性の向上が期待でき、品質の安全性も大きく高まると見込まれる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    自動車・食品など顧客要望に応じた自動制御システムの受託開発とメンテナンスを一貫して行ってきた実績が記載されている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    製紙業界で同社だけがノウハウと実績を持つとされ、強みは示されているが市場規模や数値的な比較は読み取れない。

  • 課題の認識と解決4

    職人の勘と経験による判断を見える化し、撹拌時間0.1秒・速度1/4000単位で調整できる点から課題認識と解決策が具体的に読み取れる。

事業の実現可能性44%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値や賃上げの目標値は記載されておらず、収益性の高い事業が見込まれるという定性的な記述にとどまる。

  • 事業を進める体制3

    開発部門とメンテナンス部門を持ち365日24時間体制で対応する体制が記載されているが、補助事業の人員配置は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    食品業界の製パン工場や複数店舗のベーカリーチェーンを対象とする点は示されているが、ニーズの裏付けは薄い。

  • 事業化までの道筋2

    最適値の蓄積が課題として残ると書かれており、スケジュールや課題解決の方法は明確に示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    自動制御と温度調整を組み込んだパン生地撹拌装置は、同分野で高付加価値化を図る取組として読み取れるが、水準の数値は示されていない。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    製造業の人材不足への危機感や子ども向け教育の記述はあるが、波及効果や雇用創出の数値は示されていない。

  • 費用対効果2

    コスト削減と安定した収益の確保が期待されると記載されているが、投入額に対する効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献4

    IoTによる管理システムとインターネット経由のデータ表示で多店舗の状況を把握できる点が具体的に記述されている。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    FA市場の発展やものづくり人材不足への言及はあるが、日本経済の構造転換への寄与は書かれていない。

  • 地域経済への波及2

    三島市の立地は示されているが、地域の特性を活かした事業としての記述は読み取れない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。