ものづくり補助金平成28年度卸売業、小売業京都府

版木作成工程における生産プロセスの改善事業

株式会社丸二

成果1枚あたりの製作総工数 6か月→1.5か月

この事例のポイント

  • 保有版木300枚余りの半数近くが摩耗・反り・割れなどで修復・復元を急ぐ必要があるが、職人の手作業では1枚に6か月以上かかる。
  • 高性能スキャナーで版木の文様をスキャンし、全文様のデータ蓄積に取り組んだ。
  • 1枚あたりの製作総工数 6か月→1.5か月。版木の修復・復元工程の改善により、1枚あたりの総工数が6~7か月から1.5~2か月へと1/3以下に短縮され、生産効率が…

事業者のプロフィール

事業者名株式会社丸二
所在地京都府 京都市
業種その他の卸売業
従業員数15人
資本金1,000万円
設立1982年

事業の背景

従来主に扱ってきた和室向けの表具材料類は、和室離れにより市場規模が縮小傾向にある。一方、創業以来こだわってきた京からかみは幕末・明治初期の職人が彫った300枚余りの版木を保有しているが、その半数近くが経年劣化している。襖紙や寺社仏閣の修復・復元需要は予算等の制約で漸減傾向にある。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力保有版木300枚余りの半数近くが摩耗・反り・割れなどで修復・復元を急ぐ必要があるが、職人の手作業では1枚に6か月以上かかる。
  • コスト・採算手作業での修復・復元は1枚あたり最低60万円以上の費用がかかる。
  • 新製品・新技術現代のトレンドに合わせて古い文様をリ・デザインしてほしいという依頼が増えている。
  • 生産能力京からかみはオリジナル性が求められ1案件のロット数が少ないうえ、文様サイズの修正依頼が重なると失注が多く生じている。

やったこと

高性能スキャナーで版木の文様をスキャンし、全文様のデータ蓄積に取り組んだ。スクリーン製版と彫り工程は木工レーザー加工機に置き換えたが、必要な深さの1/2~1/3程度しか彫れないため仕上げ工程を追加し、職人が手で深く彫り足すようにした。一部の彫り工程をAI化し、経験の浅い技術者でも対応できるようにした。版木の位置決め・固定の冶具を開発し、木を焼く臭いや木屑飛散対策として集塵・脱臭機能をカスタムした。

加工機木工レーザー加工機
検査測定大型スキャナー
その他集塵脱臭装置一式
その他京からかみ専用冶具・工具類
ソフトAIを用いた彫り工程・工程管理のソフト

新しい製品・サービス:京からかみの新たな文様デザインによるオリジナルグッズと、版木のリ・デザインによる新しい文様の京からかみ製品。

事業の効果

  • 1枚あたりの製作総工数 6か月→1.5か月

版木の修復・復元工程の改善により、1枚あたりの総工数が6~7か月から1.5~2か月へと1/3以下に短縮され、生産効率が飛躍的に向上する見込みである。少ロットでも受注でき、文様のリ・デザインや寸法の大型化・縮小化にも対応できるため、多様なニーズへの対応力と商品開発力が高まる。品質・精度・納期・コスト面での対応力が強化され、取引先からの信頼向上と経営体質の強化が図られる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性87%
  • これまでの取組との一貫性4

    明治35年創立の表具師・京からかみの伝承を軸に、保有版木の修復・復元とリ・デザインを事業の中核として位置付けている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    和室需要の縮小という市場環境に対し、保有版木300枚余りという独自資源を活かし、京からかみ製造に特化する強みが示されている。

  • 課題の認識と解決5

    1枚の製作が6~7ヶ月の総工数を1.5~2ヶ月へ1/3以下に短縮し、失注の原因となる少ロット・単価課題に対応する実効性が数字で示されている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    総工数を1/3以下に短縮する目標が示されているが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    職人の手仕事と社内の工房体制は読み取れるが、補助事業を遂行する人員配置や事務処理体制の記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    嗜好性の高い京からかみの価値、対象顧客(建築設計事務所・宿泊施設等)、リ・デザインへの需要が具体的に整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    今後の展開として業界別ターゲットと段階的な施策が示されるが、スケジュールや課題解決の具体的な方法は限定的。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性100%
  • 新しさ・高付加価値5

    京からかみは一般的な普及度が低い分野で、職人の手彫り・手刷りによる高付加価値の製品に特化していることが示されている。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    伝統技術の継承や職人育成、地域文化の維持という意義は読み取れるが、経済波及や雇用創出の数字は示されていない。

  • 費用対効果3

    1枚6万円以上・6ヶ月以上の修復を大幅短縮する効果は示されるが、補助金投入額に対する付加価値増加の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献3

    レーザー加工機やAIの工程への導入は読み取れるが、サプライチェーンや地域全体への波及の記述は限定的。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    インバウンド需要や海外市場拡大への言及はあるが、日本経済の構造転換に資する分野進出としての位置付けは明確でない。

  • 地域経済への波及4

    京都下京区の伝統産業を活かし、体験工房やギャラリーで地域の文化と観光需要につなげる具体的な取組が示されている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

寺社専門工務店や仏具店との取引を深めつつ、建築設計事務所やインテリアデザイン事務所、宿泊施設、飲食店、商業施設などへ和モダンとしての京からかみを提案する。オリジナルグッズやお土産需要を取り込み、海外市場の拡大も図る。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。