ものづくり補助金平成28年度製造業鳥取県

海外日本食市場、国内市場での拡販を図るため、カット工程の革新を行う

株式会社門永水産

成果人員 3人→1人

この事例のポイント

  • カット工程はベテラン従業員3人がかりの手作業で、1時間あたりの加工数は170切が限界だった。
  • 紅鮭、サワラ、タラなどの切身を手作業でカットしていた製造ラインに、数値制御型高精度スライサー(YS一3100XD型 スーパー魚やさん)を導入した。
  • 人員 3人→1人。人員は計画どおり3人から1人へ削減できた。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社門永水産
所在地鳥取県 境港市
業種食料品製造業
技術分野精密加工
従業員数123人
資本金1,000万円
設立1953年

事業の背景

当社は昭和28年に塩サバ、アジ、イワシの丸干しを製造販売したことに始まり、取扱い品目を増やしながら事業を拡張してきた。平成13年にはカニ加工業界で初めてHACCPの認定を受け、品質管理を徹底している。顧客からサケ等の切身製品への要望が増えており、カット工程の改善が課題となっていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力カット工程はベテラン従業員3人がかりの手作業で、1時間あたりの加工数は170切が限界だった。
  • 品質・精度ベテラン従業員でも切身の重さや大きさにばらつきがあり、細かな調整に対応できなかった。
  • 品質・精度設備導入前は90gカット1種類しか対応できず、顧客の要望に応えられなかった。

やったこと

紅鮭、サワラ、タラなどの切身を手作業でカットしていた製造ラインに、数値制御型高精度スライサー(YS一3100XD型 スーパー魚やさん)を導入した。この機械は切り身の重量を1g単位で調整でき、サイズ(長さ・高さ)を1mm単位で調整してカットできる。制御パネルで細かくカット設定ができ、数値制御と画像認識により、どの部位でも同じ重量にカットできる。導入により正確でスピーディーなカットが可能となり、加工効率が向上した。

  • 加工機数値制御型高精度スライサー YS一3100XD型 スーパー魚やさん

新しい製品・サービス:定塩フィーレや漬魚の切身製品。真空包装が可能となった切身製品(現在は試作段階)。今後は焼きやレトルトなどの新商品も開発する計画。

事業の効果

  • 人員 3人→1人
  • 1時間あたりの出来上がり枚数 1倍→10倍
  • 切身の重量のばらつき 10g→5g

人員は計画どおり3人から1人へ削減できた。1時間当たりの加工枚数は約10倍となり、作業者の習熟と連続稼働により今後さらに向上する見込みである。切身の形状と重量が要望どおり正確にカットでき、ロスが減った。顧客から要望のあった切身の真空包装も試作段階で可能となり、小売りや物販、年末の自社イベントでの販売など販路拡大が期待される。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.2 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    課題の認識と解決手作業の1時間170切が限界、ベテラン3人体制、90g1種類のみという課題を示し、導入後に人員3人から1人への削減を数字で示している。
  • 4
    付加価値・賃上げの目標カット加工効率は当初計画の約12倍に届かず約10倍、人員3人から1人へ削減と数値目標と実績が示され、今後の習熟で達成可能と見込んでいる。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け顧客からのサケ等の切身製品への要望、真空包装の顧客要望、東洋冷蔵・トライデントとの取引などニーズの裏付けと販売先が具体的に書かれている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    波及効果・雇用境港の水産加工業界でのリーダーシップ、鳥取県の活性化への貢献が期待されると述べられているが、国が補助する積極的理由は示されていない。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性3

    昭和28年の創業から加工場拡張やHACCP認定、設備の計画的投資を重ね、切身カット設備導入は既存の事業の延長にあると読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    海外取引実績やHACCP認証による信頼、ベニレイ・ニッスイ・ニチレイとの取引がうかがえるが、競争上の強み・弱みの分析は書かれていない。

  • 課題の認識と解決4

    手作業の1時間170切が限界、ベテラン3人体制、90g1種類のみという課題を示し、導入後に人員3人から1人への削減を数字で示している。

事業の実現可能性3.4
  • 付加価値・賃上げの目標4

    カット加工効率は当初計画の約12倍に届かず約10倍、人員3人から1人へ削減と数値目標と実績が示され、今後の習熟で達成可能と見込んでいる。

  • 事業を進める体制3

    既存の設備投資を計画的に行ってきた実績や管理体制はうかがえるが、補助事業を遂行する人材や事務体制の具体的記述は乏しい。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    顧客からのサケ等の切身製品への要望、真空包装の顧客要望、東洋冷蔵・トライデントとの取引などニーズの裏付けと販売先が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    真空包装は試作段階、焼き・レトルト商品の開発計画など今後の展開は書かれているが、スケジュールや課題解決方法は具体性が薄い。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性3.0
  • 新しさ・高付加価値3

    漬魚や定塩フィーレなど魚の切身加工で、カット重量を±5g以内に高精度化した点が同分野で差別化と読める。

公的補助の必要性2.7
  • 波及効果・雇用2

    境港の水産加工業界でのリーダーシップ、鳥取県の活性化への貢献が期待されると述べられているが、国が補助する積極的理由は示されていない。

  • 費用対効果3

    1時間あたり枚数が約10倍、人員3人から1人への削減など効果は示されるが、補助金額に対する付加価値額の算出は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献3

    数値制御と画像認識によるカットで重量誤差±5g以内を実現したと書かれているが、地域やサプライチェーン全体への波及は乏しい。

政策面3.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及3

    境港の水産物を都市部で販売し、境港・鳥取のPRや県の活性化に貢献すると期待されていると書かれている。

今後の展望

海外では日本食レストラン向けに、ベニレイ、ニッスイ、ニチレイの既存ルートで定塩フィーレや漬魚を販売する予定である。中国のアリババのB to Bマッチングサイトを使い海外展開も進める。国内では既存顧客への拡販と切身カットの増産で、新規顧客や百貨店のギフト販売も狙う。通信販売と自社店舗(本社境港、神戸、東京)の展開も計画している。

事業者の声

一切れずつ手作業でカットしていました。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。