ものづくり補助金平成29年度製造業新潟県

液肥の保存・貯留による経費削減と近隣農家の人手不足解消及び利益向上

上越バイオマス循環事業協同組合

この事例のポイント

  • 生ゴミから固形の有機肥料を作るには脱水・乾燥に大量の熱源が必要で、その費用が多額になる。
  • 液肥を保存する大型の貯留タンクを補助金で購入した。
  • 貯留タンクの導入により乾燥工程が不要となり、熱源にかかるコストを削減できた。

事業者のプロフィール

事業者名上越バイオマス循環事業協同組合
所在地新潟県 上越市
業種飲料・たばこ・飼料製造業

事業の背景

上越市内で発生した生ゴミや下水汚泥、廃食油などを地域で循環・利用することを目標に、バイオマス資源化施設の運営・管理を行っている。生ゴミはバイオガスや電力に、下水汚泥は有機肥料やセメント原料に、廃食油は再利用できる油に変換している。上越市は米農家が多く、液肥の散布に適した土地でもある。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算生ゴミから固形の有機肥料を作るには脱水・乾燥に大量の熱源が必要で、その費用が多額になる。
  • 生産能力毎日のごみの量が変わるため、まとめて肥料をつくるには保存設備が必要になる。
  • コスト・採算有機肥料は価格が割高で、農家にとっても負担の大きい肥料だった。
  • その他液肥の散布には散布機が必要だが、農家が新たに購入するには負担が大きい。組合が保有する散布機は1台で、液肥を使う時期が重なるため課題の解決になっていない。

やったこと

液肥を保存する大型の貯留タンクを補助金で購入した。液肥は乾燥が不要なため熱源のコストを削減でき、タンク内を撹拌することで常に一定の品質を保てるようにした。貯留によって、需要が重なる時期にも安定した品質の液肥を提供できるようになった。まず協力農家に液肥を提供して意見を集め、その結果を基に散布量や回数などの施肥方法を検討した。

その他液肥を保存する大型貯留タンク

新しい製品・サービス:脱水・乾燥が不要で散布しやすい低コストの液肥

事業の効果

貯留タンクの導入により乾燥工程が不要となり、熱源にかかるコストを削減できた。タンク内の撹拌によって生ゴミの量に左右されず、一定の品質の液肥を安定して生産・提供できるようになった。協力農家の意見を基に施肥方法を検討した結果、農作物の収量は前年を上回った。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性2

    生ゴミ由来の有機肥料事業を行い、液肥へ切り替えた経緯は書かれるが、経営戦略上の位置付けや過去の取組との一貫性は読み取れない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    上越市は米農家が多く液肥に適した土地とあり、外部環境への言及はあるが、競争優位性の根拠は具体性が薄い。

  • 課題の認識と解決4

    脱水・乾燥の熱源費が課題で、液肥化により熱源コストを削減し、課題と解決策が具体的に対応づけられている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    収量は前年を上回ったとあるが、付加価値額や賃上げの目標値は示されておらず、目標設定は読み取れない。

  • 事業を進める体制3

    協力農家と施肥方法を検討し、専務理事の名前も載るが、補助事業を遂行する人材や事務体制の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    安価な液肥を農家に提供する価値と、稲作農家を中心とした顧客ターゲットが明確に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    協力農家への提供と意見収集を経て施肥方法を検討したとあるが、今後の散布課題への対策は検討段階にとどまる。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    有機肥料の液肥化は一般的な分野ではないが、高水準の高付加価値化・高価格化を図る記述は少ない。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用4

    廃棄物を地域で循環させ、生ゴミからバイオガス、下水汚泥から肥料へ変換する地域循環の仕組みが具体的に示されている。

  • 費用対効果2

    熱源コストを削減し肥料を安価にしたとあるが、補助金投入額に対する費用対効果を示す数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献3

    地域の廃棄物を循環させる仕組みはあるが、先端的なデジタル技術や新ビジネスモデルへの言及は薄い。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    循環型社会の形成を目指すとあるが、市場成長分野への進出や構造転換への言及は読み取れない。

  • 地域経済への波及4

    上越市の米農家が多い地域特性を活かし、廃棄物の地域循環と農業の活性化につなげる取組として具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後はさらに多くの農家に液肥を使ってもらい、散布機の負担への対策として組合による散布の請け負いなど、実現可能な方法を検討していく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。