ものづくり補助金平成29年度製造業愛知県

業界初!電子レンジで調理できるがまごおり撰魚「蒲郡ニギスの煮付け」の開発

丸千水産株式会社

この事例のポイント

  • 三河湾のニギスやメヒカリなどの漁獲高が減り、事業環境が厳しくなっていた。
  • 平成27年に豊川市に新工場を建設し、冷凍設備を導入して冷凍塩干商品の製造と販売を始め、塩干市場に参入した。
  • レトルト釜の導入により、加熱、殺菌と同時に加圧加工できる商品を開発できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名丸千水産株式会社
所在地愛知県 蒲郡市
業種食料品製造業
従業員数42人
資本金1,000万円
設立1968年

事業の背景

丸千水産は蒲郡市で3代にわたり水産事業を営み、鮮魚を素材のまま提供することにこだわってきた。三河湾のニギスとメヒカリの年間漁獲高は、かつて600トン以上あったが近年は200〜300トン以下に落ち込んでいる。同社の社長は10年前に比べ漁獲高が半分以下になったと危機感を示していた。さらに食卓での魚離れも進み、事業環境は厳しさを増していた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力三河湾のニギスやメヒカリなどの漁獲高が減り、事業環境が厳しくなっていた。
  • 新製品・新技術生屋のままでは事業の先細りは避けられず、一匹の魚から幅広い商品を展開できる塩干商品の開発が必要だった。
  • 人手・技能加熱調理の経験が浅く、装置メーカーに問題解決のヒントを求めても守秘義務のため十分な助言が得られなかった。
  • 品質・精度醤油を加熱すると焦げて苦みが出る問題が解決できなかった。

やったこと

平成27年に豊川市に新工場を建設し、冷凍設備を導入して冷凍塩干商品の製造と販売を始め、塩干市場に参入した。次の段階として、平成29年度補正ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金を活用し、同社初の調理殺菌装置であるレトルト釜を導入した。当初は醤油味のレンジ調理商品を開発したが、焦げによる苦みが解消できなかった。そこで醤油を使わず、サバを出汁だけで加熱調理した「料理の素材」としての商品に切り替えた。レトルト釜は加熱、殺菌と同時に加圧加工するため魚の骨まで食べられ、菜種油で加工したイワシのオイルサーデンや、蒲郡みかんのマーマレードを使ったサバのマーマレード煮を商品化した。

その他冷凍設備
加工機レトルト釜(調理殺菌装置)

新しい製品・サービス:電子レンジで調理できる蒲郡ニギスの煮付け。レトルト釜で加熱調理した加圧加工の魚商品で、骨まで柔らかく食べられる。サバの出汁煮、菜種油のイワシのオイルサーデン、サバのマーマレード煮なども開発した。

事業の効果

レトルト釜の導入により、加熱、殺菌と同時に加圧加工できる商品を開発できるようになった。魚の骨まで食べられる商品が可能になり、小骨の多い魚の加工にも向くようになった。試験結果やデータに基づいて商品を開発するノウハウを蓄積し、個人の経験や勘への依存から組織で商品開発する食品工業への転換を進めている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性4

    生屋から塩干屋への移行を経営判断として明示し、冷凍設備導入と豊川工場新設の経緯が事業の一貫した流れとして書かれている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    ニギス・メヒカリの漁獲量が600トンから200〜300トンに減ったと書かれ、外部環境の厳しさは読めるが、自社の強みを競争優位として示す記述は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    漁獲高半減と魚離れを課題として認識し、レトルト釜で加熱殺菌商品を開発して高付加価値化を図る方向が具体的に書かれている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    賃上げ目標や付加価値額の目標値は記載がなく、加工品の販売による増収を示す数字もないため、目標の実現可能性は判断できない。

  • 事業を進める体制4

    従業員42人の体制と、試験結果やデータに基づき組織で商品開発を進める方針が記載され、遂行体制がうかがえる。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    加圧加工で骨まで食べられる特徴や、料理の素材として自分好みに味付けできる点など、製品価値と選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    醤油の苦み問題を出汁での調理に切り替えて解決した経緯は書かれているが、今後の中長期の遂行スケジュールは示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    骨まで食べられるオイルサーデンやみかんマーマレード煮など、高付加価値の加工品を開発していることは読めるが、価格や市場水準の数字はない。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    地元の魚の漁獲減少の中で、地元産の副材料を使うこだわりが書かれ、地域資源の活用という点で波及効果がうかがえる。

  • 費用対効果2

    補助金額や付加価値額の増加、生産性向上の数字は書かれておらず、費用対効果はわずかにうかがえる程度である。

  • イノベーションへの貢献2

    レトルト釜による加熱殺菌や加圧加工の導入は書かれるが、デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は記述されていない。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    水産業から食品工業への転換を進めると書かれ、構造転換の方向性はうかがえるが、市場成長の根拠は示されていない。

  • 地域経済への波及3

    地元の魚や蒲郡みかんを使い、地域資源を活かした商品を開発している点が書かれているが、雇用創出や地域成長の数字はない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

従来の個人能力に依存せず、組織で考えて商品開発し、顧客満足度を高めていく「食品工業」への転換を進める方針。

事業者の声

子供の頃から魚の骨が苦手だった

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。