ものづくり補助金平成29年度製造業兵庫県

木材に含有する精油・蒸留水(芳香その他有効成分)の抽出・活用事業

正垣木材株式会社

成果原材料の投入量 30kg→200kg

この事例のポイント

  • 木材チップ製造への新規参入が相次ぎ、チップ製造だけでは他社との差別化が困難になりつつあった。
  • 水蒸気蒸留装置(株式会社横山エンジニアリング製)を導入し、木材チップから精油と蒸留水を抽出する事業に取り組んだ。
  • 原材料の投入量 30kg→200kg。水蒸気蒸留装置の導入により、良質な精油と蒸留水を安定的かつ大量に抽出できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名正垣木材株式会社
所在地兵庫県 養父市
業種木材・木製品製造業
技術分野複合・新機能材料,複合・新機能材料
従業員数20人
資本金1,000万円
設立1978年

事業の背景

木材チップ製造の先駆的存在だった当社であったが、近年のバイオマス発電の増加により木材チップ製造への新規参入が相次ぎ、チップ製造だけでは差別化が困難になりつつあった。一方、顧客が自ら育てた木で木工教室を作りたいという他社では対応できない案件をやり遂げた経験や、本物の木材の香りを楽しめる商品を作ってほしいという顧客の声があった。芳香剤や消臭剤等への自然原料の活用という風潮も高まりつつあった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 販路・情報発信木材チップ製造への新規参入が相次ぎ、チップ製造だけでは他社との差別化が困難になりつつあった。
  • 生産能力これまで検討した装置は原材料を一度に5〜30kgしか投入できず、少量の精油しか抽出できないため事業化には向かなかった。
  • 新製品・新技術木材チップから安定的に一定量の精油や蒸留水を直接抽出する技術が必要だった。

やったこと

水蒸気蒸留装置(株式会社横山エンジニアリング製)を導入し、木材チップから精油と蒸留水を抽出する事業に取り組んだ。この装置は一度に200kgの原材料を投入でき、6時間の蒸留中に3〜5kgの精油が採取でき、稼働中は人員の配置を必要としない。低温真空乾燥法、マイクロ波水蒸気蒸留法、手作業での投入による水蒸気蒸留法なども検討したが、いずれも精油の抽出量が少量であり、チップから直接抽出できないなどの制約があった。抽出した精油と蒸留水は、温泉地やスキー場のホテル・旅館等でアロマウォーターやリネンウォーターとして販売し、大手消臭剤メーカーに素材としてサンプルを提供して実用化の可能性を探った。

加工機水蒸気蒸留装置

新しい製品・サービス:精油・蒸留水(「空間の香り」事業)

事業の効果

  • 原材料の投入量 30kg→200kg

水蒸気蒸留装置の導入により、良質な精油と蒸留水を安定的かつ大量に抽出できるようになった。精油採取率は従来の装置の2倍となり、設備費用は同じであった。その結果、大手精油メーカーとの取引が始まり、導入6か月目で事業化が実現した。木材チップから香りを取り出すことで、単なる燃料や材料だった木材チップを新たな価値を生む資源に変えることができた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    木材チップ製造の差別化困難を背景に精油事業へ挑戦したとあるが、過去の取組との連続性を示す記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    200㎏投入・精油採取率2.0%、大手精油メーカーとの取引開始など、強みと市場環境を具体的に示している。

  • 課題の認識と解決4

    チップ製造だけでは差別化が困難という課題を認識し、精油抽出で付加価値化する方向が示されている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    精油3〜5㎏採取、導入6か月で事業化実現とあり、付加価値創出の実績が具体的に読み取れる。賃上げ目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員20人との記載はあるが、補助事業を遂行する人材や事務体制についての説明はわずかにうかがえる程度。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    アロマウォーター等の販売実績、ホテルや温泉施設からの依頼など顧客ニーズと製品の価値が具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋3

    蒸留水の品質劣化や商品化の時間などの課題と今後の方向性は示されるが、スケジュールは明確でない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    精油は希少で付加価値が高いとされ、天然原料の香り事業として高付加価値化を図る内容が読み取れる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    森林資源の活用や山林への還元が語られるが、雇用創出や波及効果の数値的な根拠はわずかにうかがえる程度。

  • 費用対効果3

    導入費用は想定範囲内、投入量は約6倍とされるが、補助金額に対する費用対効果の数字は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    無用の長物とされた木材水分を活用する新たな価値創出はうかがえるが、デジタル技術やサプライチェーンへの言及は薄い。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    木材チップ産業の斜陽化に対し、香り事業へ転換する方向性がわずかにうかがえる。

  • 地域経済への波及3

    兵庫県養父市の地域の森林資源を活かした事業であることは読み取れるが、地域経済への波及の具体性は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後は蒸留水の活用に注力する意向である。蒸留水は品質の劣化が早く流通面の課題が多いが、市販の消臭スプレーとしての商品化をめざしている。精油と合わせて「空間の香り」事業を新しい柱に育てていく計画である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。