ものづくり補助金平成30年度製造業山口県

ネットワーク技術・自動化技術を活用した金型生産システムの構築

高橋鉄工株式会社

この事例のポイント

  • 複雑な形状で高度な加工技術を要する金型部品は短納期も求められ、受注を断らざるを得ないことがあった。
  • ネットワーク対応型の工作機械を導入し、サーバーやネットワークカメラと連携させて、遠隔地から加工状況をリアルタイムで把握し、自動加工を可能とする新しい金型生産システムを構築した。
  • 加工精度が格段に向上し、不良率が大幅に減少した。

事業者のプロフィール

事業者名高橋鉄工株式会社
所在地山口県 周南市
業種金属製品製造業
技術分野情報処理,精密加工
従業員数15人
資本金1,000万円
設立1957年

事業の背景

金型製造と金属加工を行う会社で、金型加工業界では金型の更新や高精度部品の加工ニーズが増加傾向にある。自動車関連の金型需要が伸びていることに加え、インターネットショッピングの拡大によるトラック物流量の急増を受けて、最終ユーザーであるディーゼル機関関係の大手企業の業績や研究開発投資も好調である。同社には自動車、建材、食品機械など幅広い業種からの依頼が絶えない。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 納期・工程複雑な形状で高度な加工技術を要する金型部品は短納期も求められ、受注を断らざるを得ないことがあった。
  • 人手・技能加工の手順や工具の条件が個人のスキルに頼っており、実務経験の少ない若手への技術継承が難しかった。
  • 人手・技能以前は手作業が多く、図面の管理や修正に手間がかかっていた。

やったこと

ネットワーク対応型の工作機械を導入し、サーバーやネットワークカメラと連携させて、遠隔地から加工状況をリアルタイムで把握し、自動加工を可能とする新しい金型生産システムを構築した。加工物である切削工具の取り付けを自動化し、冷却・切粉除去・清掃の機能で精度誤差の悪化を防ぐ仕組みを整えた。ネットワークカメラの映像から加工手順をデジタル化し、紙の手順書を大幅に削減するとともに若手の指導を容易にした。AIシステムによる機械の自己診断で故障などの予防措置を取りやすくし、ソフトウエアによる自動調整と遠隔操作での調整も可能にした。加工後の検査も自動化し、不良品の事前検査ができるようにした。

事業の効果

加工精度が格段に向上し、不良率が大幅に減少した。生産スピードも3割以上高まり、受注機会の損失が大幅に回避された。顧客満足度も高まり、全体的な受注が増えて売上も伸びた。工具の条件や加工手順をサーバー上で確認できるようになり、若手社員への技術継承も容易になった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性自動車関連の金型需要増や、単純形状は海外生産で価格競争に負けるという外部環境と、難形状・短納期対応の強みを対比して記載している。
  • 4
    課題の認識と解決受注断りや納期遅れという課題を認識し、難形状・短納期・特殊加工への挑戦で付加価値を高める方向性が示されている。
  • 4
    付加価値・賃上げの目標受注機会の損失回避と生産スピード3割以上向上、売上10から20%アップという数字が実績として示され、目標の具体性がある。

伸びしろがあった観点

  • 2
    事業を進める体制若手への技術継承や図面のデジタル化に触れているが、補助事業を遂行する人材や事務体制についての記述は読み取れない。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    過去の技術力や精密切削の強みに触れ、金型生産の事業の延長として工作機械導入が位置付けられている。経営戦略上の明確な位置付けは薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    自動車関連の金型需要増や、単純形状は海外生産で価格競争に負けるという外部環境と、難形状・短納期対応の強みを対比して記載している。

  • 課題の認識と解決4

    受注断りや納期遅れという課題を認識し、難形状・短納期・特殊加工への挑戦で付加価値を高める方向性が示されている。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標4

    受注機会の損失回避と生産スピード3割以上向上、売上10から20%アップという数字が実績として示され、目標の具体性がある。

  • 事業を進める体制2

    若手への技術継承や図面のデジタル化に触れているが、補助事業を遂行する人材や事務体制についての記述は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    精度1/1000mm単位、自動車・建材・食品機械など幅広い取引先からの依頼が絶えないことで、選ばれる理由が示されている。

  • 事業化までの道筋2

    遠隔監視や自動加工の機能は具体的に書かれているが、導入スケジュールや実施手順の記述は読み取れない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性3.0
  • 新しさ・高付加価値3

    難形状・高精度の金型加工で高付加価値化を図る方向性は読めるが、同分野での普及度や高価格化の具体的数字は示されていない。

公的補助の必要性3.0
  • 波及効果・雇用2

    地域未来牽引企業であり地域経済の担い手とあるが、波及効果や雇用創出の具体的な記述は少ない。

  • 費用対効果3

    不良率の大幅減少や売上20%増など効果は示されているが、補助金投入額に対する費用対効果は数字で示されていない。

  • イノベーションへの貢献4

    ネットワーク対応工作機械やAIによる機械自己診断、遠隔監視など先端的デジタル技術の活用が具体的に記載されている。

政策面2.5
  • 成長分野への進出2

    自動車関連や自転車など他業種への展開が書かれているが、日本経済の構造転換への言及は薄い。

  • 地域経済への波及3

    山口県周南市の地域未来牽引企業として地域経済の中心的担い手とあるが、地域特性を活かした具体的な雇用創出の記述は薄い。

今後の展望

今後は、長時間を要するような難易度の高い特殊加工にも挑戦し、付加価値の高いものづくりを通じて差別化・独自性を追求する。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成30年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。