ものづくり補助金平成24年度鳥取県

生紅ズワイガニの高鮮度流通を可能とする新たな氷温処理システムの開発

有限会社前田水産

この事例のポイント

  • 生紅ズワイガニを遠隔地に流通させるには、現地での処理や流通中の鮮度保持が課題となっていた。
  • 生紅ズワイガニの鮮度維持に適したドライタイプのジェルアイスを製造できるジェルアイス製造装置を試作・開発した。
  • ジェルアイスを用いた水温処理システムにより、生紅ズワイガニの高鮮度流通が実現した。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社前田水産
所在地鳥取県 米子市
業種食料品製造業
技術分野高機能化学合成
設立1960年

事業の背景

昭和35年に煮干加工業として創業し、その後紅ズワイガニの加工(ボイル)に参入した。境港の漁協から仕入れた紅ズワイガニのボイル加工を主力としてきた。外国船による乱獲で漁獲量が年々減少しており、ボイル加工だけでは経営が難しくなっていた。そのため付加価値商品の開発を進め、惣菜品やギフト販売にも取り組んできた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力生紅ズワイガニを遠隔地に流通させるには、現地での処理や流通中の鮮度保持が課題となっていた。
  • 品質・精度甲殻類は冷海水によって黒変や水焼けによる変敗が著しく進行するため、従来の処理では鮮度を保てなかった。

やったこと

生紅ズワイガニの鮮度維持に適したドライタイプのジェルアイスを製造できるジェルアイス製造装置を試作・開発した。冷海水に代わり、循環ポンプなどの改良を加えて装置を作った。開発したジェルアイスを用いて生紅ズワイガニを流通させ、流通時の温度上昇を抑えて鮮度を保つ高鮮度保持技術を解析した。一時冷却工程と流通工程で水温環境を維持するために設備を用いた。黒変や、生食可能な鮮度の指標であるK値の上昇を抑える維持技術を確立した。

新しい製品・サービス:ドライタイプのジェルアイスを製造できるジェルアイス製造装置

事業の効果

ジェルアイスを用いた水温処理システムにより、生紅ズワイガニの高鮮度流通が実現した。遠隔地への流通が可能になり、都市圏の販路拡大やギフト商品化につながっている。惣菜部門では平成23年に農林水産大臣賞を受賞するなど、新たな経営の柱が育っている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均2.6 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    課題の認識と解決漁獲量減少という課題に対し、ジェルアイス製造機で高鮮度流通を可能にし、大都市圏への販路拡大を進める方針が具体的に書かれている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標付加価値額や賃上げの目標値は書かれておらず、わずかに販路拡大の方向性がうかがえる程度である。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性3

    紅ズワイガニの加工(ボイル)から惣菜分野へ参入し、流通の課題解決を図った経緯は読み取れるが、経営戦略上の明確な位置付けは書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    漁獲量の年々減少やボイル加工だけでは経営が難しいという外部環境と、惣菜で平成23年に農林水産大臣賞を受賞した強みが読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    漁獲量減少という課題に対し、ジェルアイス製造機で高鮮度流通を可能にし、大都市圏への販路拡大を進める方針が具体的に書かれている。

事業の実現可能性2.4
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの目標値は書かれておらず、わずかに販路拡大の方向性がうかがえる程度である。

  • 事業を進める体制2

    事業の遂行体制として調理師経験のあるスタッフが惣菜開発に関わったことがうかがえるが、補助事業の体制は詳述されていない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    紅ズワイガニの味・新鮮さが人気で、百貨店やカタログ販売で好評を得ている点は読み取れるが、ターゲットの定量的裏付けは薄い。

  • 事業化までの道筋2

    今後の大都市圏への販路拡大やギフト商品化、新商品開発の展開は書かれているが、スケジュールや課題解決の方法は明確ではない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性3.0
  • 新しさ・高付加価値3

    ドライタイプのジェルアイスは従来と異なる製品として開発されたことが書かれているが、市場での認知度や価格水準の数値は書かれていない。

公的補助の必要性2.0
  • 波及効果・雇用2

    地域水産物である境港の紅ズワイガニの流通課題に取り組む点がうかがえるが、波及効果や雇用創出の記述は薄い。

  • 費用対効果2

    補助金額や付加価値額の増加、生産性向上の数値は示されておらず、費用対効果はうかがえる程度にとどまる。

  • イノベーションへの貢献2

    ジェルアイス製造装置の開発と温度管理による鮮度保持の仕組みは書かれているが、デジタル技術や新ビジネスモデルの記述はない。

政策面3.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及3

    境港で水揚げされた紅ズワイガニを地域で加工し、都市圏へ直送する地域資源を活かした事業であることは読み取れるが、雇用や地域成長の数値はない。

今後の展望

今後は「紅ずわいがに」の大都市圏への販路拡大、ギフト商品としての拡大、惣菜部門の新商品開発を積極的に展開していく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。