ものづくり補助金平成24年度徳島県

エッジ(耳)を残した機械抄きによる手漉き紙風合いの画材用紙やインクジェット用紙の製造

富士製紙企業組合

この事例のポイント

  • 国内外のアーティストに向けて、エッジ付きの手漉き風和紙を安定して供給できる体制が十分ではなかった。
  • 機械抄きで手漉き紙の風合い(エッジや柔らかさ)を実現するため、適正繊維の加工実験と叩解機の改良を行った。
  • 機械抄きでありながら手漉き和紙の風合いであるエッジや柔らかさを残して再現できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名富士製紙企業組合
所在地徳島県 吉野川市
業種パルプ・紙・紙加工品製造業
技術分野電子部品・デバイスの実装
従業員数30人
資本金3,900万円
設立1952年

事業の背景

当組合は、お客様のイメージをかたちにすることをポリシーとしている。戦後は伝統産業としての和紙製造が衰退し廃業が続く中、白い和紙の製造に加えて染色や加工、機械抄きを取り入れ、手漉き和紙、機械抄き和紙、染め和紙、和紙加工を一つの組織で手がける体制を築いてきた。画材用紙やインクジェット用紙は、学生から高齢者まで版画、水彩画、写真を楽しむ幅広い人々を対象としている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 販路・情報発信国内外のアーティストに向けて、エッジ付きの手漉き風和紙を安定して供給できる体制が十分ではなかった。
  • 生産能力機械抄きでは手漉き紙特有のエッジや柔らかさを出せず、アーティスト用紙市場で他社と差別化できなかった。
  • 品質・精度画材用紙やインクジェット用紙では、異物(固まり、ゴミ)の混入により品質が安定しなかった。

やったこと

機械抄きで手漉き紙の風合い(エッジや柔らかさ)を実現するため、適正繊維の加工実験と叩解機の改良を行った。ブランケットの蛇行調整とプレート加工を実施し、機械抄きによる品質の安定と量産化に取り組んだ。トップフェルト洗浄装置を設置して、画材用紙やインクジェット用紙で問題となる異物(固まり、ゴミ)の混入を防いだ。

その他トップフェルト洗浄装置
加工機叩解機

新しい製品・サービス:機械抄きでエッジ(耳)を残し、手漉き和紙の特徴を再現した画材用紙やインクジェット用紙。

事業の効果

機械抄きでありながら手漉き和紙の風合いであるエッジや柔らかさを残して再現できるようになった。品質が安定し、異物の混入を防げるようになったことで、付加価値のある商品を量産できるようになった。品質と量産体制による価格競争力と優位性で、他社との差別化を図れるようになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    地域資源活用新事業で得た経験を活かすと記載があり、過去の取組との一貫性は読み取れるが、経営戦略上の位置付けは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    アーティスト用紙市場でのシェア拡大を目指すとあり、手漉き風の風合いを機械抄きで再現する独自性は示されるが、市場動向や競合との比較データは書かれていない。

  • 課題の認識と解決4

    機械抄きで出せなかった手漉き紙の風合いを再現し、異物混入防止と量産化で付加価値商品を実現したと、課題と解決策が具体的に書かれている。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの目標数値は書かれておらず、量産化による価格競争力への言及のみで、実現可能性を判断する数字がない。

  • 事業を進める体制3

    設立年や従業員30名、機械抄きと手漉きを扱う体制の記述はあるが、補助事業の遂行体制や事務処理能力については書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    ターゲットが版画・水彩・写真を楽しむ幅広い人々と明記され、エッジ付き手漉き風の風合いという選ばれる理由も具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋2

    今後の取組みとしてSNS発信や見本市出展が挙げられているが、スケジュールや課題解決の方法は詳しく書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    手漉き風の耳付き和紙を機械抄きで量産する点が高付加価値化の取組みとして書かれ、同分野で差別化を図る方針が示されている。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    地域資源を活かした取組みとの関連はうかがえるが、雇用創出や波及効果など国が補助する理由は具体的に書かれていない。

  • 費用対効果2

    補助金額や付加価値額の増加率、生産性向上の数値が示されておらず、費用対効果を判断できる情報がない。

  • イノベーションへの貢献2

    ブランケット調整や洗浄装置の設置など設備改良は書かれるが、先端的なデジタル技術や新ビジネスモデルへの言及はない。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    吉野川市の企業組合で伝統和紙を扱う点は地域性がうかがえるが、地域経済の成長を牽引する効果は具体的に書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

国内外のアーティストに向けて、エッジ付きの手漉き風和紙を安定供給できる体制を整え、SNSでの情報発信や見本市への出展により新規顧客を開拓していく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。