新たな洗浄方式導入によるグローバルトップメーカーとしての競争力強化

岐阜県の製造業の会社が、ものづくり補助金で洗浄機を導入し、高品質な製品を安定して作れるようになった採択事例です。

株式会社樋口製作所

成果製品をカゴに並べる時間 227秒→15秒

この事例のポイント

  • 製品を洗浄機にかける前に手作業でカゴに並べており、処理量に限界があるうえ作業負荷も大きいことが課題でした。
  • 炭化水素系真空4槽式全自動洗浄機を導入しました。
  • 製品をカゴに並べる時間 227秒→15秒。製品をカゴに並べる作業が不要になり、洗浄にかかる時間は大幅に減少しました。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社樋口製作所
所在地岐阜県 各務原市
業種輸送用機械器具製造業
技術分野精密加工
従業員数184人
資本金2,000万円
設立1963年

事業の背景

当社は昭和12年に創業した機械製作所をルーツとし、昭和38年に現社名となりました。各務原市を拠点とする金属プレス専門メーカーで、自動車のエアバッグ関連部品などを金型製作から一貫して生産しています。

エアバッグ関連部品は世界的に市場規模が拡大しており、メーカーから増産を要請されている状況です。一方で求められる品質水準は国内外ともに非常に高くなり、競争は激しさを増しています。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能製品を洗浄機にかける前に手作業でカゴに並べており、処理量に限界があるうえ作業負荷も大きいことが課題でした。
  • 品質・精度従来の洗浄機では機械の機能上どうしても汚れ残りが発生し、③の検査工程で手作業による拭き取りが必要になっていました。
  • その他洗浄に使用してきた有機溶剤のメチレンクロライドは臭いが強く人体に有害で環境負荷も大きいため、従業員の安全と環境面から使用廃止を検討する必要がありました。

やったこと

炭化水素系真空4槽式全自動洗浄機を導入しました。この機械は丸カゴによる回転洗浄方式を取り入れているため、事前に製品をカゴに並べる作業が不要になります。

超音波洗浄装置を取り付けて洗浄力を高めました。溶剤には臭気が少なく環境負荷も低い炭化水素系洗浄剤を使用することとしました。

補助金で入れた設備

経費の区分は「機械装置・システム構築費」です。

事業の効果

  • 製品をカゴに並べる時間 227秒→15秒
  • 汚れ残りの発生率 10%→1%

製品をカゴに並べる作業が不要になり、洗浄にかかる時間は大幅に減少しました。超音波洗浄により汚れ残りも大きく減り、高品質な製品を安定して製造できるようになりました。

新しい機械と新方式の導入後、速やかに増産要請を受注し、新体制で順調に稼働しながら受注も拡大しています。有機溶剤の使用廃止により環境負荷の軽減と従業員の安全確保も実現しました。

出た効果の種類(押すと同じ効果の事例へ)

審査の観点ごとの評価

新事業進出・ものづくり補助金

観点の平均3.2 / 514観点のうち13観点で評価

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性深絞り技術は世界トップクラスとされ、メーカーから増産要請を受けている市場環境を踏まえ、品質と生産性で競争優位を狙う内容になっている。
  • 4
    課題の認識と解決手作業による処理量の限界と汚れ残りを課題として明示し、洗浄方式の刷新で作業時間を227秒から15秒に短縮する具体策を示している。
  • 4
    顧客とニーズの裏付けエアバッグ関連部品は市場規模が拡大し、メーカーからの増産要請があり、高品質・安定供給という選ばれる理由が整理されている。

もう一歩だった観点

  • 2
    事業を進める体制会社概要として従業員184人や社内一貫体制は触れられているが、本事業を遂行する担当体制や事務処理面の記述は薄い。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    昭和38年創業以来の深絞り加工技術を活かし、エアバッグ部品の洗浄工程改善に取り組むと記述され、既存強みとの一貫性がある。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    深絞り技術は世界トップクラスとされ、メーカーから増産要請を受けている市場環境を踏まえ、品質と生産性で競争優位を狙う内容になっている。

  • 課題の認識と解決4

    手作業による処理量の限界と汚れ残りを課題として明示し、洗浄方式の刷新で作業時間を227秒から15秒に短縮する具体策を示している。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標3

    汚れ残り発生率を10%から1%以下に抑える目標と効果が示されているが、付加価値額や賃上げの目標値は記載がない。

  • 事業を進める体制2

    会社概要として従業員184人や社内一貫体制は触れられているが、本事業を遂行する担当体制や事務処理面の記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    エアバッグ関連部品は市場規模が拡大し、メーカーからの増産要請があり、高品質・安定供給という選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    新機械導入後、速やかに増産受注を受け稼働が順調で、今後は海外工場への展開も検討するという段階的な方針が示されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    有機溶剤の代替となる炭化水素系洗浄剤を開発・採用し、絞り加工の難しい素材にも対応する高水準の加工技術を持つと書かれている。

公的補助の必要性3.5
  • 波及効果・雇用3

    エアバッグ関連は世界的に市場が拡大し、従業員の安全と環境負荷軽減を図る点が示されており、社会的意義はあるが波及効果の記述は限定的。

  • 費用対効果ー

    公開情報では判断できません。

  • イノベーションへの貢献4

    自社システムで工場をIoT化し、新技術を他分野や海外工場へ展開する構想があり、サプライチェーンへの貢献が読み取れる。

政策面2.5
  • 成長分野への進出2

    新分野への展開を視野に入れるとあるが、日本経済の構造転換に資する具体的な成長分野の記述は薄い。

  • 地域経済への波及3

    岐阜県各務原市を拠点に地域の金属加工業として事業を続け、雇用を維持しながら受注も拡大していると読み取れる。

今後の展望

この成果は早期に海外工場にも展開したいと考えています。また、この技術は他分野にも応用できるため、新分野への展開も視野に入れています。

同じ設備を入れた採択事例

出典・注記
  • 出典:公式の事例集(令和元年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文からAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 審査の観点:公募要領 p.44(審査項目)
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。