平らな紙ひも「ひらりS」専用工作機等の導入

静岡県の製造業者が、ものづくり補助金で産業用ロボットと紙ひも加工機を導入し、手作業の工程を自動化した採択事例です。

秋山工業株式会社

成果不良率 5%→0%

この事例のポイント

  • 製造工程に手作業が多く、従業員の作業負担が大きい課題がありました。
  • 製造ラインに産業用ロボットと紙ひも加工機一式を導入しました。
  • 不良率 5%→0%。段取り工程の作業時間は約120分短縮され、全工程を合算すると約190分短縮されました。

事業者のプロフィール

事業者名秋山工業株式会社
所在地静岡県 富士宮市
業種パルプ・紙・紙加工品製造業
技術分野製造環境,機械制御
資本金1,000万円
設立1963年

事業の背景

同社は富士宮市で昭和14年の創業以来、80年以上にわたり製紙業を営んでいます。紙の結合や裁断、調湿などに高い技術とノウハウを持ち、製造する良質な紙ひもは顧客からの評価も高いです。

主力商品の平ひも「ひらりS」は特許を取得しており、結びやすく緩みにくい点や手に食い込みにくく運搬に適した点が特長です。古紙100%の再生紙で製造されていることから、SDGsの流れにも合い、梱包や結束に加えて手芸や農業への用途が広がっています。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能製造工程に手作業が多く、従業員の作業負担が大きい課題がありました。
  • 生産能力繁忙期には生産能力を上回る受注があり、対応に苦慮していました。
  • 品質・精度既存設備の老朽化により不良率が増加していました。
  • コスト・採算設備のメンテナンスや保守点検の費用が増加していました。

やったこと

製造ラインに産業用ロボットと紙ひも加工機一式を導入しました。従来は手作業だった工程を自動化し、従業員の作業負担を軽減しながら生産性の向上を図りました。

「ひらりS」の製造工程は段取り、巻きセット、平ひも撚り、巻き取り、取り出し、包装の6つに分かれており、そのうち主に4工程を改善しました。

新しい製品・サービス:クラフト用資材という新たな側面を含む紙ひも製品です。

補助金で入れた設備

経費の区分は「機械装置・システム構築費」です。

事業の効果

  • 不良率 5%→0%

段取り工程の作業時間は約120分短縮され、全工程を合算すると約190分短縮されました。取り出し工程は完全無人化が実現し、従業員の作業負担が大幅に軽減されました。

機械設備の精度向上により不良率がゼロに改善し、コスト低減につながりました。自動化で生まれた余剰時間を活かして他製品の受注にも対応できるようになり、ECサイトの拡充と大口取引先への営業強化により販路が広がりました。

出た効果の種類(押すと同じ効果の事例へ)

審査の観点ごとの評価

新事業進出・ものづくり補助金

観点の平均3.1 / 5

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性特許取得済みの「ひらりS」の結びやすさ等の特長と、古紙100%再生紙による話題性を強みとして、農業・手芸など用途拡大の市場動向を捉えている。
  • 4
    課題の認識と解決手作業工程や繁忙期の生産能力不足、設備老朽化による不良率増加を課題として認識し、不良率5%をゼロにする改善を見込んでいる。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け結びやすく緩みにくい特長やSDGsに適した再生紙である点、農業分野での人気など、製品価値と顧客の選ばれる理由が整理されている。

もう一歩だった観点

  • 2
    事業を進める体制取締役が事業を担当したとの記載はあるが、補助事業を遂行する人材や事務処理体制について具体的な記述は薄い。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    80年以上の製紙業の歴史と紙ひも製造の技術・ノウハウを背景に、主力商品「ひらりS」の生産性向上を図る計画で、過去の取組との一貫性がある。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    特許取得済みの「ひらりS」の結びやすさ等の特長と、古紙100%再生紙による話題性を強みとして、農業・手芸など用途拡大の市場動向を捉えている。

  • 課題の認識と解決4

    手作業工程や繁忙期の生産能力不足、設備老朽化による不良率増加を課題として認識し、不良率5%をゼロにする改善を見込んでいる。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標3

    段取り工程の作業時間を約120分短縮し、合算で約190分短縮するなど、生産性向上の目標と結果が示されている。賃上げ目標の記述は見当たらない。

  • 事業を進める体制2

    取締役が事業を担当したとの記載はあるが、補助事業を遂行する人材や事務処理体制について具体的な記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    結びやすく緩みにくい特長やSDGsに適した再生紙である点、農業分野での人気など、製品価値と顧客の選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    製造工程6つのうち4工程を改善する具体的な設備導入計画と、既存設備の老朽化・保守費用という課題の解決方法が示されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    紙ひもを手芸・農業・クラフト用途へ拡大し、再生紙として話題となる新たな側面を持つ商品で、高付加価値化を図っている。

公的補助の必要性3.0
  • 波及効果・雇用3

    自動化による従業員の作業負担軽減、他製品受注やEC拡充による販路拡大と新たな雇用・需要への波及が読み取れる。

  • 費用対効果4

    不良率5%からゼロへの改善、作業時間約190分の短縮、ランニングコスト改善など、費用対効果の具体的な成果が示されている。

  • イノベーションへの貢献2

    産業用ロボットの導入は述べられているが、サプライチェーン全体や地域へのイノベーション貢献については触れられていない。

政策面2.5
  • 成長分野への進出2

    製造の自動化や省人化により生産性向上を図る点は述べられているが、日本経済の構造転換への言及は薄い。

  • 地域経済への波及3

    富士宮市で80年以上続く地域の製紙業者が、地域の特性を活かした紙ひも製品を高付加価値化し、事業を拡大している。

今後の展望

今後も梱包や結束だけでなく、クラフト用資材という新たな側面を含めた紙ひもの開発・製造に取り組んでいきます。あわせて生産性の向上や省人化を進め、企業価値をさらに高めていきます。

同じ業種・悩みの採択事例

出典・注記
  • 出典:公式の事例集(令和元年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文からAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 審査の観点:公募要領 p.44(審査項目)
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。