内装材などへ用いる織物製織工程・技術力高度化・生産性向上の実現

この事例のポイント

  • 付加価値の高い織物は低速での製織が必須である一方、エアージェット織機を低速運転する場面もあり、生産性の改善が課題でした。
  • 最新の高速レピア織機R9500-2を導入しました。
  • 高速での製織が可能になり、付加価値素材の生産量を増やすことができました。

事業者のプロフィール

所在地京都府 木津川市
業種繊維工業
技術分野機械制御
従業員数3人
設立1955年

事業の背景

1955年の創業以来、当地の古くからの産品である蚊帳生地やふすま紙などの和風内装材を手掛けてきました。平成以降は生活様式の変化により和風内装材の需要が減少しました。

そのため、様々な材質・加工の糸に対応できる製織技術を磨き、壁紙などの洋風内装材に取扱商品を広げました。さらにアパレル向け生地、ふきんなどの日用品、自動車塗装工程向けの粘着性除埃布も開発し、事業を拡大してきました。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力付加価値の高い織物は低速での製織が必須である一方、エアージェット織機を低速運転する場面もあり、生産性の改善が課題でした。
  • 新製品・新技術フル稼働が続き、差別化技術を磨くための新製品開発の時間を確保できない状況でした。
  • 人手・技能付加価値素材の機械のセッティングや前準備加工は代表者のノウハウに頼っており、織物ごとの設定条件が暗黙知のままでした。

やったこと

最新の高速レピア織機R9500-2を導入しました。高速レピア織機の導入に合わせて、織物ごとに最適な機械で製織する生産体制に見直しました。

高速運転が可能な付加価値素材は高速レピア織機、低速運転が必要な付加価値素材は低速レピア織機、高速運転が可能な量産素材はエアージェット織機、エアージェット織機で対応できない量産素材は低速レピア織機で製織します。織物ごとの機械のセッティングや加工方法を統一フォーマットでデータ化・蓄積し、社内で共有しました。

新しい製品・サービス:付加価値素材であるアパレル素材・新規商材などの新素材を用いた商品

補助金で入れた設備

経費の区分は「機械装置・システム構築費」です。

事業の効果

高速での製織が可能になり、付加価値素材の生産量を増やすことができました。機械ごとの生産を最適化した結果、既存設備の生産量は17%増加し、新規設備を加えた全体の生産量は20%増加しました。

既存設備の稼働率は15%増加し、新規導入した高速レピア織機も90%以上の稼働率を維持しています。設定条件のデータ化により従業員でも調整が可能になり、切り替えによる停台時間を短縮できました。

また、付加価値素材比率が向上し、新素材を用いた商品提案が可能になりました。

出た効果の種類(押すと同じ効果の事例へ)

審査の観点ごとの評価

新事業進出・ものづくり補助金

観点の平均3.3 / 514観点のうち12観点で評価

この事例が強かった観点

  • 4
    これまでの取組との一貫性蚊帳生地や和風内装材から製織専業で技術を磨き、洋風内装材や粘着性除埃布へ広げてきた経緯が一貫しており、織機導入もその延長にある。
  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性製織技術と素材の見識を強みとし、和風内装材の需要減少を踏まえ、付加価値素材の高速製織で差別化する戦略が示されている。
  • 4
    課題の認識と解決和風内装材の需要減少と低速運転の制約を課題として認識し、生産量17%増、稼働率15%増の成果で解決を示している。

もう一歩だった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標生産量増加や稼働率向上の実績は示されるが、付加価値額や賃上げの目標値は記載がなく、目標の実現可能性は読み取りにくい。
経営戦略との整合性4.0
  • これまでの取組との一貫性4

    蚊帳生地や和風内装材から製織専業で技術を磨き、洋風内装材や粘着性除埃布へ広げてきた経緯が一貫しており、織機導入もその延長にある。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    製織技術と素材の見識を強みとし、和風内装材の需要減少を踏まえ、付加価値素材の高速製織で差別化する戦略が示されている。

  • 課題の認識と解決4

    和風内装材の需要減少と低速運転の制約を課題として認識し、生産量17%増、稼働率15%増の成果で解決を示している。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標2

    生産量増加や稼働率向上の実績は示されるが、付加価値額や賃上げの目標値は記載がなく、目標の実現可能性は読み取りにくい。

  • 事業を進める体制3

    従業員3人の体制で、代表者の熟練技術を統一フォーマットでデータ化し社内共有する仕組みを整えている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    高速製織で付加価値素材の受注拡大を図り、アパレル向け生地や自動車塗装用除塵布など顧客ニーズに応える提案が記載されている。

  • 事業化までの道筋3

    織機導入、生産体制の見直し、データ化の順に取り組み、今後の展開として新製品開発や事業構造の変革を示している。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    付加価値の高い織物は低速製織が必須という前提のもと、高速で製織できる付加価値素材を増産する点で高水準の高付加価値化を図っている。

公的補助の必要性2.5
  • 波及効果・雇用3

    国内外で需要の伸長する織物内装材の増産に対応し、地域の繊維産業を元気づける取組として地域経済への波及が語られている。

  • 費用対効果ー

    公開情報では判断できません。

  • イノベーションへの貢献2

    高速レピア織機の導入や稼働データ化は生産性向上にとどまり、デジタル技術やサプライチェーンのイノベーションとしての記述は弱い。

政策面4.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及4

    木津川市の地域産業として、廃業が相次ぐ中で製織技術を活かし新市場を開く取組が示され、地域の繊維産業を牽引する意図が明確である。

今後の展望

今後は付加価値素材であるアパレル素材・新規商材の売上拡大に挑戦します。そして、主力事業である和風内装材を含めた3本柱に事業構造を変革します。

当地の繊維産業を元気づけるため、製織技術を活かした商品で新たな市場を切り開いていきます。

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出典・注記
  • 出典:公式の事例集(令和元年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文からAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 審査の観点:公募要領 p.44(審査項目)
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。