染色工程の高品質化及び持続可能な生産体制の構築

京都府の従業員18人の製造業が、ものづくり補助金でチーズ染色へ移行した採択事例です。

株式会社弘伸

成果生産工程の所要日数は半減

この事例のポイント

  • ベンベルグ®加工糸の供給能力が不足し、新しい引き合いをお断りせざるを得ない状況でした。
  • 難加工であるベンベルグ®撚糸の1kgソフト巻きの内製化に取り組み、従来のカセ染色からチーズ染色工法へ移行しました。
  • 生産工程の所要日数は半減。生産工程の所要日数は半減し、供給能力はほぼ倍増しました。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社弘伸
所在地京都府 南丹市
業種繊維工業
技術分野材料製造プロセス
従業員数18人
資本金4,000万円
設立1983年

事業の背景

当社は繊維原料と衣料品の製造、加工、販売を行っています。撚糸・染色・混繊加工を一貫して行う体制を目指しており、加工の内製化に取り組んできました。

糸の加工は主力事業のひとつとして売上の3~4割を占めています。ベンベルグ®は国内シェアが高く、お守り製造ニーズの増加により需要が伸びています。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力ベンベルグ®加工糸の供給能力が不足し、新しい引き合いをお断りせざるを得ない状況でした。
  • 人手・技能協力企業の事業主の高齢化や後継者不足により廃業する事業者が増え、外注による加工の確保が難しくなっていました。
  • コスト・採算従来のカセ染色は200g程度のカセに巻いた糸に対して染色し、納品時にコーンに巻き直すため生産性が低い問題がありました。

やったこと

難加工であるベンベルグ®撚糸の1kgソフト巻きの内製化に取り組み、従来のカセ染色からチーズ染色工法へ移行しました。チーズ染色は穴の開いた大きなボビンに糸を巻いた状態で染液を循環させ、均一に染める工法です。

部位によってテンションを変えられる高機能ワインダー(SSM製高速プレシジョンクロス捲ワインダー)を国内で真っ先に導入しました。ベンベルグ®は天然素材ゆえ水分量の調整が難しく、ソフト巻きは形が崩れやすいため、加工条件出しには苦労しましたが、技術的難易度の高い1kgのソフト巻きを安定して生産できるようになりました。

新しい製品・サービス:ベンベルグ®長繊維など、中国の子会社と開発した新たな加工糸や特殊糸の商品

補助金で入れた設備

経費の区分は「機械装置・システム構築費」です。

  • SSM製高速プレシジョンクロス捲ワインダーチーズ染色設備設備の種類:縫製・繊維

事業の効果

  • 生産工程の所要日数は半減
  • 供給能力をほぼ倍増

生産工程の所要日数は半減し、供給能力はほぼ倍増しました。これにより、これまでお断りしていたお客様の要望にお応えできるケースも増えました。

糸の結び目がなくなったことで高品質化も実現し、1kgソフト巻き加工ができるところは少ないため、お客様から指定されることも多く、市場で高い評価を得ています。

出た効果の種類(押すと同じ効果の事例へ)

審査の観点ごとの評価

新事業進出・ものづくり補助金

観点の平均3.3 / 514観点のうち13観点で評価

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性1kgソフト巻きを安定生産できる工場は少なく、市場で高い評価を得ていると書かれ、外部環境と自社の強みを踏まえた優位性が読み取れる。
  • 4
    課題の認識と解決カセ染色の生産性の低さと結び目による品質課題を認識し、チーズ染色導入で所要日数半減・供給能力ほぼ倍増を実現する計画になっている。
  • 4
    付加価値・賃上げの目標生産所要日数半減、供給能力ほぼ倍増と目標の成果が示され、既に実現した実績として記載されている。

もう一歩だった観点

  • 2
    成長分野への進出お守りやアパレルなど需要分野への展開に触れるが、日本経済の構造転換に資するという記述は弱い。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    協力企業の廃業増加を受け加工の内製化に取り組んできた経緯があり、チーズ染色の導入がその延長線上に位置づけられている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    1kgソフト巻きを安定生産できる工場は少なく、市場で高い評価を得ていると書かれ、外部環境と自社の強みを踏まえた優位性が読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    カセ染色の生産性の低さと結び目による品質課題を認識し、チーズ染色導入で所要日数半減・供給能力ほぼ倍増を実現する計画になっている。

事業の実現可能性3.4
  • 付加価値・賃上げの目標4

    生産所要日数半減、供給能力ほぼ倍増と目標の成果が示され、既に実現した実績として記載されている。

  • 事業を進める体制3

    蓄積した加工ノウハウを持ち、部署横断で話し合う機会を設けるなど、人材と実施体制を確保している様子が書かれている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    お客様から1kgソフト巻きの指定が多い、お断りしていた要望に応えられるようになったと、顧客ニーズと選ばれる理由が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    湿度管理や加工条件出しの課題に対処し、最新ワインダーを導入して段階的に解決した経緯が書かれている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    1kgソフト巻き加工は安定的に行える所が少なく、ベンベルグの加工で優位性を確保していると書かれ、高水準の高付加価値化が読み取れる。

公的補助の必要性3.0
  • 波及効果・雇用3

    お守り製造ニーズの増加と日本のお守りの約85%が京都で生産される産地の状況に触れ、地域の産業と雇用に関わる波及が読み取れる。

  • 費用対効果ー

    公開情報では判断できません。

  • イノベーションへの貢献3

    最新型の高機能ワインダーを国内で真っ先に導入し、子会社との新素材開発も行うなど、サプライチェーンの高度化に寄与する取組が書かれている。

政策面2.5
  • 成長分野への進出2

    お守りやアパレルなど需要分野への展開に触れるが、日本経済の構造転換に資するという記述は弱い。

  • 地域経済への波及3

    京都の伝統的なお守り産地と結びつき、地域の繊維産業の分業構造を支える事業として位置づけられている。

今後の展望

お守りの需要は当面高止まりが続くと想定され、設備の増強や作業能率の向上に積極的に取り組んでいます。展示会を通じて国内外への販売拡大を目指します。

事業者の声

過保護に糸を育てたい

公式の事例集より(原文のまま)

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出典・注記
  • 出典:公式の事例集(令和元年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文からAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 審査の観点:公募要領 p.44(審査項目)
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。