デジタルツインで見える化やシミュレーション活用による取り組み

京都府の従業員25人の製造業が、ものづくり補助金で設備データを見える化し、生産計画を最適化した採択事例です。

川十株式会社

成果当日出荷率 20%→60%

この事例のポイント

  • 受注が急増した際、既存の生産体制では対応しきれず、社内が混乱しました。
  • 既存設備に後付けしたセンサーと、作業担当者が持つスマートフォンからの入力を通じて、設備の稼働状況、作業時間、材料情報などを自動で収集する仕組みを構築しました。
  • 当日出荷率 20%→60%。デジタルサイネージによる見える化により全従業員が現場の最新状況を共有でき、販売管理部門は納期や進捗の問い合わせに即時か…

事業者のプロフィール

事業者名川十株式会社
所在地京都府 京都市伏見区
業種鉄鋼業
技術分野情報処理,製造環境
従業員数25人
資本金1,000万円
設立1964年

事業の背景

当社は金属材料を切断加工して販売する卸商社で、ステンレス、アルミ、チタン、鉄、銅、黄銅などの鋼材を扱っています。多品種少量・超短納期生産を強みとし、納期は注文日から即日〜翌日が基本です。

取引先は約300社以上で、年間10万アイテム以上の切断加工済み材料を提供しています。15年前からITを活用した業務改善や受発注システムの取り組みを進めてきました。

コロナ禍からの回復に伴い受注が急増しました。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力受注が急増した際、既存の生産体制では対応しきれず、社内が混乱しました。
  • 人手・技能段取りや生産ラインの変更が複雑化し、熟練社員の生産指示ノウハウが属人化した暗黙知となっていました。
  • 生産能力工場全体の業務量を把握できない状況に陥っていました。
  • 生産能力このままでは多品種少量・超短納期生産という競争力の維持が困難になると判断しました。

やったこと

既存設備に後付けしたセンサーと、作業担当者が持つスマートフォンからの入力を通じて、設備の稼働状況、作業時間、材料情報などを自動で収集する仕組みを構築しました。収集したデータはBIツールで分析・加工し、製造・販売管理の5か所のデジタルサイネージにリアルタイムで表示しました。

さらに、段取り時間、在庫量、加工時間、設備の稼働状況を複合的に考慮し、最も効率的な製造順序を自動で算出する生産計画シミュレーションを導入しました。これにより投入計画や人員配置の立案・修正を最適化し、熟練技術者のノウハウをデジタル化しました。

補助金で入れた設備

経費の区分は「機械装置・システム構築費」です。

事業の効果

  • 当日出荷率 20%→60%
  • 生産計画の立案時間 20分→5分

デジタルサイネージによる見える化により全従業員が現場の最新状況を共有でき、販売管理部門は納期や進捗の問い合わせに即時かつ正確に回答できるようになりました。納期遵守率は100%を達成しています。

シミュレーションによる生産計画の最適化で生産性は21%向上し、経験の浅い従業員でも最適な生産計画を立案できるようになりました。この実績により、ジャストインタイム生産の顧客への拡販と価格交渉力の向上にもつながっています。

出た効果の種類(押すと同じ効果の事例へ)

審査の観点ごとの評価

新事業進出・ものづくり補助金

観点の平均3.6 / 5

この事例が強かった観点

  • 5
    課題の認識と解決受注急増で混乱した課題に対し、当日出荷率20%→60%、納期遵守率100%、立案時間20分→5分、生産性21%向上と実効的な成果を示している。
  • 4
    これまでの取組との一貫性15年前からIT活用を進め、受発注システムやデジタルツインを強みである多品種少量・超短納期生産の強化につなげており、過去の取組との一貫性がある。
  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性取引先約300社、年間10万アイテム超を扱い、熟練社員のノウハウ属人化が強み維持を脅かすと課題を認識し、多品種少量の強みを軸に強化している。
経営戦略との整合性4.3
  • これまでの取組との一貫性4

    15年前からIT活用を進め、受発注システムやデジタルツインを強みである多品種少量・超短納期生産の強化につなげており、過去の取組との一貫性がある。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    取引先約300社、年間10万アイテム超を扱い、熟練社員のノウハウ属人化が強み維持を脅かすと課題を認識し、多品種少量の強みを軸に強化している。

  • 課題の認識と解決5

    受注急増で混乱した課題に対し、当日出荷率20%→60%、納期遵守率100%、立案時間20分→5分、生産性21%向上と実効的な成果を示している。

事業の実現可能性3.4
  • 付加価値・賃上げの目標3

    生産性21%向上や当日出荷率の改善などの成果は示されているが、付加価値額や賃上げに関する目標値は本文に明示されていない。

  • 事業を進める体制4

    社長就任後の人材投資、人事制度整備、社員の改善参画の仕組みがあり、従業員と共に取り組む体制が読み取れる。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    取引先からの信頼を得る品質保証やX線分析、ミルシート即時発行、ジャストインタイム顧客への拡販など、選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    AIベンチャーと作業予測・自動入力システムの開発に着手し、理想に向けた段階的な展開の方向性が示されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性3.0
  • 新しさ・高付加価値3

    多品種少量・超短納期の切断加工を強みとし、同分野で差別化した事業を展開していることが読み取れる。

公的補助の必要性3.7
  • 波及効果・雇用3

    社員食堂の整備や第二工場建設による新規雇用、採用力の向上など、地域の雇用や働く環境への波及が示されている。

  • 費用対効果4

    生産性21%向上、立案時間20分から5分への短縮、納期遵守率100%など、投資に対する効果が具体的な数字で示されている。

  • イノベーションへの貢献4

    後付けセンサーやBIツール、デジタルサイネージ、AIによる作業予測などのデジタル技術を活用し、生産管理の高度化を図っている。

政策面3.0
  • 成長分野への進出3

    DXによる生産管理の高度化と属人化からの脱却を図っており、製造業の生産性向上という経済社会の変化に対応する方向性がある。

  • 地域経済への波及3

    京都府京都市の地域企業として、金属材料の切断加工を担い、地域のモノづくりの縁の下の力持ちとして雇用と事業を展開している。

今後の展望

今後増加が見込まれるジャストインタイム生産システムを導入する顧客への売上拡大を図ります。直近ではAIベンチャーと共同で作業予測・自動入力システムの開発に着手しています。

2026年稼働予定の第二工場を建設中で、本社と第二工場の二拠点体制を円滑に運営するため、DXをさらに推進します。

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出典・注記
  • 出典:公式の事例集(令和元年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 審査の観点:公募要領 p.44(審査項目)
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。