同人誌製作のデジタル印刷へのシフトで顧客ニーズへの対応と生産性向上を図る

岡山県の同人誌印刷の製造業が、ものづくり補助金でカラーオンデマンド印刷機を導入し、特殊色や印刷紙の選択肢を広げた採択事例です。

株式会社ブロス

成果客単価は約20%増えた

この事例のポイント

  • 既存の印刷機では色や紙の選択肢に限界があり、少部数印刷を求める顧客の要望に十分応えられなかったです。
  • 補助事業では、表紙の印刷に使うカラーオンデマンド印刷機を導入しました。
  • 客単価は約20%増えた。特殊色や印刷紙の選択肢が増え、顧客が装丁にこだわれるようになりました。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社ブロス
所在地岡山県 岡山市中区
業種印刷・同関連業
従業員数31人
資本金2,000万円
設立1985年

事業の背景

ブロスは、個人や団体が自費出版する同人誌の印刷を専門とする企業です。1985年にアイシン印刷から分社化され、全国に約200社ある同人誌印刷業界で大手4社の1つに数えられています。

近年は漫画やアニメ、ゲームなどの原作作品が増えてファン層が分散し、少部数で本を売り切る顧客が増えています。2023年の受注件数9800件のうち5600件がオンデマンド印刷による還刷でした。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術既存の印刷機では色や紙の選択肢に限界があり、少部数印刷を求める顧客の要望に十分応えられなかったです。
  • 生産能力少部数の案件はオフセット印刷では非効率で、受注の取り零しが起きていたです。

やったこと

補助事業では、表紙の印刷に使うカラーオンデマンド印刷機を導入しました。導入後は、金・銀・白・ピンクなど新たに7色の特殊色印刷が可能になりました。

あわせて10種類の印刷紙を扱えるようになり、顧客の選択肢が広がりました。少部数の案件を新設備に振り分けたことで、オフセット印刷で必要だった刷版や乾燥などの約25時間の工程を省けるようになりました。

新しい製品・サービス:カラーオンデマンド印刷機(金・銀・白・ピンクなど特殊色7色の印刷が可能)

補助金で入れた設備

経費の区分は「機械装置・システム構築費」です。

  • カラーオンデマンド印刷機設備の種類:印刷機

事業の効果

  • 客単価は約20%増えた
  • 刷版・乾燥などの工程時間 25時間→0時間

特殊色や印刷紙の選択肢が増え、顧客が装丁にこだわれるようになりました。オンデマンド印刷はオフセット印刷より3分の1ほどの価格に抑えられるため、浮いた予算を特殊な紙や色のオプションに充てる顧客が増え、客単価は約20%増えました。

少部数の案件を振り分けたことで注文を受けた当日に本を完成させることも可能になり、生産性が上がりました。

出た効果の種類(押すと同じ効果の事例へ)

審査の観点ごとの評価

新事業進出・ものづくり補助金

観点の平均3.1 / 5

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性2023年受注9800件のうち5600件がオンデマンド還刷と、少部数需要の強さを示し、大手4社の1つとして品質・丁寧な対応を強みにしている。
  • 4
    課題の認識と解決既存設備では色や紙の選択肢に限界があり受注を取り零していた課題を認識し、特殊色対応のカラーオンデマンド機で解決を図っている。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け漫画・小説の少部数需要と表紙へのこだわりを踏まえ、金・銀・白・ピンクの特殊色7色と10種の紙で選ばれる理由を明確にしている。

もう一歩だった観点

  • 2
    事業を進める体制社長のコメントはあるが、補助事業を遂行する人材や事務体制についての記述が事例にほとんどない。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    1985年の分社化以来の同人誌印刷事業で、既存の印刷機では対応しきれなかった少部数ニーズへ設備を広げる流れに一貫性がある。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    2023年受注9800件のうち5600件がオンデマンド還刷と、少部数需要の強さを示し、大手4社の1つとして品質・丁寧な対応を強みにしている。

  • 課題の認識と解決4

    既存設備では色や紙の選択肢に限界があり受注を取り零していた課題を認識し、特殊色対応のカラーオンデマンド機で解決を図っている。

事業の実現可能性2.8
  • 付加価値・賃上げの目標3

    客単価約20%増、刷版・乾燥など約25時間の工程削減を目標に挙げ、導入後の効果として示されている。

  • 事業を進める体制2

    社長のコメントはあるが、補助事業を遂行する人材や事務体制についての記述が事例にほとんどない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    漫画・小説の少部数需要と表紙へのこだわりを踏まえ、金・銀・白・ピンクの特殊色7色と10種の紙で選ばれる理由を明確にしている。

  • 事業化までの道筋2

    導入後の工程改善は書かれているが、中長期の検証や遂行スケジュール、課題解決の方法は事例からほぼ読み取れない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    既存のオフセット印刷にない特殊色と紙の選択肢を提供し、同人誌印刷の高付加価値化と客単価向上につなげている。

公的補助の必要性3.0
  • 波及効果・雇用3

    同人誌即売会など国内の出版文化の基盤を支える印刷業として、少部数需要に応える役割が示されている。

  • 費用対効果4

    オンデマンドはオフセットの約3分の1の価格、約25時間の工程削減、客単価約20%増と、投資に対する効果が数字で示されている。

  • イノベーションへの貢献2

    デジタル印刷の導入は示されるが、地域やサプライチェーン全体のイノベーションへの貢献は事例に書かれていない。

政策面2.5
  • 成長分野への進出2

    少部数・多品種へのシフトは時代の変化に沿うが、日本経済の構造転換に資するという記述は弱い。

  • 地域経済への波及3

    岡山市の本社工場を拠点に、全国の同人誌印刷需要を取り込み、地域の製造業として雇用と事業を支えている。

事業者の声

表紙は顔。その出来映えは売れ行きにも影響するので、装丁にこだわるお客さんは多い

公式の事例集より(原文のまま)

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出典・注記
  • 出典:公式の事例集(令和元年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文からAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 審査の観点:公募要領 p.44(審査項目)
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。