鉄筋加工機とITによる国内初の革新的取り組みで生産性向上促進

山口県の建設業の会社が、ものづくり補助金で自動鉄筋スターラップ曲げ加工機を導入し、生産性を高めた採択事例です。

デグチ工業株式会社

成果総加工重量 5,000トン/年→6,600トン/年

この事例のポイント

  • 受注が重なると、専門知識を持つベテランが必要な工場の生産能力が低下していた。
  • 切断と曲げ加工を一つの加工機で行える自動鉄筋スターラップ曲げ加工機を導入しました。
  • 総加工重量 5,000トン/年→6,600トン/年。新加工機の導入により、切断と曲げ加工を一つの機械で行えるようになり、製造ラインが1本増えて受注の機会損失を免れられるよ…

事業者のプロフィール

事業者名デグチ工業株式会社
所在地山口県 下関市
業種職別工事業(設備工事業を除く)
従業員数23人
資本金500万円
設立1960年

事業の背景

鉄筋工事業を営む当社は、人件費が約7割を占める労働集約型の事業である。これまでIT化と機械化により生産性を高めてきたが、売上は横ばいにとどまっている。

鉄筋は径によって極小(10mm以下)、細物(13mm以下)、太物(16mm以上)に大別され、出荷比率は細物が全体の1/2を占める。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力受注が重なると、専門知識を持つベテランが必要な工場の生産能力が低下していた。
  • 人手・技能人手不足の中で、作業の安全性と生産性を高める必要があった。
  • 品質・精度数量チェックやパネル操作で人為的なミスが起きていた。
  • コスト・採算鉄筋の切断で年間約100トンの廃材が発生していた。
  • 生産能力鉄筋の切断と曲げ加工を別々の機械で行い、資材をクレーンで移動させるため段取りに時間を要していた。
  • 人手・技能極小の鉄筋加工には熟練の技術が必要で、材料選定も現場責任者の経験や感覚に頼っていた。

やったこと

切断と曲げ加工を一つの加工機で行える自動鉄筋スターラップ曲げ加工機を導入しました。この加工機はX軸・Y軸・Z軸の3方向に曲げられる3次元加工を自動で行え、データを入力するだけで複雑な加工も可能です。

油圧式のためエアーコンプレッサー式に比べて故障も少なくなっています。鉄筋ジャパラユニット工法と組み合わせ、既に活用中のIT生産管理システムとも連動させることで、生産性を大きく向上させる取り組みです。

建設業界において全国初の導入となります。

新しい製品・サービス:3次元加工が可能な自動鉄筋スターラップ曲げ加工機

補助金で入れた設備

経費の区分は「機械装置・システム構築費」です。

事業の効果

  • 総加工重量 5,000トン/年→6,600トン/年
  • 廃材量 100トン/年→50トン/年
  • 加工作業の人員 3人→1人

新加工機の導入により、切断と曲げ加工を一つの機械で行えるようになり、製造ラインが1本増えて受注の機会損失を免れられるようになった。曲げ加工時に手を挟む危険性がなくなり、作業の安全性が高まった。

材料の寸法を加工機が自動で計算するため材料の無駄が減り、廃材も減少してコスト削減につながった。

出た効果の種類(押すと同じ効果の事例へ)

審査の観点ごとの評価

新事業進出・ものづくり補助金

観点の平均3.4 / 514観点のうち13観点で評価

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性国内初の3次元加工自動鉄筋加工機を業界で初導入し、ジャパラユニット工法との組合せで全国初の試みとしている。
  • 4
    課題の認識と解決人件費が約7割、受注時の生産能力低下、年間約100トンの廃材など課題を数字で示し、年間5,000トンから6,600トンへの増加で解決を図っている。
  • 4
    付加価値・賃上げの目標年間加工量を約5,000トンから6,600トンに増やせる体制を示し、3人がかりの作業が1人で可能になると記載している。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    これまでIT化と機械化で生産性を高めてきた経緯を踏まえ、IT生産管理システムとの連動で生産性を伸ばす計画となっている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    国内初の3次元加工自動鉄筋加工機を業界で初導入し、ジャパラユニット工法との組合せで全国初の試みとしている。

  • 課題の認識と解決4

    人件費が約7割、受注時の生産能力低下、年間約100トンの廃材など課題を数字で示し、年間5,000トンから6,600トンへの増加で解決を図っている。

事業の実現可能性3.2
  • 付加価値・賃上げの目標4

    年間加工量を約5,000トンから6,600トンに増やせる体制を示し、3人がかりの作業が1人で可能になると記載している。

  • 事業を進める体制3

    専門家の支援を受けて申請書を作成し、既存のIT生産管理システムを活用している。ISO9001認証の取得も記載がある。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    建設業界での省力化や安全性向上を訴求し、受注機会の損失を免れるという顧客面の必要性も示している。

  • 事業化までの道筋3

    2022年に太物用の曲げ加工装置を追加導入し、段階的な設備投資と採用強化の計画を示している。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性3.0
  • 新しさ・高付加価値3

    鉄筋加工分野で3次元自動加工機を全国初導入しており、同分野で高付加価値化を図る内容となっている。

公的補助の必要性3.7
  • 波及効果・雇用4

    3K印象の強い建設業界の人手不足と担い手確保の課題に対し、業界全体への波及を意識した取組として位置づけている。

  • 費用対効果3

    製造ラインの増設や廃材削減によるコスト削減が示されているが、補助金額と付加価値増加の関係を示す数字は乏しい。

  • イノベーションへの貢献4

    ITによる生産管理システムと自動加工機を連動させ、国内初の3次元加工や工法の組合せでイノベーションを進めている。

政策面3.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及3

    山口県下関市を拠点に地域の建設業の担い手不足に応え、地元金融機関の信用向上にも触れている点で地域貢献を示す。

今後の展望

本事業の後、2022年にものづくり補助金を活用して太物用の曲げ加工装置も導入した。続けて採択されたことで地元金融機関に対する信用力も向上した。

今後も補助金を活用しながら積極的な設備投資を行い、担い手不足でも対応できる体制を整えるとともに、働きやすい職場環境づくりを行い、新卒採用にも力を入れていく。

事業者の声

専門家のアドバイスをいただきながら申請書を作成することで、自社の強みや課題が見えてきて、新しいアイデアや気付きを得ることができました。作成した申請書の内容は、会社パンフレットやホームページ等のコンテンツにも反映させています。設備投資は「この会社を存続させる」という強い意思表明です。補助金はあくまで補助。根底に「何としても事業を発展させたい」という情熱がなければうまくいきません。新たな機械を導入することで、生産性や職場環境が改善されて、今以上の商品やサービスを提供することもできる。ひいては人材の定着、会社の発展にもつながります。良い循環を生むためにも、3Kのイメージが強い業界こそ補助金の活用を検討されてはいかがでしょうか。

公式の事例集より(原文のまま)

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出典・注記
  • 出典:公式の事例集(令和元年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 審査の観点:公募要領 p.44(審査項目)
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。